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「舌が白くなる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

毎日のブラッシングの時や、ふと鏡を見たときピンク色なはずの舌にびっしりと白い何かがついていると驚きますよね。
深刻な病気なのか、原因は何なのか、どうすれば治るのか、気になるお悩みにMedicalDOC監修医がお答えします。

「舌が白い」考えられる原因と体調との関係は?

口の中に現れる異変はとても不安ですよね。ここでは舌が白くなる理由や、白いものの正体を解説します!

舌が白くなる要因は?

舌が白くなる最も頻度の高い原因は、舌苔です。
舌、特に舌背の表面は糸状乳頭や茸状乳頭などの乳頭で構成され、デコボコしています。舌苔は、そのデコボコに粘液や剥離細胞、食べカスが付着することで白く見えます。
赤ちゃんの舌が白くなるのも、多くの原因はこのような理由です。
舌の側面などが局所的に白くなっている、白いところが固い、痛みがある、舌以外の口の中全体(頬粘膜や硬口蓋)に白いところが広がっている場合には、白板症、舌がん、舌カンジダなど、治療が必要な疾患である可能性があります。

舌が白くなるのは体調の影響?

健康な人の舌は、食事や会話の際の舌の動きにより適度に摩擦され、唾液によって汚れが洗い流されることで、舌苔はみられないか、見られてもわずかに表面に付着する程度です。
しかし、唾液の量が少なくなったり、免疫力が低下したりすることで舌苔ができやすくなります。
また、西洋医学では一般的ではありませんが、東洋医学には舌診という考え方があり、臓器の異常や全身状態が、舌に現れるとされています。
舌診では舌の形態や大きさ、色調、舌苔の状態などを総合的に判断し、貧血や浮腫、免疫力の低下、臓器障害などを判断します。

舌が白くなる『舌苔(ぜったい)』とは?

舌苔とは、舌の表面(舌乳頭)に粘液や剥離細胞、食べカス、細菌などの微生物、白血球、唾液中のタンパク質などが付着したものです。
この食べカスや剝離細胞は、放置していても大きな問題にはなりません。
しかし、唾液量の減少や免疫力低下、不十分な口腔ケアの状態が続くと、菌が増殖してなかなか取れない舌苔になったり、口臭の原因になったり、舌炎を起こしたりします。

舌苔が引き起こす問題

舌苔は、それがあること自体での自覚症状はほとんどありませんが、味覚の低下や口臭の原因となったり、口腔内雑菌の繁殖により誤嚥性肺炎の一因となったりすることで問題を引き起こします。
特に、朝食前の口臭については舌苔の量(付着度と懸濁度)と相関があり、舌の清掃を行うことで口臭が改善したとの報告もあることから、口臭予防としての舌清掃は非常に有用です。
また、嚥下機能が低下している高齢者では、特に、歯磨きによる虫歯や歯周病の予防だけでなく、舌清掃で舌苔を悪化させない(淡く白い状態が正常)ことが重要です。
口腔内を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎を予防することができるのです。

身体の問題や健康状況を知らせるサイン

東洋医学では、舌の状態で体調を判断する舌診という考え方があり、舌の評価の一つに舌苔の色調や形態があります。
白い舌苔が分厚くなる、色が黄色味を帯びてくるのは胃腸が弱ったり、免疫力が低下したりしたときによく見られるといわれ、体力が極端に低下すると舌苔が黒ずんでくるとされています。
特定の疾患との関連は不明ですが、分厚い舌苔が長期にある、舌苔が黒ずんでくる場合には、全身的な免疫力低下などの体の不調を示すサインとなっていることもあります。
また、舌苔が部分的に剥離してまだら状となることがありますが、これはアレルギー体質や微量元素欠乏、寄生虫感染と関与するという説があります。
舌苔の状態と身体全体の変化との関連性は、西洋医学では明確なものはありません。
一方で、東洋医学では古くから多くの文献に舌診の記載があります。
東洋医学では重要な診察の一つに位置付けられていることから、今後の研究で因果関係が証明されるかもしれません。

舌苔以外に舌が白くなる病気

  • 白板症
  • 舌がん
  • 舌カンジダ
  • アフタ口内炎

病気の説明は次項で行います。

セルフケアとして可能なことは、口腔内の衛生を保つことです。
歯磨きを行うほかに、舌に汚れがたまる舌苔を極力ためないように日頃から心がけましょう。
舌ブラシなどで除去することができますが、舌苔は時間が経過してしまうと除去しづらくなるので、無理に擦って舌の粘膜を傷つけないようにしましょう。

