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「卵管がん」になると現れる初期症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

 更新日:2023/03/01
「卵管がん」になると現れる初期症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

卵管がんとは卵管に発生する悪性腫瘍です。卵管は子宮から卵巣まで繋げている管状の器官です。50歳以上の女性に多くみられます。

初期症状はほとんど自覚がありませんが、下腹部にしこりが触れたり食欲がなくなったりする症状が出る場合もあります。

初期の段階で自覚症状がでにくいため見つかったときには進行していることが多いがんです。今回は卵管がんの症状や治療方法などを詳しく説明していきます。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

卵管がんの症状と原因

腹痛

卵管がんの症状を教えてください。

卵管がんの初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。服のウエストがきつくなったり・下腹部にしこりが触れたり・食欲がなくなったりするなどの症状をきっかけに受診し、卵管がんがみつかることもあります。
また、がんが大きくなると膀胱や直腸を圧迫することにより、頻尿や便秘が起きたり足がむくんだりするので、そのような症状がでたら医師に相談しましょう。
進行して腹水がたまると、お腹が大きく前に突き出てくることもあります。

発症する原因を教えてください。

卵管がんの原因は明確ではありませんが、以下のような要因が関連していると考えられています。

  • 年齢:年を重ねるほど、卵管がんの発症リスクが高くなりやすい
  • 遺伝子:特定の遺伝子変異(BRCA1やBRCA2)が卵管がんの発症リスクを高める
  • 内分泌異常:卵巣におけるホルモンバランスが崩れることで、卵管がんの発症リスクが高くなること
  • 生活習慣:喫煙・飲酒・肥満・過度のエクササイズなどが卵管がんの発症リスクを高める可能性が高い
  • 腫瘍性卵巣疾患:卵巣上皮性腺腫という疾患がある場合、それががんに進化する

これらは必ずしも卵管がんが発症する原因ではありません。卵管がんの発症には多くの要因が関与していると考えられており、卵管がんの発症原因を特定できないことが多いです。

発症しやすい年齢はありますか?

卵管がんは女性が年を重ねるほど発症リスクが高くなりやすいがんです。特に、50歳以上の女性に多くみられますが、年齢に関係なく発症することもあります。
卵管がんは早期発見が重要なので、年齢が上がっても定期的に健康診断を受けることがおすすめです。

どのような初期症状がみられますか?

卵管がんの初期症状には、下痢・腹部膨満感・痛み・出血・体重減少・疲れや倦怠感などがみられます。ただしこれらの症状は他の病気の兆候にも似ているため、卵管がんだと断定は難しいです。
卵管がんは症状に気付いたときには進行していることが多いので、早めに病院を受診しましょう。

卵管がんになりやすい人の特徴を教えてください。

卵管がんになりやすい人の特徴は50歳以上の女性に多いことです。また胚移植手術を受けた人や不妊症を患っている人も卵管がんになる可能性があります。
他にもBRCA1やBRCA2といった遺伝子変異を持っていることや、卵巣がんの既往歴がある人は、卵管がんになりやすいです。
普段の生活では喫煙・飲酒・過重労働・過度なエクササイズ・不健康な食生活などが卵管がんの発症リスクを高めます。ただしこれらの特徴があっても必ずしも卵管がんになるとは限りません。

卵管がんの治療とステージ

注射器とクスリ瓶

卵管がんはどのような検査で診断されますか?

卵管がんの検査には以下の検査があります。卵管がんは、主に以下の方法によって診断されます。

  • 婦人科検診:婦人科医による体検、陰部触診、および放射線検査(腹部X線や腹部CT)を行って卵管がんを疑う症状を見つける
  • 腹腔鏡下手術:小さな切開をして腹腔鏡を使って腹部を観察し、細胞診をすることで確定診断をする
  • 生検::病理学的に確定診断をするために、手術によって取り出された組織を検査する
  • 血液検査:CA125という特異的な抗原が卵管がんの患者さんの血液中に高値を示す
  • 放射線検査:CTやMRIを用いることで卵管がんの大きさや病変部位を特定する

ただしこれらの検査の結果だけでは確定診断ができないことが多いため、手術による生検が最も重要な診断方法となります。

治療方法はどのようなものがありますか?

