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「歯周病」のサインとなる症状はご存知ですか?治療法・予防法についても解説!

公開日:2022/08/08
「歯周病」のサインとなる症状はご存知ですか?治療法・予防法についても解説!

歯周病は口の中の病気に止まらず、全身に影響するリスクがあることをご存じでしょうか。歯周病は日本国民の3人に2人がかかるといわれるほど身近な病気です。

しかし、歯周病のことは知っていても、歯周病が及ぼすさまざまなリスクまでは知らないという方も少なくありません。

歯周病が進行すると歯を失うこともあり、それは若い方も例外ではないのです。

今回は歯周病の特徴やリスクについてMedical DOC編集部に伺いました。歯周病の治療方法や予防方法もみていきましょう。

柴原 孝彦

監修歯科医師
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)

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1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。 著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。

歯周病の特徴

歯周病

歯周病はどのような病気ですか?

  • 歯周病とは、歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気です。健康な歯と歯肉の間には汚れが入る隙間がほとんどありません。
  • しかし、磨き残しや不十分なマウスケアによって口の中に汚れが停滞すると、歯垢(プラーク)として歯と歯肉の間に入り込みます。
  • 歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がグラグラしたり抜けたりしてしまいます。

歯周病の原因を教えてください。

  • 歯周病の原因は歯垢というもので、歯垢の正体は簡単にいうと「汚れ」です。歯垢は白くてネバネバしていますが、放置すると石灰化して歯石になります。
  • 歯垢には歯周病原菌という細菌が含まれ、この細菌から毒素が排出されます。毒素によって歯肉が炎症を起こし、歯槽骨を溶かしたり、全身に影響を及ぼしたりするのです。
  • 歯周病の主な原因は歯垢ですが、喫煙や生活習慣が影響することも少なくありません。タバコに含まれる成分は歯肉の血流を悪くするため、喫煙者は非喫煙者よりも高い割合で歯周病にかかることがわかっています。
  • それだけでなく、口呼吸による口腔内の乾燥・ストレス・食生活のような日々の生活に関する要因も歯周病の原因になり得ます。

歯周病になるとどのような症状が現れますか?

  • 歯周病にかかっても、初期の段階では自覚症状がないことがほとんどです。炎症が起きている状態とはいえ、痛みを感じることはありません。
  • そのため、歯周病になってもなかなか気づけないことが多いです。症状が進行していくにつれて、歯肉が赤くなる・歯がグラグラするといった症状が現れます。
  • 歯磨きをしているときに歯肉から出血したり、「歯が浮いている感じがする」というのも歯周病の症状の1つです。明らかに歯肉に炎症が起きているとわかる状態までいくと、歯周病が進行している可能性も否定できません。

歯周炎との違いを教えてください。

  • 「歯周炎」という歯周病に似た言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
  • 歯周病は大きく分けて「歯肉炎」と「歯周炎」があり、炎症が歯茎に限局している状態が歯肉炎、歯槽骨まで及んだ状態が歯周炎です。歯周炎は「歯槽膿漏」とも呼ばれ、歯槽膿漏の方が一般的に知られています。
  • 歯周炎は歯周病の中でも症状が進行した状態を指します。歯周炎まで進行させないことが、歯周病の予防や治療をしていくうえで大切です。

歯周病の治療方法とリスク

歯医者と男性患者

歯周病の検査方法と診断基準を教えてください。

  • 歯周病の検査は、「歯と歯肉の間にある隙間=歯肉溝(ポケット)」で診断することができます。専用の器具を使って歯肉溝の深さを測定し、2㎜以上ある場合は歯周病の可能性を疑います。
  • 歯肉溝が深いほど症状が進行しており、その他にも歯肉の腫れや出血が重要な診断要素です。
  • レントゲン写真も診断として使うことができ、歯槽骨が溶けていたり歯が傾いたりしている場合は歯周病が進行していると判断します。

治療方法を知りたいです。

  • 歯周病が進行していない状態の場合は、「歯周基本治療」を行います。歯周基本治療で行うのは、ご自身でしっかりと歯磨きを行うセルフケアと、歯科クリニックで行うプラークコントロールです。
  • 定期的に歯科クリニックに通い、専用の器具を使って歯垢を除去します。歯石はブラッシングでは除去できないため、クリニックで除去してもらいましょう。
  • 症状が進行している場合は歯周外科治療を行い、失った歯槽骨を再生させることがあります。

歯周病が悪化すると全身に影響すると聞いたことがあります…。

  • 歯周病が悪化すると、歯肉の炎症に留まらず全身に影響するリスクがあります。口腔内で起こった炎症がなぜ全身に影響するのか疑問に思う方もいるでしょう。歯周病は口腔内に炎症が起こっている状態ですが、炎症によって発生した毒性物質は歯肉から血管を通って全身に運ばれます。
  • 影響するのは、心臓・肺・脳など生命に関わる重要な場所です。ストレスや食生活の乱れによって動脈硬化が起こると、血管にプラークが詰まり脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めます。
  • また、口の中で増殖した細菌が心臓に運ばれると細菌性心内膜炎を起こすリスクもあります。高齢者の場合は飲み込む力が衰えることで誤嚥しやすくなり、細菌が肺に入ると誤嚥性肺炎を起こしかねません。
  • 糖尿病と歯周病の関係性も重要視されています。歯周病によってインスリンの効きが悪くなり、糖尿病が悪化するリスクがあることがわかっています。糖尿病治療ガイドラインにも歯周病治療について記載があり、歯周病の予防・治療が病気の予後を左右することも少なくありません。
  • それだけでなく、妊娠中に歯周病にかかると、生まれた赤ちゃんが低出生体重児になるリスクが高まるといわれているのです。
  • また、近年歯周病とアルツハイマー型認知症の関係についても研究が進んでいます。アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内から、歯周病菌が検出されました。
  • これによって、2つの病気には大きな関係性があり、歯周病を予防・治療することがアルツハイマー型認知症の予防にもつながると考えられています。