舌が白い症状が改善しない場合は、医療機関の受診を検討しよう

例えば、アフタ性口内炎の場合には、原因ははっきりしませんが、栄養不足やストレス、疲れなどで起こるといわれています。十分な休息やバランスの良い食事なども心がけましょう。
1−2週間で自然に治ることが多いといわれるので、様子を見る目安としましょう。
症状を繰り返すなど、なかなか治らない場合には、再発性アフタというベーチェット病の一つの症状であるかもしれません。また、まれに口内炎と舌がんが簡単に判別できない場合もあるので、医療機関の受診を検討しましょう。

すぐに病院へいくべき「舌が白い」症状は?受診は歯科口腔外科、耳鼻咽喉科へ

板状や斑点状の白い部分がある場合

口の中の粘膜に、こすっても取れない板状や斑点状の白い部分がある場合は、「白板症」の可能性があります。舌や歯肉にも見られることがあります。
舌にできた場合には前がん病変(放置しておくと悪性腫瘍になりうるもの)と考えられています。
喫煙やアルコールによる刺激、舌を噛んでしまうことによる刺激、義歯・矯正器具などの歯科機器による刺激、ビタミン不足などが白板症の原因と考えられています。
白色の病変部分が固くなったり、歯科機器の接触や食べ物などによる刺激で痛みがでたりする場合には、早めに受診しましょう。

硬いしこりがある場合

舌の辺縁にできやすく、硬いしこりがある場合には、「舌がん(舌の悪性腫瘍)」の可能性があります。気づいた段階で受診しましょう。
舌がん自体は白くないことが多いのですが、白板症から移行した舌がんでは白色病変で見つかることがあります。

白色の膜のようなものがある場合

口の中の粘膜に白色の膜のようなものがある場合には、「口腔カンジダ」の可能性があります。舌に感染している場合には、舌カンジダといいます。
免疫抑制薬や抗がん化学療法中など、免疫力が低下した時に発症する疾患で、真菌の一種であるカンジダによって起こる感染症です。ほとんどの場合に舌だけでなく頬粘膜や硬口蓋にも白色病変が出現します。
この白色病変はガーゼなどで拭うと取り除くことはできますが、剥離後の粘膜は発赤やびらんがみられ、ひりひりとした痛みを伴います。治療中である場合には、通院中の診療科へ早めに受診をしてください。

1~3mmほどの白い膜がある場合

唇や口の中の粘膜などに数mmほどの白い膜(偽膜)がみられる場合には、「アフタ性口内炎」の可能性があります。白い病変は、舌に出現する場合もあります。
疲労やストレスや偏った栄養摂取が原因と言われていますが、明確な原因は不明です。
治りづらい場合や繰り返したり多数認める場合にはベーチェット病のような膠原病の一症状である場合も考えられますので、早めに受診ください。

「舌が白い」を治す!正しい舌苔ケアで綺麗な舌に

口臭の要因のひとつである「舌苔」。
綺麗にしたいから、と舌をブラシでゴシゴシしていませんか?
その舌ケア、実は悪化させてるかもしれません。ここでは正しい舌のケア方法を紹介します。

口腔ケア編

歯磨きに加えて舌清掃を行うことが重要です。
舌清掃の方法は、舌清掃用品を使う方法やガーゼなどで拭う方法、やわらかい歯ブラシを代用する方法などがあります。
舌清掃用品は舌ブラシやタンクリーナーなどという名称で市販されており、数多く存在します。
清掃の方法については明確な取り決めはありません。舌清掃用品を使う場合もガーゼや歯ブラシで代用する場合も、舌を湿らせて舌の奥から舌先へ舌背に沿わせて使用し、適宜口をゆすいで綺麗にします。
嘔吐反射が起きるほど奥に突っ込みすぎたり、強くこすって舌表面を傷つけたりしないように、注意して行ってください。

生活習慣編

舌苔は喫煙者に多くみられることから、禁煙が好ましいと考えられます。
過度な疲労やストレスが関与するといわれており、規則正しい生活やストレスの少ない生活が好ましいでしょう。
​舌は筋肉で形成されており、舌をたくさん動かすことで適度に摩擦されて唾液で汚れが洗い流されます。そのため、食事を取る際にはしっかり噛んで食べることによって舌をたくさん動かし、舌苔が付きにくくなるようにすると良いでしょう。

「舌が白い」場合考えられる病気と特徴

白板症:板状や斑点状の白い病変がみられます。前がん病変として要注意です。
舌がん:舌の悪性腫瘍で、しこりで気づくことがあります。白板症から移行する場合があります。
舌カンジダ:免疫力が低下した時に発症する真菌感染症です。
アフタ性口内炎:数mmほどの白い膜(偽膜)がみられます。原因は不明です。

関連する病気

まとめ

舌が白くなる原因としては舌苔が多く、舌苔は口臭や味覚の低下の原因となります。
規則正しい生活や禁煙、適切な口腔ケアにより舌苔を予防することができます。
舌の辺縁や裏面に白色病変が出現する場合や、硬いしこりなどが見られた場合には、舌苔以外の病気も考えられます。医療機関への受診を検討しましょう。