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「パスツレラ症」の症状・感染経路はご存知ですか?犬や猫などペットに嚙まれたら要注意!

 更新日:2024/01/09
「パスツレラ症」の症状・感染経路はご存知ですか?犬や猫などペットに嚙まれたら要注意!

犬や猫のペットから感染するパスツレラ症についてご存知ですか?本記事ではパスツレラ症について以下の点を中心にご紹介します。

・パスツレラ症とはどんな病気?
・パスツレラ症の症状や治療法
・パスツレラ症の予防法

パスツレラ症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

パスツレラ症とは

パスツレラ症とは

パスツレラ症とは何ですか?

パスツレラ症は、ペットと人間の間で感染する「人獣共通感染症」の一つです。この病気はパスツレラ菌(特にパスツレラ・ムルトシダ、パスツレラ・カニス、パスツレラ・ストマティス、パスツレラ・ダグマティスなど)によって引き起こされます。これらの細菌は、犬や猫の口の中に普通に存在しています。ペットの人気が高まる中、これらの細菌による感染リスクも増えてきていることに注意が必要です。

パスツレラ症の感染経路は何ですか?

パスツレラ症は「人獣共通感染症」として知られ、犬や猫といったペットと人間の間で感染する可能性があります。この病気はパスツレラ菌(パスツレラ属菌)によって引き起こされます。特にパスツレラ・ムルトシダは、犬や猫から人への感染の原因として90%以上を占めています。この菌は猫の口腔内にはほぼ100%、犬の口腔内には約75%、さらに猫の爪にも約25%存在しているとされています。

感染の主な経路は以下の通りです。

犬や猫に噛まれたり、引っかかれたりした際の傷からの感染(創傷感染)

細菌を吸入することによる気道からの感染。

動物との接触が明確でない場合の感染。

これらの情報を踏まえて、ペットとの接触時や動物に噛まれたり引っかかれたりした際は、感染のリスクを考慮し、適切な対応を取ることが重要です。

パスツレラ症はすぐに発症しますか?

動物、特に犬や猫にかまれたり引っかかれたりした場合、数時間から48時間以内に傷口に赤みや腫れが出現することが多いです。このような症状が現れた場合、パスツレラ症の可能性が考えられます。特に、傷が深いと、炎症が皮下組織に広がるリスクがあり、さらには関節や骨に影響を及ぼすこともあります。免疫が低下している人や高齢者、また治療が遅れると、症状は重症化し、全身に感染が広がる恐れもあります。したがって、動物との接触歴や傷の状態を医師に正確に伝えることが、迅速な診断と適切な治療の鍵となります。

パスツレラ症の症状や治療

パスツレラ症の症状や治療

パスツレラ症はどのような症状がでますか?

皮膚症状:
犬や猫にかまれたり引っかかれたりした後、数時間以内に傷口に発赤や腫脹が現れることがあります。
皮下組織に炎症が広がることや、膿がたまることがあります。
傷が深ければ、関節や骨にも影響が及び、関節炎や骨髄炎を発症することがあります。
免疫不全や治療の遅れなどの要因で重症化し、菌血症や敗血症に至ることもあります。

呼吸器症状:
高齢者や呼吸器系の基礎疾患を持つ人が発症しやすいとされています。
気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症などの症状が現れることがあります。
副鼻腔炎、気管支炎、肺炎、肺化膿症、膿胸などの症状も報告されています。

その他の症状:
まれに髄膜炎、敗血症、菌血症、腹膜炎などが発症することがあります。
糖尿病や肝硬変、HIV感染症、悪性腫瘍などの免疫不全を起こす基礎疾患がある場合、重症化するリスクが高まります。

これらの症状は、感染の経路や感染源、患者の健康状態などによって異なる場合があります。症状が現れた場合や疑わしい場合は、速やかに医師の診察を受けることが推奨されます。

パスツレラ症は何科を受診したらいいですか?

犬や猫からの噛み傷後、体調に異変を感じた場合、パスツレラ症の可能性が考えられます。傷口はすぐに洗浄し、適切に消毒することが重要です。感染が疑われる場合、症状は2時間以内に現れることが多いので、早急に皮膚科または外科を受診することをおすすめします。治療には特定の抗生物質が効果的で、医師の指示に従えば回復が期待できます。ペットを飼っている家庭では、予防策として健康的な生活習慣を維持することが大切です。

パスツレラ症の検査方法はどのようなものですか?

パスツレラ症は、動物との接触や噛み傷・引っかき傷の後、短時間内に症状が出現する場合に考えられます。診断のためには、傷口や血液からサンプルを取り、培養を行い、パスツレラ菌の存在を確認します。受診時には、医師への動物との接触情報の提供が、迅速な診断に役立ちます。

パスツレラ症の治療方法は何ですか?

パスツレラ症は動物の噛み傷や引っかきにより感染することが多く、感染後すぐに症状が現れることが特徴です。感染の疑いがある場合、まず傷口を清潔に洗浄し、速やかに医師の診察を受けることが重要です。治療としては、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が用いられます。特に猫の噛み傷の場合、症状が軽くても治療が必要とされることがあります。診断は、傷口や血液のサンプルを培養し、パスツレラ菌の検出により行われます。受診の際、動物との接触の有無や状況を医師に伝えることで、適切な診断と治療が進められます。

パスツレラ症の予防法と注意点

パスツレラ症の予防法と注意点

パスツレラ症の予防法はありますか?

