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「口臭」の原因はご存知ですか?医師が対策・セルフチェック法も解説!

口臭

口臭がきつい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「口臭」で考えられる病気と対処法

口臭とは口腔内より呼気とともに出る悪臭の総称を指します。
口臭の原因は主に呼吸器系・消化器系が関連している内臓疾患や虫歯や歯周病などの口腔内疾患が原因として発生する「病的口臭」と起床時や空腹時などに発生する「生理的口臭」に大きく分類されます。
口臭は、本人やその周囲が不快に感じる呼気のニオイであり、口臭があると自覚している人は全体の約8割を超えるといわれています。
今回は、口臭が発生する原因、対策法、ケア方法などを中心に解説していきます。

気になる口臭で考えられる原因と治し方

ほとんどの口臭の原因は口の中に存在しており、気になる口臭で考えられる原因としては、「舌苔(ぜったい)」が挙げられます。
舌苔は、舌に付着した白っぽい汚れで、口臭を引き起こす細菌やタンパク質を多量に含んでおり、この舌苔そのものが最大の口臭源と言われており、口臭のおよそ6割近くが舌苔から発生していると言われています。
食事を歯できちんとかまなければ舌苔が増え口臭の原因になりますので、常日頃から意識して食べ物をよく噛むように心がけましょう。
口臭がひどい際には、歯科口腔外科を受診して相談しましょう。

口臭がうんこ臭い症状で考えられる原因と治し方

口臭がうんこ臭い症状で考えられる原因としては、「舌苔」に加えて「歯周病が挙げられます。
日本人の歯周疾患の保有率は上昇していると指摘されています。
歯周病によって口の中にたまっている歯垢も、舌苔と同様に多量の細菌とタンパク質の集合体であり、歯周病は歯周部位に強い炎症が起こっている状態であり、多量のタンパク質が細菌に分解されて強い口臭が発生します。
特に、歯周病原菌は、硫化水素より悪臭の強いメチルメルカプタンを大量に産生しますので、歯周病の人は強烈な口臭があり、周囲の人から嫌がられる恐れがあります。
口臭がひどい際には、定期的に歯科健診して歯周病を早期発見治療に繋げて口臭予防を心がけましょう。

口臭がドブ臭い症状で考えられる原因と治し方

口臭がドブ臭い症状で考えられる原因としては、「ドライマウス(口内乾燥)」が挙げられます。
唾液には口腔内の細菌軍団を殺す自然治癒力があり、マスク着用などに伴って唾液量が少なくなることによって口臭が発生するということは間違いではありません。
唾液の分泌というのは実は生体内において自律神経が調節しており、自律神経の中でも交感神経がいつも優位に立ちストレスが多くかかっている状態ですと、唾液が分泌されにくくなります。
口臭がひどい際には、ストレスを解消する対処策を講じて、それでも症状が改善しない場合には歯科口腔外科を受診して相談するように努めましょう。

子供の気になる口臭で考えられる原因と治し方

子供の気になる口臭の原因として、虫歯が考えられます。
親知らずなどを含めて、虫歯によって穴が開いたところに食べ物が詰まると歯ブラシの毛先では取り切れずに、患部に細菌が繁殖することで詰まった食べかすが腐って悪臭を放ちます。
日頃の歯磨きなどを実践しても口臭が改善しない場合には、早期的に歯科口腔外科を受診するように認識しておきましょう。

すぐに病院へ行くべき「口臭」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

きつい悪臭が漂う場合は、耳鼻咽喉科へ

膿栓子(のうせんし)も口臭の一因になります。

膿栓子(のうせんし)

膿栓子とは喉の奥の両脇に存在している扁桃部位にできる乳白色の小さな塊です。
扁桃によって体内への侵入を拒まれたウイルスや細菌の死骸が溜まったものであり、潰すと硫黄のような悪臭を放ちます。
膿栓が過剰に増えることで口臭を悪化させることもありますので、気になる方は耳鼻咽喉科などを速やかに受診して治療しましょう。