卵管がんの治療には手術で卵管がんが局在している部分を切除する方法があります。また内視鏡的手術で内視鏡を使用しがんを切除するという治療方法や、放射線療法でがんの細胞を殺したり、化学療法で薬物を使用しがんの細胞を殺したりする治療法もあります。
治療方法は病状や進行度によって異なるので医師と適切な治療方法をみつけると良いでしょう。
また、手術だけではなく化学療法や放射線療法を組み合わせた、多職種連携によるマルチモーダル治療が有効であることが報告されています。さらに手術後のケアやリハビリテーションにも注力することで生活の質が向上できるでしょう。

卵管がんのステージについて教えてください。

卵管がんのステージは、がんがどの程度進展しているかを示すもので、1から4の4つのステージに分類されます。

  • ステージ1:卵管内に限局している
  • ステージ2:卵管を超えてリンパ節に広がっている
  • ステージ3:卵巣を壊し、腹腔にがんが広がっている。または、がんが腹膜に浸潤している
  • ステージ4:がんが腹部以外の臓器にも広がっている

ステージ分類によって治療方法や予後が変わるため、発見が早いほど治療の成功率は高くなります。

卵管がんの進行スピードについて教えてください。

卵管がんはステージによって進行スピードが異なります。がんが早期に発見されれば、より良好な予後が期待できます。
テージ1の場合、がんはまだ卵管内に限局しており手術によって完全に切除することが可能です。ステージ2の場合、がんは卵管を超えてリンパ節に広がっていますが、まだ卵巣を壊していないため手術に加えて放射線療法または化学療法が必要です。多くの患者さんは治療によって回復できます。
ステージ3またはステージ4の場合、がんは卵巣を壊し他の臓器にも広がっています。この場合治療は難しく予後は悪くなる可能性が高いです。ただし卵管がんは治療成功率が高いがんの1つであり、早期発見と早期治療が重要になります。
また治療方法や患者さんの個々の状態によっても進行スピードは異なりますので、医師に相談し治療プランを確認することが重要です。

卵管がんの予後

医師

卵管がんは転移しやすいのでしょうか?

卵管がんは、転移しにくいがんの1つです。しかしがんが進行している場合や早期発見できなかった場合は転移する可能性があります。
卵管がんは主に腹腔内のリンパ節に転移し、卵巣が壊れている場合は腹腔内のがん細胞が流れ出し、他の臓器に転移することがあります。卵管がんは腹腔内のリンパ節・卵巣・直腸・腹膜・腎臓・肺・骨などに転移することもあるでしょう。
卵管がんの早期発見と早期治療は重要であり、卵管がんの転移を防ぐためには定期的な婦人科検診・症状の早期発見・早期治療が不可欠です。

診断された場合の余命を教えてください。

卵管がんの余命は病気の進行度合いと治療の結果、患者さんさんの個々の状態によって大きく異なります。ステージ1の場合、手術によって完全に切除できると再発率が低く、5年生存率は高くなるでしょう。
ステージ2の場合、5年生存率は低くなりますが多くの患者さんは治療によって回復ができます。ステージ3またはステージ4の場合、がんは卵巣を壊し他の臓器にも広がっているので治療は難しくなり予後は悪くなる可能性が高いです。
ただし治療方法や患者さんの個々の状態によっても進行スピードは異なりますので、患者さんの余命については、医師に相談してみると良いでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

卵管がんは早くみつけることで生存率が高くなります。身体に変化を感じたり、体調を崩しやすくなったりしたら、迷わず医師に相談すると良いでしょう。
また病院を受診しても体調が良くならないときは、他の病院を受診することで病気が発見できることもあります。卵巣がんの早期発見には身体の異変に早く気づき、早く病院を受診することで身体の不調の原因を突き止めることが大切です。
がんがみつかっても担当の医師に自分の病状をしっかり聞き、わからないことは質問しましょう。がんのことを把握することが納得いく治療をみつけるためのポイントになります。

編集部まとめ

お腹に手を当てる女性
卵管がんは初期段階では症状があまり出ないため、がんに気づくことが遅くなりがちです。しかしがんを早期発見し適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少できます。

またがんのステージによって治療方法も予後も変わるので、自分に合った適切な治療方法を医師と一緒にみつけることも大切です。

体調の変化でがんかもと心配になったらすぐに医師に相談し、検診をしっかり受けましょう。がんを予防するために生活習慣を見直し、毎年検診を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師