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「全く新しい新型コロナウイルス変異株」今年の冬に出現する可能性あり

 更新日:2024/03/08
欧州医薬品庁 「全く新しい変異株」が今年冬に出現する可能性示唆

EMA(欧州医薬品庁)は、今年の冬に新型コロナウイルスの「全く新しい変異株」が出現する可能性があるとの見解を示しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

今回のニュースのポイントは?

今回紹介するニュースのポイントについて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回のニュースは、EMAのワクチン戦略責任者であるマルコ・カバレリ氏がおこなった記者会見の内容がもとになっています。カバレリ氏は、アムステルダムからのオンライン記者会見で「データによると、ヨーロッパでは多くの加盟国で数週間前に夏の流行のピークを迎えたものの、オミクロンBA.5変異株の流行はまだ続いている」とした上で、「EMAは新型コロナウイルスの動向を常に把握し、予測が極めて困難な変異株に備えるため、状況を監視し続けています」と述べました。

そして、ワクチンの接種については「特定のワクチンを待つべきではない」と強調し、「我々が予測することができない全く新しい変異株が現れるかもしれない」との懸念を示しました。

会見では、オミクロン亜種BA2.75がほかの亜種より早く広がっているインドの状況を例に挙げて説明をおこないました。カバレリ氏は「ウイルスが高速で変異し続ける中、我々は全ての新しい変異株を追跡し、懸念される変異株を予測できるようにしている。現在インドで流行しているBA2.75は、特に注意深く監視する必要がある」と述べています。

新しい変異株の出現の可能性は?

新しい変異株の出現の可能性について、先生の考えを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

9月5日、新型コロナウイルス感染症変異株に関する患者等の発生について、厚生労働省より新たな報告がありました。海外から日本に帰国した際の検疫によって確認された新型コロナウイルス感染症患者などについて、国立感染症研究所で解析した結果、オミクロン株(B.1.1.529系統の変異株)が75例確認されたという報告がありました。

また、2022年7月時点の国立感染症研究所の見解では、新型コロナウイルスのBA.2系統の亜系統としてBA.2.75系統が定義されました。それに該当する最初の検体例は、2022年6月2日にインドから報告されたものであることが判明しています。インドでは、2022年5月に低水準で推移していた感染者数や死亡者数が6月以降に増加傾向を示している一方で、その疫学的事実とBA.2.75系統の相対的増加現象が直接的な関連性があるかどうかは不明となっています。

BA.2.75系統は既にインドのみならず複数国で検出されていることから、今後も新たな変異株の出現が予想されると同時に、その検出数が過小評価されないように注意深く経過観察することが重要であると考えます。

新しい変異株に対して、どのように備える?

新しい変異株に対してどのように備えればいいのか、先生の考えを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

EMAで予防接種戦略の責任者を務めるカバレリ氏は、「従来型ワクチンは新たな新型コロナウイルス変異株に対して感染予防効果が低いとはいえ、一定程度重症化や死亡率を軽減することはできる」と認識しています。また、ワクチンの追加接種に関しては、主に高齢者や基礎疾患を有する人、妊婦、医療従事者らにオミクロン株対応ワクチンを推奨しており、それ以外の人には従来型のワクチンを使用する考えを示しています。

我が国の新型コロナウイルス変異株における疫学的な評価に関しては、諸外国での検出状況、感染者数、重症者数の推移を十分注視する必要があり、今後も機動的な感染拡大防止策を講じることが重要であると考えます。

まとめ

EMAは、「全く新しい新型コロナウイルスの変異株」が今年の冬に出現する可能性があるとの見解を示したことが今回のニュースでわかりました。次々と出てくる変異株をどのように対処していくのかについて、今後も注目が集まります。

この記事の監修医師