受診・予防の目安となる「口臭」のセルフチェック法

今回は、自分でできる口臭のセルフチェック方法を紹介します。

  • 1、歯茎が良く腫れる、出血するかどうか。
    歯磨きをよく忘れる、あまり丁寧に歯磨きをする習慣がない、という人は要注意です。
  • 2、舌が白っぽいかどうか。
    自分の舌の色を鏡で確認して、きれいなピンク色であれば問題ありませんが、白っぽくなっているなら、口臭の大きな原因となる舌苔が付着している恐れがあります。
  • 3、もともと胃腸が弱いかどうか。
    暴飲暴食、偏食、不規則な食生活などにより、胃腸が弱っていると、食べ物の消化吸収や排泄の働きが追いつかずに口の中から発酵したような臭いがすることもあります。
  • 4、口の中が普段からネバネバして乾燥しているかどうか。
    加齢とともに唾液の分泌量は減っていくと言われていますが、口腔内が乾燥すると口臭の原因になります。
  • 「口臭」の特徴的な病気・疾患

    ここではMedical DOC監修医が、「口臭」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
    どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

    副鼻腔炎(蓄膿症)

    副鼻腔炎(蓄膿症)など、感染による炎症が鼻やのど(咽頭領域)にあると、口の中に膿汁が流れ込んでしばしば口臭を発生させます。
    副鼻腔炎では、侵入してきた細菌を殺菌するために鼻水が大量に分泌される結果、鼻の周囲に不快な臭いがしますので、症状が長期的に継続する際には耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診しましょう。

    逆流性食道炎

    逆流性食道炎などでは、すっぱい胃酸分泌液が食道に逆方向に流れることによって口が臭うことがあります。
    逆流性食道炎は、胃酸が逆流することで食道の粘膜が刺激を受けて炎症などを引き起こす病気であり、胃液が食道に逆流することで口が酸っぱい臭いになって口臭を発します。
    食べた後はすぐに横にならないなど工夫をしても症状がひどくなる際には、消化器内科など受診して相談されることをお勧めします。

    舌苔

    舌苔は最大の口臭源と言われており、口臭の6割が舌苔から発生すると言われています。
    多少の舌苔は健康な人にもあるのですが、特に口の中が乾いているときや体調がよくない時、胃腸疾患があるときなどに舌苔は厚くなりやすいです。
    さらに、緊張してストレスを多く抱えているときには交感神経が優位になり、逆に副交感神経の働きが低下しますので唾液の分泌量が減って口臭がきつくなります。
    ストレスを解消して食べ物をしっかりと噛むことで舌を綺麗にして口臭を改善させることが期待できます。

    「口臭」が気になるときの正しい対策・予防法は?

    よく口臭を抑えるために歯磨きを一生懸命にする人を見かけますが、実はこの行動はあまり意味が無く、むしろ歯磨きを念入りにしている人ほど口臭数値が高いと言われています。
    口臭ケアと謳っている市販のタブレットなども、一時的に症状をごまかすことができますが根本的な解決にはなっていません。
    生理的口臭については、口腔清掃指導を中心に歯磨きやデンタルフロスを指示するほかに、主な口臭源である舌の清掃も徹底して対策する必要があります。
    舌の清掃道具には大きく分けて舌ブラシと舌ベラが存在し、この舌ブラシ効果によって歯周病予防のための定期健診や歯石除去を習慣化することで舌を清掃しましょう。
    舌の清掃は基本的には朝食直後と歯磨き前に行うのがよいとされています。
    また、外出先ではオーラルスプレーを利用する、あるいは補助的治療であるブレスケアやマウスウォッシュなどの洗口液を併用して、口臭症状を改善させましょう。
    いろんな種類の洗口剤が市販で店頭に並んでおりますので、どれを選んでもある程度の効果が期待できます。

    舌の具体的な洗浄方法

    舌による具体的な洗浄方法としては、舌下の付け根に唾液の出る穴があり、舌をたくさん動かすことによってその穴から唾液が反射的に分泌されます。
    この唾液を使って特に歯並びの外側と唇やほっぺた(頬部)の間は念入りに舌を使い、積極的に洗うことで口の中の口臭細菌が浄化されて口臭が減少します。

