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新型コロナの新たな変異株「ピロラ」に対してモデルナの次期ワクチンが有効か

公開日:2023/09/15
モデルナの次期ワクチン 新たな変異株「ピロラ」にも効果

アメリカの製薬大手モデルナは、新型コロナウイルスの最新版ワクチンの臨床試験で、多数の変異があり警戒されている新たな変異株「BA.2.86」、通称「ピロラ」に対して強い免疫反応が確認されたと発表しました。このニュースについて、中路先生にお話を伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

モデルナが発表した内容とは?

モデルナが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介するのは、モデルナが2023年9月6日付のプレスリリースで発表した内容です。モデルナによると、2023年秋のワクチン接種シーズンに向けてFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認待ちとなっている次期新型コロナウイルスワクチンがBA.2.86、通称ピロラに対する中和抗体を、ヒトで8.7倍増加させたことを明らかにしました。

この結果について、モデルナは「我々の新型コロナウイルスワクチンが、高度に変異したBA.2.86変異株に対する強力なヒト免疫応答を生成することを示しています。EG.5およびFL.1.5.1変異株に対しても有効な反応を示すという以前に発表した結果と合わせると、これらのデータは今秋のワクチン接種シーズンに向けて、当社の新型コロナウイルスワクチンが引き続き重要な予防手段となることを裏付けるものです。当社は世界的な公衆衛生の脅威を迅速に評価し続け、新型コロナウイルスに対する当社のmRNAプラットフォームの活用に全力を尽くします」とコメントしています。

新たな変異株ピロラとは?

モデルナが発表した内容は新たな変異株BA.2.86、通称ピロラに関するものでした。この変異株についてわかっていることを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

BA.2.86、通称ピロラは、オミクロン亜種の「BA.2」から生じたものです。BA.2.86のスパイクタンパクはBA.2と比べて、34個の変異が確認されています。2023年8月21日の時点で、デンマークで3例、イギリス、イスラエル、アメリカでそれぞれ1例が確認され、WHOは監視対象ウイルスのリストに加えて警戒しています。日本では、2023年9月7日に東京で第1例目が確認されており、同日時点では世界で42例が確認されています。

BA.2.86が注目されている理由は、変異の多くはスパイクタンパク質領域にあるため、以前の感染やブースター接種により作られた中和抗体から逃れる可能性が高いことが挙げられます。また、感染例が地理的に分散していることから、すでに広く分散して存在する可能性があることも注目される理由の1つです。

現在の新型コロナウイルスの感染状況への受け止めは?

新型コロナウイルスの現在の感染状況についての受け止めを教えてください。新たな変異株BA.2.86、通称ピロラは感染状況にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

全数把握から定点把握となって以降、新型コロナウイルスの正確な流行状況の把握は難しくなっていますが、現在の日本における感染者数や入院患者は増加傾向がみられています。アメリカやイギリスなどの海外においても、夏の終わりに入ってから感染拡大の波が広がっており、秋のワクチン接種を前倒しで準備を進めている状況です。BA.2.86のような新たな変異株は、感染拡大の新たな波を引き起こす可能性があります。そのため、今回のモデルナの次期新型コロナウイルスワクチンの追加接種は、重症化や入院者数を減らすのに有効な手段であると考えられます。

まとめ

アメリカのモデルナは、「新型コロナウイルスの最新版ワクチンの臨床試験で、多数の変異があり警戒されている新たな変異株BA.2.86、通称ピロラに対して強い免疫反応が確認された」と発表しました。次々と現れる新型コロナウイルスの変異株には、今後も注視が必要です。

この記事の監修医師