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「糖尿病」一直線!? “間食”にスナック菓子を過剰摂取するリスクとは 米研究

 公開日:2024/05/26
アメリカの成人は1日の摂取カロリーの20%を間食から摂取

オハイオ州立大学の研究グループは、「アメリカの成人の総食事摂取量に占める間食の割合が約20%を占め、間食で摂取したカロリーの約半分はスナック菓子と菓子類、非アルコール飲料で、果物や野菜は間食エネルギーの5%だった」という結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

オハイオ州立大学の研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介するのはオハイオ州立大学の研究グループが実施した研究で、研究結果は学術誌「PLOS Global Public Health」に掲載されています。

研究グループは、2005~2016年のNHANES(米国全国民健康・栄養調査)の30歳以上の成人2万3708人のデータを分析し、糖尿病の状態によって層別化した米国成人の間食機会からの食品および栄養素の摂取カテゴリーとその寄与を明らかにしました。その結果、糖尿病のない成人の間食のエネルギー摂取量は約498kcalで、1日の総エネルギー摂取量の22.4%となりました。糖尿病予備軍は467kcal(1日の総エネルギー摂取量の21.3%)、コントロールされている2型糖尿病は435kcal(1日の総エネルギー摂取量の19.5%)、コントロール不良の2型糖尿病の人は423kcal(1日の総エネルギー摂取量の19.6%)でした。

また、全成人における間食時に消費されるエネルギーの約半分は、スナック菓子と菓子類、非アルコール飲料だったこともわかりました。アルコール飲料は非糖尿病群の間食エネルギーの14.6%を占め、ほかの群より2倍多くなりました。非アルコール飲料の割合が最も低かったのは、糖尿病コントロール群でした。一方で、果物や野菜は間食エネルギーの5%にとどまりました。

研究グループは、今回の結果について「本研究の結果は既に実施されているほかの研究とも一致しており、間食が1日のエネルギー摂取量の相当量(19.5~22.4%)を占めていることを示している。糖尿病の有無にかかわらず、間食は食事全体の栄養の質にほとんど寄与しておらず、より悪い食事パターンをもたらす可能性があることが示された」と考察しています。

今回の研究の背景とは?

オハイオ州立大学の研究グループが今回の研究を実施した背景を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

最近のアメリカ人のための食事ガイドラインでは、地中海料理などの特定の食事パターンが2型糖尿病を含む慢性疾患の予防と関連していることから、全体的な食事パターンに焦点が当てられています。ただ、こうした食事パターンによって食事摂取の全体像が把握できる一方で 、食事の機会、例えば食事と間食における洞察は得られない可能性があることに研究グループは着目しました。

USDA(アメリカ合衆国農務省)は、5年ごとに健康的な食事パターンの一部として「アメリカ人のための食生活ガイドライン」を発表していますが、スナック菓子が1日のエネルギー摂取量に大きく寄与しているにもかかわらず、各食事の機会、特にスナック菓子に関する全国的な専門家によるエネルギーや栄養素の勧告は実施していません。「アメリカでは糖尿病の有病率が上昇しており、健康を支える食事行動を特定することは、糖尿病の管理を支援し、糖尿病予備軍から糖尿病への進行を遅らせるために不可欠なステップである」と研究グループは捉えました。こうした背景から、アメリカの糖尿病のない成人、糖尿病予備軍、2型糖尿病患者における間食の消費量、構成、1日のカロリーおよび栄養への寄与を評価することを目的に、今回の研究が実施されました。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

オハイオ州立大学の研究グループによる発表への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

これまで肥満や糖尿病などの原因として、お菓子などの間食によるカロリー摂取過多が指摘されていましたが、それを証明する研究はほとんどなされていませんでした。今回の研究の優れた点は、これらを具体的に定量的に解析したことであると思われます。お菓子はカロリーが高い一方、ビタミンやミネラルはほとんどなく、健康的な食品とは言えません。そのため、日本人でも同様な注意が必要と思います。しかし、今回の研究はアメリカ人での検討であり、このデータを食生活の異なる日本人にそのまま当てはめるには難しいかもしれません。今後、同様の研究が日本でもおこなわれることを期待します。

まとめ

オハイオ州立大学の研究グループは、「アメリカの成人の総食事摂取量に占める間食の割合が約20%を占め、間食で摂取したカロリーの約半分はスナック菓子と菓子類、非アルコール飲料で、果物や野菜は間食エネルギーの5%だった」という結果を発表しました。今回の研究結果はアメリカでのデータによるものですが、間食によるカロリー摂取の割合については注目を集めそうです。

この記事の監修医師