新型コロナウイルス5類引き下げ「必要な準備を進めながら段階的に移行すべき」
1月11日、厚生労働省の専門家組織は新型コロナウイルスの感染症法上の分類を5類に変更することについて、「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」との見解を示しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
専門家組織が示した見解とは?
今回、厚生労働省の専門家組織が示した見解について教えてください。
中路先生
今回示された厚生労働省の専門家組織による見解は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類見直しについての内容となります。2022年12月21日に政府が公表した新型コロナウイルス重症化率などのデータで、オミクロン株が流行した2022年7~8月の80歳以上の重症化率が1.86%、致死率が1.69%と、季節性インフルエンザの数値をそれぞれ下回ったことが示されたことなどから、政府は5類への見直しを検討しています。
1月11日に開催された厚生労働省の専門家組織、いわゆるアドバイザリーボードの会合では、分類見直しについて協議がおこなわれました。その結果、現在の2類相当から季節性インフルエンザなどと同じ5類に変更する場合は、治療費や医療提供体制の確保などに関して「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」との見解がまとめられました。その上で「新型コロナウイルスのリスクと対策について、国民が納得感を得られる施策をおこなう」との提案もしています。
感染症法上の分類とは?
感染症法で規定されている分類について教えてください。
中路先生
感染症法では、1類から5類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分けられています。「1類感染症」はエボラ出血熱などが該当し、入院等の対人措置や消毒などの対物措置、交通制限等の措置が可能になります。「2類感染症」は結核などが該当し、入院等の対人措置と消毒等の対物措置が可能になります。「3類感染症」はコレラなどが該当し、就業制限等の対人措置、消毒等の対物措置が可能になります。「4類感染症」は狂犬病などが該当し、動物への措置を含む消毒等の措置をとることができます。「5類感染症」はインフルエンザや梅毒、麻疹などで発生動向調査が実施できます。
また現在、新型コロナウイルスが分類されている新型インフルエンザ等感染症は、入院等の対人措置、消毒等の対物措置が可能になります。加えて、政令により1類感染症相当の措置も可能になったり、感染した恐れがある被地に対する健康状態報告要請や外出自粛要請などの実施が可能になったりします。
専門家組織の見解への受け止めは?
厚生労働省の専門家組織が示した見解について受け止めを教えてください。
中路先生
やはり、いきなり5類へ変更するのは現場の混乱を招く恐れがあります。そのため、今回の政府の段階的変更の方針は評価されるべきだと考えます。
まとめ
厚生労働省の専門家組織が、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を5類に変更することについて、「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」との見解を示したことが今回のニュースでわかりました。経済活動の回復を政府が目指す中で、どのような決定がなされるのか、今後も注目が集まりそうです。