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2024年「スギ花粉」全国的に“平年並み~少ない”傾向、日本人の4人に1人が「花粉症」

 公開日:2024/02/08

環境省は、花粉を飛散させるスギの雄花の芽の数が、今シーズンは全国的に平年並みか平年より少ない地域が多い傾向と発表しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

2024年のスギ花粉の傾向は?

2024年のスギ花粉の傾向について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

2024年のスギ花粉の傾向について、環境省が2023年11~12月に実施した花粉を飛散させるスギ雄花の芽の数の調査結果が出ています。この調査は35都府県で実施されており、今シーズンは過去10年間の平均と比べてみると、東京や大阪など16都府県が80%以上120%未満で平年並み、京都や広島など14府県が80%未満で平年より少なくなっているとのことです。ただし、岩手、愛知、兵庫、島根の4県は120%以上で、平年より多くなっていることも明らかになっています。

伊藤環境大臣は、記者会見で「花粉症は近年、大きな社会問題になっている。発生源対策や飛散対策などを着実に実施していく」と述べるなど、国を挙げて影響を問題視していることがわかります。なお、日本花粉学会は、スギなどの花粉飛散量の表示について、これまでは「少ない」「やや多い」「多い」「非常に多い」の4段階に加えて、1平方cmあたり100個以上の飛散量となるときは「極めて多い」とする新たなランクを設けています。

花粉症とは?

そもそも花粉症とはどういったものなのか、改めて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状で、「季節性アレルギー性鼻炎」とも言います。日本人のおよそ4人に1人が花粉症だと言われています。

花粉が目や鼻から入ってくると、免疫システムによって異物とみなされて「IgE抗体」が生成されます。IgE抗体は花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されていきます。そして、一定のレベルに達すると、ヒスタミンなどの化学物質が分泌されて、くしゃみや鼻水などの花粉症の症状を起こします。歳をとって急に花粉症の症状が表れるのは、IgE抗体が蓄積された結果です。

花粉症の診断には、血中IgE検査や、皮膚反応検査、鼻粘膜誘発テストなどがあります。

花粉症治療は、薬を使った対症療法が基本となり、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などの薬が用いられます。薬を使った治療で十分な効果が得られない場合には、レーザー手術をおこなうこともあります。また、最近では「舌下免疫療法」という根治療法も注目を集めています。

花粉症対策で重要なことは?

日本人の多くが悩んでいる花粉症ですが、対策で重要なことを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

花粉症は、主に春先や秋のシーズンに悩まされることの多いアレルギー性疾患であり、花粉が体内に入ると免疫系が異物として認識し、過剰な反応を起こします。花粉症の症状には、鼻づまり・くしゃみ・鼻水・目のかゆみ・充血などがあり、花粉症がひどい場合には、咳・全身の倦怠感・頭痛・熱感・食欲不振などの症状が表れて、人によっては仕事や私生活に重大な影響を及ぼすことも考えられます。

大人でも子どもでも発症する恐れがあるので、日常的に免疫力を向上できるようにセルフケア対策を実践するとともに、特に花粉の飛散量の多い時期は、外出時のマスク着用や室内への花粉の侵入を防ぐ工夫をする必要があります。

「花粉症は治療しなくても、そのうち治る」と考える人もいるかもしれませんが、残念ながら過去20年の調査研究によれば、治療をせずに根治するとは考えにくいとされています。花粉が飛んでいる時期に症状を放置すると、花粉症の症状が悪化して治療しても症状を抑えるのが難しくなってしまうので、早めに治療を開始することが大切です。

まとめ

環境省は、花粉を飛散させるスギの雄花の芽の数が、今シーズンは全国的に平年並みか平年より少ない地域が多い傾向と発表しました。日本人の4人に1人が発症していると言われる花粉症ですが、上手に対策して辛いシーズンを乗り切りたいところですね。

この記事の監修医師