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「ドライマウス」とは?対策・治療法・原因・症状についても解説!

 更新日:2023/03/27
「ドライマウス」とは?対策・治療法・原因・症状についても解説!

何らかの原因によって口の中が乾燥する状態を「ドライマウス」といいます。口の乾きは、病気としての認知度が低く、ドライマウスになっていることを見逃してしまうこともあるでしょう。心配なのは、ドライマウスを放っておくと、リスクを生じるおそれがあることです。

今回は、ドライマウスの症状や原因、検査や治療方法などを紹介します。

柴原 孝彦

監修歯科医師
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)

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1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。

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ドライマウスとは

ドライマウスとはどのような病気でしょうか?

ドライマウスとは、唾液分泌量が減り、口の中が乾燥してしまうことです。口腔乾燥症ともいわれています。
虫歯や口臭の原因にもなり、進行すれば摂食・味覚・発音の障害が現れることもあるので、注意しましょう。他の疾患の症状の一つとして現れることもあります。

ドライマウスの症状

ドライマウスの症状とは?

ドライマウスではどのような症状が現れますか?

ドライマウスは、唾液が少ないことで起こりうる症状です。口や喉の渇きが続き、口の中がネバネバしてくるようになると、乾いた食べ物が食べにくいと感じるようになります。口の中の痛みや口臭の悪化も症状の一つです。

心配がない症状

心配しなくてもいい症状とはどのようなものですか?

ときどき口の中が乾く程度であれば、水分を摂って様子をみます。一時的な口の乾きは、よくあることなので心配はありません。口の中のネバネバや、乾いた食べ物が食べにくいのは、唾液分泌量が少ないサインです。そのような場合は、開閉運動や咀嚼を行うと、唾液が増えて唾液中の消化酵素の分泌が盛んになります。セルフケアで原因を取り除いてみましょう。

注意すべき症状

注意した方がいい症状はありますか?

はい、あります。
唾液には粘膜保護作用や潤滑・洗浄・消化・溶解・緩衝など、創傷作用や免疫反応がありますが、唾液の分泌が少ないことで虫歯や舌の異常、口臭が悪化する場合があります。唾液の清掃効果の低下により、歯垢(プラーク)が付きやすくなるのもそのためです。
虫歯や舌のひび割れや痛みなどの症状が進んでいる場合、そのまま放置すると摂食障害・味覚障害・発音障害を発症する場合があります。症状が長引いている場合は、医療機関への受診を考えてください。

ドライマウスの原因

ドライマウスの原因はどのようなことが考えられるでしょうか?

ドライマウスの原因として考えられるのは、身体的な変化・薬の副作用・他の病気による症状などです。いくつかの原因が重なってドライマウスを発症している場合も少なくありません。

身体的な変化が原因

身体的な変化が原因とは、どのようなことがあげられますか?

加齢によって唾液腺が委縮すると、唾液が出にくくなり口の中が乾きやすくなります。さらに、口のまわりの筋力が低下することも原因の一つです。若いときに比べて話す機会が減り、食事の量も減ることで噛む回数が減ると、それだけ唾液の分泌も減っていきます。
また、過度なストレスや緊張によって、交感神経が刺激されることで唾液が出にくくなり、ネバネバした唾液になる場合もあるので、リラックスすることも大切です。

薬の副作用が原因

薬の副作用が原因とは、どのようなことがあげられますか?

現在、超高齢社会によって多剤併用が問題となっています。多剤併用の副反応として口腔乾燥も多く、唾液の分泌量が少なくなることがあります。血圧降下薬・精神科の薬・抗アレルギー薬などの副作用によるものなどです。風邪、花粉症、更年期障害の薬などを飲んだあとに、口が乾くと感じる人が多いといわれています。

他の病気による症状が原因

他の病気による症状が原因とは、どのようなことがあげられますか?

鼻の病気による口呼吸の増加や、シェーグレン症候群・糖尿病があげられます。シェーグレン症候群とは、自分の免疫細胞が分泌腺を非自己と誤認して攻撃・破壊してしまう自己免疫疾患のことです。

ドライマウスの受診科目

ドライマウスの受診科目

ドライマウスが疑われる場合には、何科を受診すればいいのでしょうか

歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科の受診が必要です。他の疾患が関係している場合は、それぞれの医科と連携することもあります。

ドライマウスで行う検査

ドライマウスでは、どのような検査を行いますか?

まずは、問診や視診を行います。そして、ドライマウスの疑いがあれば唾液分泌検査、必要であればシェーグレン症候群の検査を行います。

問診、視診

問診、視診とはどんな検査ですか?

