目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 歯科TOP
  3. コラム(歯科)
  4. 「口臭予防のためのセルフケア」を歯科医が解説 正しい歯磨きの方法・歯磨き剤の選び方のポイントとは?

「口臭予防のためのセルフケア」を歯科医が解説 正しい歯磨きの方法・歯磨き剤の選び方のポイントとは?

 公開日:2023/11/20
「口臭予防のためのセルフケア」を歯科医が解説 正しい歯磨きの方法・歯磨き剤の選び方のポイントとは?

少しずつマスクを外す機会も多くなった近頃、誰かと会話する際に「自分の口臭が気になる」という方も多いのではないでしょうか。今回は、口臭予防のためのセルフケアのポイントや日常生活における注意点などを、医療法人四葉まき歯科の副島先生に解説していただきました。

副島 太悟

監修歯科医師
副島 太悟(医療法人四葉 まき歯科)

プロフィールをもっと見る
神奈川歯科大学卒業。「健口から健康のお手伝い」をコンセプトに、一般歯科をはじめ小児歯科、矯正歯科、口腔外科などと幅広い医療を提供している。日本口腔インプラント学会専門医、ICOI口腔インプラント学会認定医・ITIフェロー、日本顎咬合学会咬み合わせ認定医。

なぜ口がクサくなる?「生理的口臭」「病的口臭」の原因について

なぜ口がクサくなる?「生理的口臭」「病的口臭」の原因について

編集部編集部

「口臭」にはいくつかのタイプがあると聞いたのですが、具体的にどのような種類があるのでしょうか?

副島 太悟先生副島先生

口臭には大きく分けて「生理的口臭」「病的口臭」「外的口臭」「心理的口臭」の4つのタイプがありますが、一般的に口臭として多いのは「生理的口臭」と「病的口臭」の2つです。

編集部編集部

では、代表的な口臭の1つ「生理的口臭」について、その特徴や原因を教えてください。

副島 太悟先生副島先生

生理的口臭は「日常生活を送るなかで誰にでも生じる口臭」で、食事後の口に残ったタンパク質が分解され、それが歯や舌の表面に沈着してニオイを発生させます。ただ、通常は唾液がそれらをキレイに洗い流してくれるので、唾液が減少する起床時や空腹時、緊張時を除けば、口臭をそれほど強く感じることはありません。

編集部編集部

次に、もう1つの口臭「病的口臭」の特徴や原因を教えてください。

副島 太悟先生副島先生

病的口臭は「口や体の病気が原因で生じる口臭」です。歯科の分野では歯周病歯肉炎悪性腫瘍ドライマウス(口腔乾燥症)が病的原因を発生させます。また、耳鼻科領域の副鼻腔炎にくわえ、糖尿病肝臓疾患腎臓疾患など内科的な病気も病的口臭の原因になります。ただ、病的口臭の9割は口由来といわれており、なかでも多いのは「歯周病」です。歯周病はその原因菌が「魚や野菜が腐ったようなニオイ」と表現されるほど強い臭気を発生させます。

イヤな口臭を予防するセルフケアのポイントを歯科医が解説

イヤな口臭を予防するセルフケアのポイントを歯科医が解説

編集部編集部

口臭を予防するセルフケアのポイントを教えてください。

副島 太悟先生副島先生

口臭を発生させる原因の多くは歯や舌に残ったタンパク質なので、歯磨きや舌磨きでタンパク質を残さないようにすると予防効果は高くなります。とくに、生理的口臭の主な発生源は舌の表面ですので、舌のケアをしっかりおこなうと口臭は一気に軽減されます。したがって、1日1回は専用の舌ブラシで舌の表面の汚れを丁寧に落としていきましょう。

編集部編集部

口臭予防で歯磨き剤を選ぶ場合、どのような点に注目したらよいでしょうか?

