「肩・腰・膝」の痛みの原因・整骨院で受けられる運動療法を部位別に解説
「肩こり」や「腰痛」は日本の国民病とも言われているほど、たくさんの人が悩んでいます。しかし、なんとなく「どこに相談していいのかわからない」「そもそも治る気がしない」「我慢するしかない」と、放置している人も多いようです。今回は「肩・腰・膝」の痛みにフォーカスを当てて、整骨院で受けられる運動療法を「まつもと整骨院」の松本先生に紹介していただきました。
監修柔道整復師:
松本 崇信(まつもと整骨院)
「肩こり」の原因・整骨院で受けられる施術とは
編集部
まず、肩こりについて教えてください。
松本先生
肩こりは、首~肩甲骨にかけて痛みや違和感、動かしにくさなどを感じる症状で、日本の国民病とも言われています。平成22年の厚生労働省の調査では、「日本人の1100万人が肩こりに悩まされている」という結果が出ているようです。
編集部
なぜ、そんなに肩こりの人が多いのですか?
松本先生
肩こりに悩んでいる人が多い理由としては、「根本的な原因の把握が難しいこと」と「原因を根本から改善・解決できるような正しい治療や施術を受けることが難しいこと」が考えられます。
編集部
つまり、原因を見つけて、それに対応していくことが大事なのですね。
松本先生
そうですね。肩こりに悩む人のほとんどは、筋肉が硬くなって血流が悪くなっています。特定の筋肉が固まってしまうと、骨格も歪んでしまうため、例えば当院では硬くなった筋肉をほぐして骨格を整える施術をおこないます。
編集部
ほかにも原因はありますか?
松本先生
日々の生活におけるアンバランスな姿勢や動作が肩こりの原因となっているパターンも多いですね。また、ここ数年のマスク生活で増えているのが、呼吸と関係する肩こりです。マスクによって大きく息を吸うことができず、無意識のうちに呼吸が浅くなることで、いわゆる「腹筋群」ではなく肩回りの筋肉を使い続けて肩こりを発症している人が増えていると感じています。
編集部
肩こりに対して、整骨院ではどのような運動療法をするのですか?
松本先生
当院では、ストレッチポールを使って背骨や骨盤、肩甲骨を広げる体操を指導しています。ストレッチポールの上に仰向けで横になることで、縮こまっていた肩から骨盤までの筋肉がリラックスし、適度に広がりが生まれます。そこからさらに体を動かして、筋肉を鍛えていくのです。自宅でもバスタオルを丸めて背中に入れれば、同じようなストレッチやトレーニングができるので、ぜひ取り入れてみてください。
- メディカルドック
「腰痛」の原因・整骨院で受けられる施術とは
編集部
次に、腰痛について教えてください。
松本先生
長時間同じ姿勢のデスクワークの人にも、反対に全身を使うようなお仕事の人にも、腰痛は起こり得ます。筋肉が衰えたり、筋力はあっても運動や動作での負荷が大きすぎたり、腰椎などの骨の老化や内臓の不調などによっても引き起こされます。
編集部
たくさんの原因があるのですね。
松本先生
そうですね。ほかにも、ほかの部分の痛みをかばっていることによる腰痛や産後の腰痛など、多岐にわたります。
編集部
腰痛はマッサージなどのセルフケアで改善できますか?
松本先生
たしかにマッサージもいい方法ですが、痛みの強い時期(炎症が出ている時期)におこなうと悪化することもあります。腰は多くの神経が通っている部位なので、悪化させないためにも、まずは整骨院などの専門機関に診てもらうことをおすすめします。
編集部
整骨院では、どのような施術が受けられるのでしょうか?
松本先生
まずは腰痛の原因を探り、それぞれにあった施術をおこないます。また、日常生活での注意点や自宅でできるエクササイズなどもお伝えして、再発予防に努めていただきます。具体的には、「反り腰」などで骨盤周りの筋肉が固まってしまっている場合は、バランスボールに乗って骨盤体操をおこないます。ほかには、インナーマッスルを鍛えるプランクなどの筋トレやお尻の筋肉のエクササイズも、腰痛に有効です。
「膝の痛み」の原因・整骨院で受けられる施術とは
編集部
最後、膝の痛みについても教えてください。
松本先生
明らかな転倒やスポーツ外傷、スポーツ障害などによるものを除くと、膝の痛みは荷重のかけ過ぎや、荷重のアンバランスなどによって、膝関節の軟骨などに負担がかかることが原因で起こります。
編集部
荷重のアンバランスとはなんですか?
松本先生
例えば、太ももの内側と外側で、筋肉のつき方や筋力のバランスが取れていないと、O脚やX脚になってしまいます。O脚やX脚というと、正面から見た時のラインだけのイメージがあるかもしれませんが、骨格の「ねじれ」を伴っているケースが多い傾向にあります。そうなると、膝の外側だけ、もしくは内側だけに過剰な力がかかり、痛みを引き起こしてしまうのです。
編集部
膝の痛みに対しては、どのような運動療法をするのですか?
松本先生
例えば、「長座位」と呼ばれる両足を前に投げ出して座る姿勢をとり、膝の下にタオルなどを入れた状態で、タオルを潰すようなイメージで膝を伸ばし切るエクササイズをおこないます。その際、「膝やつま先がしっかりと正面を向いていること」「太ももの内側の筋肉にきちんと力が入っているかどうか」を意識しておこなうと効果的です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
松本先生
肩こり・腰痛・膝の痛み、どの症状であっても体の使い方がキーポイントだと思っています。姿勢や動かし方が上手くいかず、体のどこか特定の部分に過剰な負荷がかかると、やがて痛みとして表れるのです。今回お伝えしたエクササイズはあくまで一例なので、まずはご自身の姿勢や動かし方のクセを専門家にみてもらってください。そして、適切な対処法を指導してもらうことで症状の改善が期待できます。症状に悩んでいたら、お近くの整骨院に相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
痛みが出た際の原因や整骨院での運動療法を、肩・腰・膝の部位別に解説していただきました。「どの症状であっても、体の使い方がキーポイント」という通り、自分自身の姿勢や動かし方のクセを、適切に評価してもらうことが大切とのことでした。また、自分でできるストレッチやトレーニングなども指導してもらえるので、自宅でも取り組めるのは継続しやすくて助かりますね。急性期の外傷以外は保険適用外となりますが、体の不調を感じる場合は整骨院に相談してみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒154-0003 東京都世田谷区野沢2-33-5 1F |
アクセス | 東急田園都市線「駒澤大学駅」 徒歩6分 |
診療科目 | 整骨院 |