パスツレラ症は動物、特に犬や猫からの感染が主な原因となる感染症です。感染リスクを低減するための予防策として以下の点に注意することが推奨されます。

  • 動物との接触を適切に管理することは大切です。特に、ペットとの過度なスキンシップ、例えば口移しでの餌やりやキスは避けるようにしましょう。
  • 動物の口腔内や爪は清潔に保つことで、感染源となる菌の数を減少させられます。
  • ペットの生活環境も清潔に維持することが重要です。寝室などの私的な空間にペットを入れないようにすることも一つの方法です。
  • 動物が人を噛まないように、適切なしつけや教育を行うことも大切です。
  • 動物との接触後は、手洗いやうがいを徹底することで、感染のリスクを低減させられます。

犬や猫はパスツレラ菌を高い確率で保有しているため、これらの予防策を日常的に実践することで、感染のリスクを大きく減少させられます。

パスツレラ症は死に至る場合はありますか?

パスツレラ症は、主に犬や猫からの感染を原因とする感染症であり、その感染源となるパスツレラ菌は、犬や猫の口腔内に高い確率で存在しています。感染した場合、適切な治療を受けることで多くのケースでは回復します。しかし、免疫力が低下している高齢者や基礎疾患を持つ人々の場合、感染が重症化するリスクが高まります。特に治療が遅れると、菌血症や敗血症を引き起こす可能性があり、これが致命的となることも考えられます。したがって、動物との接触後に異常な症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

パスツレラ症になりやすい人はいますか?

パスツレラ症は、犬や猫との接触を通じて人に感染する可能性がある感染症です。健康な成人の場合、免疫機能が正常に働くため、感染しても症状が出にくいのが一般的です。しかし、特定の人々は感染のリスクが高まります。

具体的には、免疫力が未熟な小さな子ども、免疫機能が低下しがちな高齢者、または病気や治療によって免疫力が低下している人は、パスツレラ症の発症リスクが高くなります。このような状況下での感染は「日和見感染症」とも呼ばれ、体の抵抗力が弱まっているときに感染症が発症しやすくなる現象を指します。

猫のパスツレラ症について

猫のパスツレラ症について

猫もパスツレラ症になる場合はありますか?

猫のパスツレラ感染症は、感染自体は起こることがありますが、ほとんどの場合症状は現れないことが多いです。

猫のパスツレラ症の症状を教えてください。

猫のパスツレラ感染症では、症状が現れる場合、主に呼吸器に関連する問題が見られることがあります。肺炎や鼻炎などの呼吸器症状、外耳炎、膿胸(胸部に膿がたまる状態)、皮下膿瘍(皮下に膿の袋ができる状態)などが報告されています。具体的な症状例としては、咳やくしゃみ、呼吸が速くなること、皮膚の腫れや化膿が挙げられます。これらの症状が現れた場合は、早めに獣医師に診断してもらい、適切な治療を受けることが重要です。専門家のアドバイスを受けることで、猫の健康を守れます。

猫のパスツレラ症の原因はなんですか?

猫のパスツレラ感染症の原因は、病原体である「パスツレラ菌」(主にPasteurella multocida)です。この病原体は、猫同士のけんかや噛み傷、引っかき傷などを通じて感染が広がります。

症状や感染部位により異なる検査が行われます。一般的なパスツレラ感染症の検査方法には、血液検査、レントゲン検査、皮膚検査、細菌培養・感受性検査などがあります。これらの検査は、病状に応じて適切な判断が行われるために行われます。必要に応じて追加の検査も行われることがあります。

猫がパスツレラ症になったらどうしたら良いですか?

もし猫がパスツレラ感染症にかかった場合、治療方法としては、消毒可能な部位であれば消毒を行い、さらにペニシリン系、テトラサイクリン系、セファロスポリン系などの抗生剤を投与することがあります。細菌培養・感受性試験の結果に基づいて、適切な抗生剤を選ぶことも一つの方法です。

猫や犬のパスツレラ感染症では、症状が現れるケースはまれで、治療を行うとほとんどの場合は治癒することが報告されています。ただし、中には治療をしても死亡した例もあるため、異常な症状がみられた場合は、早急に動物病院に連れて行くことが大切です。皮膚の腫れや呼吸の異常などが見られた際には、専門家の診断と治療を受けることが猫の健康を守るために重要です。

猫のパスツレラ症の予防方法を教えてください。

猫のパスツレラ感染症を予防するためには、室内飼育を行い他の猫とのけんかを減らし、早期治療で呼吸器や耳、皮膚の感染症を防ぐことが重要です。また、口腔の清潔を保ち感染リスクを減少させ、猫から人への感染にも注意が必要です。免疫力が低下している人は特に慎重に対処しましょう。これらの予防策を実践することで、猫のパスツレラ感染症のリスクを最小限に抑えられます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

愛するペットとの関係は、生活の質を向上させ、心の安らぎや喜びをもたらしてくれます。しかし、その一方で、動物との接触には感染症のリスクも伴います。そのため、ペットとの関わり方や日常のケアについての知識を持つことは、私たち自身とペットの健康を守るために非常に重要です。

特に、免疫力が低下している方や高齢の方、小さなお子さんがいるご家庭では、日常的な予防策をとることが特に重要です。手洗いや傷口の適切な処置、ペットの清潔なケアなど、基本的なことから始められます。もし犬や猫に噛まれたり引っかかれたりした場合、その傷がどんなに小さくても、適切な手当てと医療のアドバイスを受けることを強くおすすめします。早期の対応が、後の合併症を防ぐ鍵となります。

編集部まとめ

パスツレラ症
ここまでパスツレラ症についてお伝えしてきました。パスツレラ症の要点をまとめると以下の通りです。

・パスツレラ症とはペットと人間の間で感染する「人獣共通感染症」の1つ
・パスツレラ症の症状は咳、たん、鼻水、喉の痛みなど風邪のような症状が早ければ30分で出る
・パスツレラ症の予防法にはペットとの過度なスキンシップを避け、ペットの口腔内や爪の中を清潔に保つことが大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師