厚生労働省「オミクロン株BA.5対応ワクチン」の使用承認 ファイザー製4300万回分
10月5日、厚生労働省は新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流となっているBA.5に対応する改良型ワクチンについて、国内での使用を正式に承認しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
BA.5対応ワクチン承認の経緯は?
厚生労働省がBA.5に対応する改良型ワクチンの国内での使用を正式に承認した経緯について教えてください。
甲斐沼先生
10月5日、厚生労働省の専門家による部会が開かれました。会議ではファイザーが承認の申請をしていた現在の感染の主流になっているBA.5やBA.4、従来の新型コロナウイルスに対応するワクチンについて議論がおこなわれました。BA.5にも対応するワクチンについて、体内で作られるウイルスの働きを抑える中和抗体の値の上昇が確認され、BA.5を含む変異株に対する予防効果が期待されると評価されたことに加え、安全性については影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとして、部会は国内での使用を了承しました。その後、厚生労働省がBA.5に対応するワクチンを正式に承認しました。
BA.5対応ワクチンの接種計画は?
BA.5に対応するワクチンの接種計画について教えてください。
甲斐沼先生
今回、正式に承認されたBA.5やBA.4などに対応するワクチンの自治体への配送計画についてですが、10月10日~11月上旬にかけてファイザー製のワクチンおよそ4300万回分が配送される計画となっています。9月20日から始まっているオミクロン株のBA.1対応ワクチンと今回承認されたBA.5対応ワクチンの2種類のオミクロン株対応ワクチンの配送数を合計すると、11月上旬にかけて約8000万回分になるとのことです。
BA.5対応ワクチン承認の受け止めは?
厚生労働省がBA.5に対応するワクチンの国内での使用を正式に承認したことについて受け止めを教えてください。
甲斐沼先生
今回、厚生労働省はアメリカの大手製薬会社ファイザーが承認申請していたオミクロン株対応ワクチンの国内使用について承認許可を実施して、2022年の年末年始の時期に感染拡大が懸念されていることに備えて、希望者全員が年内に接種を完了できるように社会体制の整備を進めています。厚生労働省の見解では、「BA.5あるいはBA.4に対応するどちらのワクチンでも、オミクロン株に対して従来株に対するワクチンの有効性を上回る効果が期待されるだけでなく、今後出現する可能性がある変異株にも一定の効果を持つ」とのことです。そもそも、BA.1とBA.5に大きな相違点は認められず、9月から日本でも接種が開始されているBA.1対応ワクチンでも感染による重症化防止効果は一定程度期待されています。然るべき時期に接種できる機会を逃さず、確実にワクチンを接種することが重要なポイントであると考えられます。
また、アメリカの製薬会社モデルナは、FDA(アメリカ食品医薬品局)が2022年8月末に緊急使用許可を出して実際に海外で広く接種が実施されているオミクロン株のBA.4やBA.5、あるいは従来の新型コロナウイルスに対応する成分を含むワクチンに関して、厚生労働省に対して使用承認を求める申請をおこないました。今後、さらに新型コロナウイルスのオミクロン株に対応できる感染対策が充実すると期待されます。
まとめ
厚生労働省が10月5日、新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっているBA.5に対応するワクチンについて、国内での使用を正式に承認したことが今回のニュースでわかりました。新しいワクチンが滞りなく接種されるかどうかも注目が集まります。