マスク着用者の55%がニキビやかゆみなどの皮膚障害に「4~6時間の着用が肌荒れの危険因子」
シンガポールの南洋理工大学の研究グループが、マスク着用と皮膚疾患・障害の関連について観察研究したところ、マスク着用者の55%に皮膚障害がみられることを発表しました。マスク着用による皮膚障害について竹内医師に伺いました。
監修医師:
竹内 想(医師)
研究グループが発表した内容は?
シンガポールの南洋理工大学の研究グループが発表した内容について教えてください。
竹内先生
今回取り上げるのは、シンガポールの南洋理工大学の研究グループの発表についてです。研究対象となったのは世界17カ国の観察研究37件で、文献調査をしてメタ解析をおこなった結果に基づく内容です。その結果、2万9557例のうち皮膚障害がみられた人の割合は55%でした。よくみられた皮膚疾患及び皮膚障害とその割合は、痤瘡(ニキビ)が31%、皮膚炎が24%、搔痒感(そうようかん)が30%、耳などの擦り傷が31%でした。また、顔面の皮膚障害の発症の危険因子は、4~6時間以上のマスク着用であることが分かりました。
研究グループは「マスク着用に起因した皮膚障害患者の転帰を改善するには、適切かつ個別化された治療が重要である。この問題は過小評価されている可能性があり、さらなる研究を実施すべきである」と結論づけています。
発表内容に関する見解は?
シンガポールの南洋理工大学の研究グループの発表内容について、先生の見解を教えてください。
竹内先生
新型コロナウイルスの流行が始まって以降、長時間マスクを着用することで肌荒れが生じることを経験された方は多いかと思います。このような実感をデータとして客観的に示したことは、価値のある内容だと考えます。
皮膚障害を予防するためのマスクの使い方のポイントは?
国内ではマスク着用を継続する可能性が高いですが、皮膚障害を予防するためのマスクの使い方のポイントについて教えてください。
竹内先生
マスク着用による皮膚障害を予防するには、皮膚の保湿とマスクの使い方を工夫することが大切です。皮膚を覆う皮脂には保護作用があるので、洗顔などで落とし過ぎないことが大切です。顔を洗うときは、洗浄力の強すぎない洗顔剤を使用して、その後しっかり保湿をおこないましょう。また、マスク着用は基本的な感染防止対策として大切ですが、厚生労働省の指針に従ったうえで着用の必要性が低い場合は、マスクを外して着用時間を減らすよう心がけることが肌荒れ対策として有効です。
まとめ
シンガポールの南洋理工大学の研究発表により、マスク着用で半数以上の人に顔面の皮膚障害がみられることが分かりました。国内では新型コロナウイルスに限らず、花粉症などでマスクを着用する機会が多くあります。毎日使うものだからこそ、皮膚を労わりながらマスクを着用することが望まれます。