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【管理栄養士監修】肥満予防に効果的な栄養と食事とは?

 更新日:2023/03/27
【管理栄養士監修】肥満に効果的な栄養と食事とは?

肥満は、私たちの健康に深く関わる問題です。食が肥満をもたらすのであれば、食に肥満を解決するヒントがあるのではないでしょうか。ダイエットといえば、「量」がよく着目されますが、栄養についてはあまりよく知らないという方も多いでしょう。今回は肥満予防に効果が期待できる栄養と食事について、管理栄養士の石本さんに詳しく伺いました。

石本 めぐみ

監修管理栄養士
石本 めぐみ(管理栄養士)

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国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。

肥満は糖尿病や生活習慣病を招く

肥満は糖尿病や生活習慣病を招く

編集部編集部

肥満による体への影響を教えてください。

石本 めぐみさん石本さん

肥満とは「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」と定義されています。体へ必要以上に脂肪が貯め込まれている肥満は、糖尿病や脂質異常症、高血圧症、心血管疾患といった生活習慣病などを引き起こす可能性があるため、肥満の予防や解消は健康な生活を送る上で重要な課題です。

編集部編集部

なぜ肥満になってしまうのでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

私たちは食べ物を摂取して得たエネルギーを、活動することで消費しながら生きています。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうと、余ったエネルギーは脂肪になって体に貯め込まれてしまうのです。食べ過ぎはエネルギーの過剰摂取、運動不足はエネルギーの消費減少をもたらします。内分泌系の疾患によって肥満になることがありますが、肥満のほとんどはこのような食べ過ぎや運動不足が原因です。

編集部編集部

肥満を改善するには、どのような栄養を摂るべきですか?

石本 めぐみさん石本さん

食事を抜いたり、単品ダイエットのような極端にかたよった食事を摂ったりするのは、体調不良を招く恐れがあります。肥満を解消したい場合でも、栄養バランスのよい食事をきちんと摂りましょう。さらにその食事へ取り入れてほしい栄養素が、筋肉のもとになるたんぱく質、エネルギーの代謝に関わるビタミンB群、糖質の吸収や脂質の蓄積を抑える食物繊維です。

肥満を防ぐ栄養素とは

肥満を防ぐ栄養素とは

編集部編集部

たんぱく質は肥満予防に効果があるのですか?

石本 めぐみさん石本さん

たんぱく質は肌や髪、筋肉、内臓のもとになる栄養素です。たんぱく質が十分摂取できていなければ、筋肉量が減ってしまいます。運動していない状態でも消費されるエネルギーのことを基礎代謝と言いますが、筋肉量が少なくなれば基礎代謝が低下してしまうので、脂肪が減りにくくなってしまうでしょう。

編集部編集部

ビタミンB群は肥満予防にどのように働くのでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

ビタミンB1、ビタミンB2は糖質や脂質のエネルギー変換に作用する栄養素なので、エネルギー消費をスムーズにします。ビタミンB6はたんぱく質の分解を助けて、筋肉作りをサポートする栄養素です。ビタミンB群に含まれるナイアシンやパントテン酸も、糖質と脂質のエネルギー変換や、たんぱく質の分解に関わります。

編集部編集部

肥満予防に対する食物繊維の効果について教えてください。

石本 めぐみさん石本さん

食物繊維は腸の中で、糖質の吸収を遅らせる作用があります。食後の血糖値の上昇が緩やかになり、糖質を脂肪に変えて体に蓄えるインスリンというホルモンの分泌が抑えられるので、肥満防止に効果が見込めるでしょう。さらに腸内細菌が食物繊維をエサにして作り出す短鎖脂肪酸により、脂肪を体に貯め込む作用が抑えられることがわかっています。

編集部編集部

肥満を防ぐには、具体的にどのような食材がおすすめでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

鶏肉や豚肉、牛肉といった肉類は、たんぱく質やビタミンB群を豊富に含んでいます。肥満を防ぐためには、脂質が多いバラ肉よりも脂質が少ないヒレ肉などの部位を選んでください。大豆や乳製品、卵にもたんぱく質が多く含まれます。野菜や海藻、きのこ類は食物繊維が豊富ですが、じゃがいもやさつまいもなどの芋類、かぼちゃには糖質が多く含まれるので食べ過ぎないようにしましょう。

肥満を遠ざける食べ方の工夫

肥満を遠ざける食べ方の工夫

編集部編集部

1日2食にするなど、食事回数を減らすのはどうでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

ダイエットのために食事を抜く人や単品ダイエット、食事制限に取り組む人がいますが、食事は1日3食を規則正しく食べることが大前提です。食事を抜くと、次の食事の後に血糖値が急上昇してしまい、逆に太りやすくなってしまいます。単品ダイエットや食事制限は栄養バランスが偏り、生命維持に関わるエネルギーや栄養素が不足してしまう恐れがあるため、おすすめできません。

編集部編集部

早食いはよくないと聞きますが、肥満に影響はありますか?

石本 めぐみさん石本さん

お腹がいっぱいになると食事の手が止まると思いますが、食事を始めてから満腹感を覚えるまでに15〜20分かかると言われています。早食いすると、満腹だと感じるまでに食事を必要以上に食べてしまうので、肥満になりやすいでしょう。

編集部編集部

間食をしてはいけないのでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

単純に摂取エネルギーを増やしてしまうので、肥満を防ぐためには間食しないことが理想的です。しかし、どうしても食べたいときは、間食の時間や頻度を決めましょう。間食を摂る場合は、脂質や糖質が多く含まれる菓子類や、砂糖が多い清涼飲料を避けるようにしてください。間食は不足している栄養素を補う食事であると考えて、たんぱく質を多く含むヨーグルトやチーズなどの乳製品、ビタミンが豊富な果物を少量摂ることがおすすめです。

編集部編集部

お酒も控えるべきでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

お酒にもアルコール由来のエネルギーが含まれており、ビールやワイン、日本酒などの醸造酒は糖質も多くなっています。たくさんお酒を飲めば、その分エネルギーや糖質を多く摂取することになるでしょう。また、お酒を飲むと食欲が増進されておつまみに手が伸びるため、エネルギー過多になりがちです。肥満を防ぐのであれば、お酒は控えたほうがよいでしょう。

編集部まとめ

肥満を防ぐには、筋肉のもとになるたんぱく質、エネルギー消費に関わるビタミンB群、糖質の吸収や脂質の蓄積を抑える食物繊維といった栄養素が有効であることがわかりました。早食いや間食、お酒を控えることも肥満予防に効果的です。食生活を見直して、毎日の食事から肥満予防に取り組んでみてください。

この記事の監修管理栄養士