気になる症状があれば早めに受診することが大切なのですね。

  • 歯周病は早めに治療することで、病気の進行を遅らせることができます。一方、歯肉が下がったり歯槽骨が溶けたりする状態まで進行すると、元の状態に戻すことは困難です。最悪の場合、ご自身の歯を失ってしまいます。
  • そうなる前に早めに受診して治療を開始することが重要です。歯周病は痛みがないため、ご自身ではなかなか気づかないケースも少なくありません。
  • しかし、歯肉の腫れや歯磨きの際の出血といった症状は、健康な歯肉では起こらないことです。早期発見・早期治療のためにも、気になる症状があれば早めに歯科医に相談してください。

歯周病の予防方法

歯磨きをする男性

歯周病の予防方法を知りたいです。

  • 歯周病を予防するために、毎日しっかりと歯磨きをしましょう。できるだけ毎食後に歯磨きをするのが理想です。歯と歯肉の間に汚れが残っていると歯垢になり、それが歯周病の原因になります。白くてネバネバした歯垢をそのままにしないことが、歯周病の予防につながるのです。
  • ブラッシングは、歯と歯の間・歯と歯肉の間・歯の裏側・歯ブラシが届きにくい奥歯など、磨き残しが出やすい部分も意識して磨くようにしましょう。歯ブラシは強く当てず、毛束がまっすぐ歯に当たるくらいの力加減にしてください。歯ブラシを細かく動かし、1か所につき10〜20回ほど磨くのがポイントです。1日に1回は5分間を目安に歯磨きを実施することをおすすめします。
  • 歯と歯の間の汚れはブラッシングだけでは除去できないため、デンタルフロスを使うことも検討してください。
  • また、歯周病はストレス・喫煙・食生活などが原因になることもあるため、しっかり休養を取る・禁煙・食生活の見直しなども一緒に行いましょう。日常的にできる予防方法としてはご自身で行う歯磨きや生活習慣の見直しがありますが、より確実に予防するためには歯科クリニックで受けられる定期検診がおすすめです。
  • 歯科クリニックでは、専門家がPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)という歯面清掃を行っています。専用の機器を使って歯垢・歯石を取り除き、フッ素入りの研磨剤で歯面清掃を行います。歯と歯の間や歯と歯肉の間は磨き残しが多いという方も珍しくありません。
  • また、歯並びが悪いとどうしても歯磨きがしにくく、磨き残しが出てしまいます。個人レベルでは対策しきれない部分も、PMTCを受けることで虫歯や歯周病になりにくい口内環境を整えることができるのです。
  • 万が一歯周病になってしまっても、定期検診を受けていれば早期発見につなげることもできます。このように個人と歯科クリニックが二人三脚で対策することが大切です。

受診の目安や注意すべき症状を教えてください。

  • 歯周病は初期段階では自覚症状がないことが多いですが、注意してチェックすることで早めに気づける可能性があります。口臭・歯肉の腫れ・歯磨き時の出血・歯肉がブヨブヨする感じは、歯周病のサインということが多いです。
  • また、歯肉が赤くなっていたり歯がグラグラしたりする場合は、歯周病が進行していることも考えられます。歯肉を押したときに膿が出てくるようなら要注意です。
  • 30代以上の約8割が歯周病といわれているため、これらの症状が気になったら早めに受診することをおすすめします。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 歯周病は身近な病気でありながら、実は全身に大きな影響を及ぼすリスクが潜んでいます。毎日の歯磨きや生活習慣で歯周病の発症や進行を防ぐことができるため、自覚症状がなくても意識することが大切です。
  • かかりつけの歯科医をみつけて、定期的に歯のクリーニングや歯周病のチェックを受けると安心です。

編集部まとめ

歯科衛生士と男性患者
歯周病は、30代以上の成人の方であれば誰でもかかるリスクがあります。

歯周病が進行すると、歯の寿命を縮めたり全身に影響したりするリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。

そして歯周病の原因は「歯垢=歯に停滞した汚れ」のため、日々の丁寧な歯磨きで歯周病を予防できる可能性があります。

しかし、ご自身では丁寧に磨いているつもりでも磨き残しが生じることもあるでしょう。

歯周病の予防や早期発見のために、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。健康な歯と歯肉は、将来のご自身の健康にもつながります。

歯のクリーニングと歯周病のチェックを行っている歯科クリニックも多いです。これらを活用しながら、歯周病の予防や早期発見・早期予防につなげてください。