原因を特定するために確認する検査です。問診では、自覚症状や他覚症状を聞き、視診では、口の中をみて原因となるものがないか確認します。まずはこの検査を行うことが必要です。内容によってドライマウスの可能性があるのかについて判断を行います。

唾液分泌検査

唾液分泌検査とはどんな検査ですか?

問診・視診でドライマウスの可能性があると判断した場合には、唾液分泌検査を行います。主に行われるのは、刺激時、安静時の唾液の量と緩衝能(かんしょうのう)についての検査です。
刺激時唾液検査では、ガムテストを行います。ガムを噛むことで唾液腺を刺激して分泌する唾液の量を測定する方法です。安静時唾液検査では、座ったまま安静にして自然に出てくる唾液の量を測ります。
口の中を酸性から中性に戻すのが緩衝能という唾液の機能です。唾液緩衝能検査では、緩衝能が正常に働いているか値を測定します。唾液緩衝能が低いと口の中が酸性に傾き、さまざまな症状が現れます。

シェーグレン症候群の検査

シェーグレン症候群の検査とはどんな検査ですか?

誰でも行う検査ではなく、シェーグレン症候群の疑いがある場合に行う検査です。シェーグレン症候群の場合、治療で使用する薬が他の疾患とは異なるために、この検査を行う必要があります。唾液腺の造影検査(レントゲン)・病理検査(生検)・血液検査(抗体を調べる)を行います。

ドライマウスの性差・年齢差など

ドライマウスとは?

ドライマウスでは、性差・年齢差がありますか?

女性や高齢者に多いといわれています。女性ホルモンの減少や筋力の衰えが関係するためです。特に更年期を迎えた女性に多くみられます。

ドライマウスの治療方法

ドライマウスにはどのような治療方法がありますか?

口の中の乾燥や不快感が続く場合は、医療機関への受診が必要です。自分でできる対策として唾液腺のマッサージの方法があります。口の中の唾液を増やすことで、ドライマウスの予防にもなる方法です。自分で使用するアイテムとしてドライマウス用のケア用品を使う方法もあります。

医療機関への受診

医療機関を受診すると、どのような治療が行われますか?

原因となるものを特定して治療していく方法がとられます。虫歯が原因の場合は、歯科で治療し口腔内を整えていくことでドライマウスを治療します。
鼻づまりや鼻炎が原因なら、まずは、耳鼻科で治療し口呼吸を減らしていくことが必要です。シェーグレン症候群や糖尿病などが疑われる場合には、原因となる疾患の治療と並行してドライマウスの治療を行います。

唾液腺のマッサージ

唾液腺のマッサージ

唾液腺のマッサージとは、どのようにするのですか?

口のまわりにある耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つの唾液腺を、優しく刺激していく方法です。自分でできる簡単な方法として、唾液の分泌を促進させる唾液腺マッサージを紹介します。生活習慣や加齢などが原因の場合は、セルフケアが必要です。
耳下腺は、耳たぶの前方上の奥歯がある部分を指で回してマッサージをします。顎下腺は、顎の骨の内側を耳下から顎先まで押すようにマッサージすることがポイントです。舌下腺は、顎先の内側のちょうど舌の付け根の下あたりを押し上げるように親指で押します。

ドライマウス用のケア用品

ドライマウス用のケア用品とは、どのようなものがありますか?

ドライマウス対策として、ガムや口腔内の保湿ケア用品を使用してみましょう。スプレー・ジェル・マウスウォッシュタイプの保湿ケア用品があります。唾液の働きを補うのが保湿剤です。ざらつきや痛みがある場合には、ジェルタイプの保湿剤を口の中に塗り、症状を和らげます。
スプレータイプは、口の中にシュッとひと吹きします。マウスウォッシュタイプは、口の中に入れてブクブクと含ませて使用します。レモンや梅など酸味のあるガムなら、より唾液分泌が促されるでしょう。

編集部まとめ

口の中が乾燥するのは、病気ではなく、そもそもの水分摂取量が不足している可能性もあります。まずは、水分補給を行いましょう。

ドライマウスは、口の中が乾燥することでさまざまなトラブルを引き起こしますが、悪化すると危険な場合もあるので、しっかりと治療や対策をすることが大切です。

病変がなくても、気になる症状があれば歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科のある医療機関を受診してください。リラックスや口呼吸を減らすなど、家庭でできることもありますが、医療機関で相談し、唾液分泌量検査や適切な治療を受けることも必要です。

この記事の監修歯科医師