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「アストロウイルス」の集団感染で下痢・嘔吐を訴え…ノロウイルスとの違い・初期症状を医師が解説

 公開日:2025/03/18

北海道の稚内保健所は、宗谷地方の保育施設で園児35人が下痢や嘔吐を訴え、アストロウイルスの集団感染が確認されたと発表しました。この内容について吉野医師に伺いました。

吉野 友祐

監修医師
吉野 友祐(医師)

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広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。

アストロウイルスに関するニュース内容とは?

稚内保健所が発表した内容を教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

今回は、北海道の宗谷地方にある保育施設で、1~5歳の園児35人が下痢や嘔吐などの症状を訴えていることが明らかになったというニュースを紹介します。稚内保健所の調査で、アストロウイルスによる集団感染であることが確認されました。

国立感染症研究所が発表している過去の事例を振り返ると、2013年3月に千葉県でアストロウイルスによる集団感染が2例発生しています。事例の1つは、千葉県南西部の小学校で発生し、全校生徒89名中20名が嘔吐や下痢、発熱を伴う症状を訴えました。詳細な検査の結果、ノロウイルスは検出されず、8検体すべてからアストロウイルス5型が検出されました。もう1つの事例は、千葉県内の同じ保健所管内の保育所で発生し、全園児154名のうち15名が症状を訴えました。こちらもノロウイルスは検出されず、11検体中9検体からアストロウイルス4型が検出されました。千葉県内では、同時期に県南部で散発的なアストロウイルス4型の検出が5件報告されるなど、小規模な流行が確認されています。

今回の宗谷地方での集団感染も過去の事例と同様に、幼児施設で発生している点が共通しています。感染拡大を防ぐためには、手洗いや消毒の徹底などの基本的な感染対策を実施することが重要となるでしょう。

アストロウイルスとは?

アストロウイルスの初期症状や原因を教えてください。また、ノロウイルスとの違いはなんですか?

吉野 友祐 医師吉野先生

アストロウイルスは、乳幼児に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスで、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が表れます。潜伏期間は1~4日で、高齢者施設での発生も報告されています。その一方、ノロウイルスの潜伏期間は1~2日で、嘔吐や下痢、軽度の発熱を伴い、通常2~3日で回復します。ノロウイルスは脱水症状を引き起こす可能性があり、特に乳幼児や高齢者は注意が必要です。感染経路はどちらも接触・飛沫・経口感染で、汚染された食品や感染者の排泄物・吐物を介して広がります。両者のウイルス違いとして、アストロウイルスの症状は、一般的にノロウイルスよりも軽症とされています。

今回のアストロウイルスに関するニュースの受け止めは?

稚内保健所が発表した内容への受け止めを教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

稚内保健所が発表したアストロウイルスによる集団感染は、特に保育施設での発生が指摘されているため、非常に注意が必要です。アストロウイルスに感染しても軽症で済むことが多い傾向にありますが、乳幼児は免疫系が未熟であるため重症化することもあります。今回の事例では、35人の園児が下痢や嘔吐といった症状を訴えており、これによる影響は小さくないと考えられます。今回のような集団感染の発生を受けて、感染拡大の防止として基本的な衛生管理や感染対策の徹底が求められます。具体的には、手洗いの励行、適切な消毒方法の実施、感染者の早期発見と隔離などが挙げられます。また、保育士及び保護者への教育も重要です。

今回の北海道の事例を通じて、アストロウイルスに対する認識を深め、今後の感染症対策に活かすことが重要であると考えます。

編集部まとめ

アストロウイルスは、乳幼児を中心に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスとのことでした。手洗いや消毒の徹底、食品の適切な管理が予防の基本となります。特に保育施設や家庭では、子どもの衛生習慣を意識し、日頃から感染症対策を実践しましょう。

この記事の監修医師

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