    「口臭」を予防する日常生活のポイント

    食生活でも軟らかいものばかり食べていると、よく噛む事をしなくなるので、口の周りの筋力が衰えて唾液分泌が減少する原因にもなりますし、お茶の成分に含まれるカテキンは消臭効果があると言われております。
    臭いの強いものを食べたら、歯だけでなく舌も磨くとよいでしょう。
    歯磨きの際には、磨き残しをチェックすると同時に、舌の表面が白色、茶褐色または黒色になってないことを確認してみましょう。
    丁寧な歯みがきとともに、1週間に1回、舌を専用ブラシなどでお手入れすると、さらに口臭予防に効果的と言われております。

    医師が薦める「口臭ケア」

    口臭ケアとしての「歯のホワイトニング」も近年では注目されており、本来ならば歯を白くするための「ホワイトニング」だと思われがちですが、薬剤を使って汚れを除去して予防するタイプの施術であれば、実は口臭ケアにも役立ちます。
    日常的にニンニクやアルコールなど臭いの強い食べ物を味見していると口臭がひどくなりますので、症状がひどい場合にはそれらの食品を過度に摂取することを控えましょう。
    また、日常生活においてタバコも口臭の原因のひとつであり、タバコの中に含まれているタールやニコチンのみならず、タバコを吸うことで発生する一酸化炭素などが口臭の原因になりますので口臭がひどい際には禁煙することを推奨します。

    「口臭」についてよくある質問

    ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「口臭」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

    口が臭いのは虫歯が原因でしょうか?歯科で治療できますか?

    甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

    虫歯があると口の中が臭くなる可能性が高いです。口臭を改善するためには、歯科を受診して虫歯治療を行うと共に、日々のブラッシングで口腔内全体を清潔な状態に保持することが重要なポイントです。

    こまめに舌を磨いても口臭がひどいのは病気でしょうか?

    甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

    特に口の中が乾いているときや体調がよくない時、胃腸の疾患や脱水を伴う病気があるときなどに舌苔は厚くなり口臭を発生させやすいですし、舌を磨いても食事内容を十分に咀嚼しないと舌全体に舌苔が厚く溜まりますので注意しましょう。

    口臭は胃や腸の調子が悪いことと相関関係はありますか?

    甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

    口臭がする人では、自然治癒力が低下していたり、胃腸など内臓の機能が弱っていたりする可能性があって、逆流性食道炎などの病気が潜んでいることもありますので、症状が悪化する際には消化器内科などを受診しましょう。

    まとめ

    本人に悪気はなくても、周囲を不快にさせてしまいかねない口臭に対しては、常日頃からエチケットとして確実にケアをしておきたいですね。
    口臭のほとんどは、口腔内で剥がれ落ちた粘膜・唾液・食べ物の老廃物に含まれるタンパク質が、口内の常在菌によって分解・発酵されることによって発生しますし、蓄膿や胃腸など内臓機能が弱っている可能性が危惧されます。
    口臭は自分ではなかなか気づかないものですから、もしパートナーの口臭が気になったら、労わりながらやさしく指摘してあげてください。
    口臭の根本的解決のためには、歯科医師や耳鼻咽喉科、消化器内科などに診てもらうのが最善策です。
    今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

    「口臭」で考えられる病気と特徴

    「口臭」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
    各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    歯科口腔外科の病気

    耳鼻咽喉科の病気

    • 副鼻腔炎(蓄膿症)
    • 膿栓子

    消化器内科の病気

    口の中の問題と思われがちですが、食道や鼻の病気などさまざまな原因が考えられます。

    「口臭」と関連のある症状

    「口臭」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
    各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    関連する症状

    「口臭」の他に、これらの症状が見られる際は、「歯周病」「副鼻腔炎」「逆流性食道炎」「ドライマウス」などの疾患の可能性が考えられます。セルフケアでも改善を認めない場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。