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【サル痘】主な感染経路は「性行為中の皮膚接触」とスペイン研究グループが報告

 更新日:2023/03/27
サル痘 性行為中の皮膚接触が主な感染経路と報告

欧米を中心に感染が広がっている「サル痘」について、スペインの研究グループが「サル痘の主な感染経路は性行為中の皮膚の直接的な接触である」とイギリス医学誌「ランセット」で発表しました。こちらのニュースについて武井先生にお話を伺います。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

今回、研究グループが報告した内容とは?

今回、スペインの研究グループが医学誌「ランセット」で報告した内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

研究グループは、2022年5月11日から6月29日にマドリードとバルセロナの3施設においてサル痘と診断された患者181例を対象に調査をおこないました。サル痘に感染した181例中のうち97%にあたる175例が男性で、そのうち92%の166例がゲイ、バイセクシュアル、男性間性交渉者、2%の15例が異性愛者の男性または女性でした。対象になった患者の年齢の中央値は37.0歳で、天然痘ワクチンを接種していたのは全体の18%の32例でした。

HIV陽性者は全体の40%の72例で、そのうち99%が抗レトロウイルス療法を受けていました。17%の31例が性感染症を併発しており、ウイルスの潜伏期間の中央値は7.0日でした。皮膚病変部から採取された180件のサンプルの99%に当たる178件が陽性となりました。咽頭から採取された117件のサンプルで陽性になったのは70%の82件であることから、ウイルス量は咽頭部よりも皮膚病変部の方が有意に多くなりました。

研究グループは「合併症の発症部位と性的接触の種類との関連と併せて、咽頭に比べ皮膚病変でウイルス量が多かったことから、現在の流行では主要な感染経路として性行為中の皮膚と皮膚の直接的な接触の可能性が強く考えられる。これは性的ネットワークを通じてサル痘が蔓延するリスクが高まっていることを示している」と述べています。

今回の報告への受け止めは?

スペインの研究グループによる今回の報告についての受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

過剰かつ長時間の皮膚接触がきっかけとなる皮膚感染であり、たしかに性交渉はリスクの1つです。

サル痘感染予防のために重要なことは?

サル痘感染予防のために現時点で重要だと考えられていることを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

発熱や皮疹がありサル痘が疑われる場合、患者が使用したリネン類から感染した報告があることから、使用したリネン類や衣類は手袋着用の上、密閉できる袋に入れて洗濯などをすることが重要です。また、予防接種として天然痘のワクチンがサル痘予防にも有効とされています。サル痘ウイルス曝露後4日以内にワクチンを接種すると感染予防効果、曝露後4~14日で接種すると重症化予防効果があります。

まとめ

スペインの研究グループがサル痘の主な感染経路は性行為中の皮膚の直接的な接触であると医学誌に報告したことが今回のニュースでわかりました。WHO(世界保健機関)によるとサル痘は欧米を中心に感染拡大していて、これまでに92の国と地域で3万5000人を超える感染者が確認され、12人が死亡したことが明らかになっています。今後も感染経路などについての研究が進むことに注目が集まりそうです。

この記事の監修医師