「膝が痛くなりやすい人」の特徴を解説 痛みの原因とは?あなたは当てはまっていない?
膝の痛みには、いくつか種類があるそうです。それぞれの原因やメカニズムはどう違うのでしょうか? また、どんな共通点があるのでしょうか? そこで膝の痛みについて、柔道整復師の松本裕一郎先生( 整骨院らくらく堂)にMedical DOC編集部が話を聞きました。
監修柔道整復師:
松本 裕一郎(整骨院らくらく堂)
膝の痛みはなぜ起こる? 原因やメカニズムを柔道整復師が解説
編集部
膝の痛みはなぜ起こるのでしょう?
松本先生
明らかな怪我などを除くと、膝の痛みは大きく二つに分けられます。一つは、成長期の子ども(10~15歳)、とくにジャンプやダッシュ、キックなどの動作が多いスポーツをしている子どもに発生しやすいのが「オスグッド病」「ジャンパー膝」です。もう一つは、加齢に伴い、膝の軟部組織が老化して起こる膝の痛みです。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
松本先生
はい。「オスグッド病」「ジャンパー膝」は膝蓋骨、いわゆる「膝のお皿」から数cm下の部分(脛骨粗面)や周囲の腱に痛みや腫れ、熱感が生じた状態です。
編集部
何が原因で起こるのですか?
松本先生
この「脛骨粗面」と呼ばれる部分には「大腿四頭筋」という、スポーツには欠かせない強力な筋肉がついています。その筋肉を長く使いすぎると、筋肉の「引っ張る力」に耐えきれず、軟骨の一部が剥がれたり、膨れ上がったりして痛み、炎症を起こしてしまうのです。
編集部
「オスグッド病」「ジャンパー膝」は、安静にしているしかないのでしょうか?
松本先生
安静にしておくのはとても大事です。病院などでも「痛みがなくなるまで安静にしていてください」と言われることが多いようです。しかし、本当に安静にしなければならないのは「痛みや熱感が強い急性期」のみです。もちろん、自己流で運動を再開するのは危険ですが、専門家がそれぞれのお身体をしっかり評価・診断し、必要な施術をしたうえで、少しずつ動いていくのがよいと思います。
編集部
ほかに「オスグッド病」「ジャンパー膝」を早期に改善させるコツなどはありますか?
松本先生
とくに成長期の子どもには、栄養についての知識も大事です。筋肉の修復のためには、積極的なタンパク質の摂取を意識していただきたいですね。
女性に多い膝の痛みとは? 放っておくと手術が必要になる!?
編集部
もう一つの「加齢に伴い膝の軟部組織が老化して起こる膝の痛み」というのは?
松本先生
膝の関節には、関節の滑りを良くしたり、クッション性を良くしたりするために「軟骨」や「半月板」が存在しています。歳を重ねるにつれて、これらがすり減ったり、硬くなったりすると、関節に痛みや動かしにくさを引き起こしてしまうのです。初期のうちは、痛みや動かしにくさのみであることが多いのですが、進行すると腫れを生じたり、関節そのものが変形したりすることもあります。
編集部
それは辛そうですね。
松本先生
そうですね。特に、軟骨がすり減って関節そのものが変形してしまうと「変形性膝関節症」という状態になり、手術で人工関節に置換せざるを得なくなるケースも少なくありません。
編集部
歳をとるとみんなそうなってしまうのですか?
松本先生
そうとは限りません。統計的に見ると女性が圧倒的に多く、また肥満の方にも多いとされています。あとは、O脚や遺伝、正座などの生活様式とも関係があると言われています。
編集部
どうしたら良いのでしょうか?
松本先生
例えば、当院ではアライメント(骨格や筋肉の配列のこと)の調整や減量指導、生活指導などを行っています。先ほども申し上げましたが、膝の痛みを訴える方にはO脚の方が非常に多く、大腿四頭筋の一部である「内側広筋」の筋力が弱くなっているケースがよく見受けられます。それもトレーニングなどで内側広筋を強化していくと、「痛みが楽になった」と言っていただくことが多いですね。
膝の痛みの治療法やリハビリについて知りたい
編集部
どちらの痛みも、それぞれの原因を知って対処することが大事なのですね。
松本先生
そうですね。どちらも「正しくないアライメントで体のどこかに負担がかかっている」というのは共通した原因だと思います。無理のない姿勢で、適切に筋肉や関節を使っていれば、痛みを生じにくい体になっていくはずです。
編集部
例えばどのようなことをするのですか?
松本先生
膝だけに原因があるということはほとんどないので、体全体を見た上で必要なところを施術し、コンディションを整えていきます。例えば、筋肉をコントロールする脊髄神経(運動神経)が背骨の間から伸び出て骨盤を通って筋肉に作用するのですが、背骨の骨盤に歪みがあると、その神経にストレスがかかり、痛みが出る原因になることがあります。そこで姿勢改善をサポートし、神経のストレスを取ってあげることで、膝も楽になるといった具合です。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。
松本先生
痛みには必ず原因があります。多くの場合、先ほどの通り「アライメントの不良」がある場合が多く、さらには運動不足、ストレッチ不足が原因での痛みも多くみられます。普段から、正しい姿勢で適度な運動を心がけ、もし痛みを生じた場合も、「成長期だから」「歳だから」と自己判断して諦めず、専門家に相談してください。一人ひとりのお体をきちんと評価し、原因を取り除くことで、驚くほど楽になるかもしれませんよ。
編集部まとめ
「膝の痛み」について、柔道整復師の先生にお話を伺いました。膝の痛みといえど、膝だけが原因ではない場合も多いのですね。自己判断せず、専門家にみてもらうことで、痛みが取れるだけでなく、「正しい姿勢」「正しい使い方」ができるようになるのは嬉しいですね。
医院情報
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診療科目 | 接骨院 |