副島 太悟先生副島先生

一般的によくいわれるのが、殺菌成分が配合された薬用歯磨き剤です。殺菌成分口臭の原因となる細菌に作用させ、口臭の軽減を図っていきます。他方、近年は「オーラルフローラ」という言葉に代表されるように、口の中の常在菌はできるだけ安定させ、悪い菌だけを選択的に除去したほうが良いという考えもあります。また、口臭のなかには薬用歯磨き剤を使ってもあまり改善しないケースも実は少なくありません。このようななかで、今注目されているのが「環状オリゴ糖」というオリゴ糖の一種を配合した歯磨き剤です。

編集部編集部

その「環状オリゴ糖」は口臭にどのような効果が期待できるのでしょうか?

副島 太悟先生副島先生

環状オリゴ糖はバケツのような構造をしていて、口臭の元となるタンパク質や細菌、さらにニオイの臭気を吸着して外に出す作用があります。さらに、その大きさが1ナノメートルと非常に小さく、その細かい粒子が歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットや舌のヒダの狭いすき間に入り込んで汚れを吸着できるのも特徴です。なので、当院ではオリゴ糖を配合した歯磨き粉を取り扱っています。

まだまだある口臭対策! 口臭を防ぐために普段の生活でできること・注意したいこと

まだまだある口臭対策! 口臭を防ぐために普段の生活でできること・注意したいこと

編集部編集部

セルフケア以外に、自分でできる口臭対策はありますか?

副島 太悟先生副島先生

唾液が減少すると口臭は強くなるため、唾液の分泌を促して口の乾燥を防ぐことも口臭対策としては非常に有効です。具体的な方法に「水分をこまめに摂る」「唾液腺のマッサージをする」などがあります。また、唾液の分泌は自律神経に支配されており、副交感神経が優位に働いた時に分泌量が多くなります。したがって、「十分な休息をとる」「規則正しい生活を心がける」「ストレスをためない」というのも口臭を防ぐうえでは重要です。

編集部編集部

唾液をたくさん出すには「よく噛むこと」も効果がありそうです。

副島 太悟先生副島先生

おっしゃるように、食べ物をしっかりよく噛むことも、唾液の分泌を促す効果があります。私はアナウンサーの方とお話しする機会も多いのですが、話すことが仕事なせいか皆さん「唾液がすごく出る」と口をそろえておっしゃいます。したがって、食事や会話などで口をよく動かすことも唾液の分泌を促すのに効果的でしょう。

編集部編集部

ちなみに、自分の口臭が気になった時にガムやキャンディーを食べるのは口臭対策になるのでしょうか?

副島 太悟先生副島先生

エチケット的な観点で、他人に迷惑をかけない工夫としては問題ないと思います。ただ、それは一時的な対処法に過ぎず、口臭を根本から治すものではありません。口臭を感じるということはそこに何かしら原因があるはずなので、まずはセルフケアの徹底や生活習慣の改善、水分の補給などをおこなうほうが口臭対策としては有効でしょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

副島 太悟先生副島先生

最近はマスクを外す機会も多くなってきているので、口腔内を清潔に保ちながら口臭対策もしっかりおこなっていきましょう。当院は「口腔は命の入口・心の出口」を診療のモットーにしていますが、口は食事を摂る入口であり、自分の想いを伝える出口でもあります。したがって、忙しい毎日でも口腔ケアを意識しながら、口と全身の健康を維持していただきたいと思います。

編集部まとめ

口臭にはいくつかのタイプがあり、それぞれで口臭の原因も異なります。私たちに身近な生理的口臭は、歯磨きや舌磨きで口臭の元となるタンパク質を除去することと、唾液の分泌を促して口の乾燥を防ぐことが口臭対策として有効なようです。一方で、病的口臭のように原因となる病気を治さないと口臭が改善されないケースもあります。口臭が気になったら早めに歯科医院を受診し、自分に合った口臭ケアをアドバイスしてもらいましょう。

医院情報

医療法人四葉まき歯科

医療法人四葉 まき歯科
所在地 〒855-0067 長崎県島原市上新丁1丁目4158-1
アクセス 島原鉄道「島原駅」 車5分
診療科目 一般歯科/予防歯科/矯正歯科/小児歯科/審美歯科/口腔外科/訪問診療/インプラント

この記事の監修歯科医師