大正製薬「抗肥満薬」処方箋なしで購入可能に「下痢や肝機能障害などの副作用に注意して使用を」
11月28日、厚生労働省の専門家部会は大正製薬が販売する抗肥満薬「オルリスタット」を、医師の処方箋がなくても薬局で買える薬として承認することを了承しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
厚生労働省の専門家部会が了承した内容とは?
11月28日に開かれた厚生労働省の専門家部会が了承した内容について教えてください。
中路先生
今回紹介するニュースは、11月28日に開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(要指導・一般用医薬品部会)で議論された内容についてです。この専門家部会では、大正製薬の脂質吸収抑制薬、いわゆる抗肥満薬である「アライ(一般名:オルリスタット)」を、要指導医薬品として承認することが了承されました。正式に承認されれば医師の処方箋なく、薬局で購入できるようになります。なお、再審査期間は8年です。
厚生労働省によると、オルリスタットは「健康障害を伴わない肥満の者において、生活習慣改善の取組みと併せて、内臓脂肪及び腹囲を減少する上での補助的な位置付けとして使用する初めての医薬品である」とのことです。
抗肥満薬「オルリスタット」とは?
11月28日の専門家会議で議論された抗肥満薬「オルリスタット」について教えてください。
中路先生
抗肥満薬「オルリスタット」は、日本で医療用としての使用経験がない一般用医薬品です。生活習慣改善の取り組みをおこなっている腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の人で内臓脂肪を減少させる効能・効果などが謳われています。オルリスタットはリパーゼ阻害作用があるため、消化管管腔内でリパーゼを不活性化させ、食事の際の脂質が体内に吸収されることを抑制すると考えられています。2019年3月時点では、アメリカをはじめとする100以上の国でオルリスタット120mgカプセルが医療用医薬品として承認されています。また、オルリスタット60mgカプセルは、70以上の国でOTC医薬品として承認されています。
オルリスタットが処方箋なしで買えるようになることへの受け止めは?
抗肥満薬「オルリスタット」が処方箋なしで買えるようになることへの受け止めを教えてください。
中路先生
肥満は生活習慣病の原因の1つであり、生活習慣病のリスク因子の改善が期待できる薬が今回承認されたことは歓迎されます。しかし、内服後に脂肪の排泄量が増加して下痢になったり、肝機能障害が起きたりした例などの副作用も報告されているため、注意が必要です。また、誤って瘦せている人が内服しないようにする必要もあります。加えて、オルリスタットの使用はあくまで補助的なものであり、食事や運動の生活習慣の改善が前提となります。日頃の生活習慣が乱れていては本末転倒ですので、普段から食事療法と適度な運動を心がけてください。
まとめ
11月28日、厚生労働省の専門家部会は大正製薬が販売する抗肥満薬「オルリスタット」を医師の処方箋がなくても薬局で買える薬として承認することを了承したことが今回のニュースでわかりました。オルリスタットを薬局で購入する際には、薬剤師が対面で情報提供や指導をおこなうことが必要です。