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「身近なプラ製品」で有害物質を知らずに摂取している 思わずゾッとする“生活用品の真実”とは

 公開日:2025/03/18

アメリカの研究者らは、電子廃棄物のリサイクルによる家庭用品の難燃剤汚染に関する調査をおこないました。その結果、電子機器特有の難燃剤が家庭用品にも含まれていることが判明し、「消費者が意図せず、有害化学物質にさらされている可能性がある」と警鐘を鳴らしました。この内容について吉川医師に伺いました。

吉川 博昭

監修医師
吉川 博昭(医師)

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医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカの研究者らが発表した内容を教えてください。

吉川 博昭 医師吉川先生

今回紹介する研究報告は、アメリカの研究者であるメーガン・リウ氏、エリカ・シュレーダー氏らによって発表されました。アメリカ市場で販売されている黒色プラスチックの家庭用品を調査した結果、電子機器に特有の難燃剤を含んでいることが確認されました。分析した製品の85%から難燃剤が検出され、その最大濃度は2万2800mg/kgに達していました。特に、電子機器のプラスチックハウジングで使用されるポリマーを含む製品では、高濃度の難燃剤が検出されました。

臭素系難燃剤(BFR)」や「有機リン系難燃剤(OPFR)」は、発がん性や内分泌かく乱、神経毒性などの健康への悪影響が懸念されています。しかし、多くの国では電子機器における難燃剤の使用に関する規制が十分ではなく、リサイクルされたプラスチックが意図せず家庭用品に使用されることで、消費者が不要な化学物質にさらされるリスクが高まっています。特に、食品に触れる製品や子ども向けの玩具から難燃剤が検出されたことは、深刻な問題と言えます。欧州連合(EU)では、一部の臭素系難燃剤の使用を制限する規制があるものの、アメリカでは十分な規制が整備されていないのが現状です。一部の州では、特定の難燃剤の使用を制限する動きがみられますが、リサイクルの過程で有害物質が再利用されることを防ぐ政策は不足しています。

今回の研究結果は、プラスチック製品のサプライチェーンの透明性を向上させ、有害な化学物質を排除する必要があることを示しています。今後は、リサイクルされたプラスチックの安全性を確保し、消費者の健康リスクを低減するための適切な規制が求められます。

日常でよく使う生活用品の中に有害物質が含まれている可能性は?

我々がよく使う生活用品の中に、有害物質が含まれている物はありますか?

吉川 博昭 医師吉川先生

普段の生活で使っている物の中にも、有害な物質が含まれていることがあります。例えば、プラスチック製の保存容器が代表的で、電子レンジで加熱すると臭素系難燃剤やフタル酸エステルといった化学物質が溶け出し、ホルモンバランスに影響を与える可能性があります。また、食器にも注意が必要です。特に、安価な陶器には鉛やカドミウムが含まれていることがあり、使い続けることで体内に蓄積するリスクも考えられます。さらに、まな板ラップ類衣類洗剤化粧品に含まれる成分など、私たちの身の回りには見えない化学物質が潜んでいます。日用品はできるだけ安全なものを選び、正しい使い方を心がけることが大切です。

研究内容への受け止めは?

アメリカの研究者らが発表した研究内容の受け止めを教えてください。

吉川 博昭 医師吉川先生

本研究は、電子機器由来の難燃剤が一般家庭用品にも混入し、有害物質を摂取するリスクがあると指摘しています。特に食器や子ども用玩具にこうした化学物質が含まれることは、健康リスクの観点から看過できません。現状では十分な規制がないので、今後はリサイクル過程での管理強化や、成分表示の義務化などの政策面での対応が必要になるでしょう。

編集部まとめ

今回の研究で明らかになったのは、電子機器のプラスチックがリサイクルされる過程で、難燃剤が家庭用品に紛れ込む可能性があるということです。特に、食品に触れる容器や子ども向け製品に有害物質が含まれているケースは大きな懸念材料です。毎日の生活の中で、少しずつ安全な選択を意識することが健康を守る第一歩となるでしょう。

この記事の監修医師

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