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「細気管支炎」の症状・原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/09/27
「細気管支炎」の症状・原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

細気管支炎とはウイルス感染によって細かい気管支が炎症を起こし、粘膜が腫れてしまうため、呼吸がしにくくなる病気です。

小児にみられる細気管支炎はRSウイルスの感染が主な原因です。初めてRSウイルスに感染した場合は重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を引き起こす可能性が高くなります。

そのため、重症化しやすい乳児はRSウイルスに感染しないよう対策すると、細気管支炎を防ぐことが可能です。

本記事では細気管支炎について原因・症状・治療法などを解説します。乳児がいる方や細気管支炎について詳しく知りたい方は参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

細気管支炎の原因や症状

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細気管支炎の原因を教えてください。

細気管支炎の原因の50〜90%はRSウイルス感染によるものです。
RSウイルスに感染すると鼻水や咳などの軽い症状で済むケースもありますが、乳児が感染すると細気管支炎や肺炎まで重症化する可能性が高いです。
細気管支炎は細かい気管支が炎症を起こし、粘膜が腫れることで分泌物がたまってしまうために呼吸しにくくなってしまいます。
RSウイルスのほかにも、ヒトメタニューモウイルスなどの咳を伴うウイルス感染によって細気管支炎が引き起こされる原因となります。

細気管支炎はどのような症状が出ますか?

細気管支炎はRSウイルスに感染後、鼻水や咳から進行し、細気管支炎を発症すると咳がひどくなり、ゼーゼーといった喘鳴・陥没呼吸・チアノーゼの症状がみられます。
それは気管支が炎症を起こし、腫れたことによって分泌物がたまって気道が狭くなってしまうために、呼吸がしにくくなるからです。
細気管支炎が更に進行すると、肺炎を引き起こし重症化してしまいます。
また、合併症として乳幼児突然死の原因となる無呼吸発作や急性脳症につながる可能性もあります。

喘息との違いは何ですか?

細気管支炎と喘息の違いは細気管支炎が急性であるのに対し、喘息は慢性的に症状が現れる点です。細気管支炎はRSウイルスのようなウイルス性感染によって発生します。
そして喘息はタバコの煙・ダニや動物の毛・激しい運動などのアレルゲンによる刺激に反応することで気管支が炎症を起こし、喘息症状が現れます。
症状が発生するメカニズムは同じですが、喘息は通常では反応しない程度の刺激でも反応してしまうために慢性的に喘息発作が出てしまうのです。
しかし、RSウイルス感染による細気管支炎が喘息のきっかけになるケースもありますので、咳がひどくなる前に治療が必要です。

細気管支炎の治療方法や診断

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細気管支炎の治療方法を教えてください。

細気管支炎の治療方法としては特効薬が存在しないため、対症療法が治療のメインです。
細気管支炎に罹患している場合、呼吸困難により酸素濃度の低下がみられるため、酸素吸入が行われます。
そして咳やたんにより、食事や水分が取れない場合が多くみられるため、輸液にて脱水を予防する処置が実施されます。
これらの治療を基本として、気管にたまった鼻水やたんなどの分泌物の除去するため、濃度が高めの生理水を吸入させるとこれらの分泌物が排出しやすくなり、呼吸が次第にスムーズになるでしょう。
また乳幼児は自らたんの排出をするのが難しいので、背中をさすって排出を促したり、こまめに吸引器を使って吸引して排出します。
鼻水がひどい場合に鼻水を止める抗ヒスタミン薬が処方されるケースがありますが、かえって鼻水やたんの粘度が上がり、排出を難しくするため症状が長引いてしまう可能性が高いです。

細気管支炎はどのように診断されますか?

細気管支炎は主要な原因がRSウイルス感染症のため、RSウイルスの迅速検査キットを使用して検査し、診断します。
他にも細気管支炎の症状であるゼーゼーといった喘鳴・陥没呼吸・チアノーゼがみられる場合も、既に細気管支炎を発症している可能性があるため、症状がひどい場合は入院し、対症治療が行われます。

細気管支炎の受診の目安はありますか?

細気管支炎の受診の目安としては、RSウイルス感染症と診断されたのち、2〜3日しても症状が落ち着かず咳がひどくなったり、肩で呼吸をするような状態がみられたらかかりつけの小児科を受診しましょう。
かかりつけの小児科での対処が難しい場合は提携先の総合病院にて詳しく検査して自宅療養か入院療養かを診断されます。
RSウイルス感染症に初めて罹患した場合、重症化しやすい傾向があり、生後半年までの乳児であればより細気管支炎や肺炎に至る可能性が高いです。
そのため、月齢が低い乳児がRSウイルスに感染したら呼吸管理も必要になるため、入院療養が考えられます。

かかりやすい時期はありますか?

細気管支炎は主な原因となるRSウイルス感染症が流行する秋から冬にかけて、かかりやすい時期になります。
しかし、RSウイルス感染症やヒトメタニューモウイルス感染症は流行期が例年とは異なる場合もあるため、流行期についてニュース等で情報を得ることが大切です。
また、同じ頃にインフルエンザの流行も懸念されますが例年流行期がずれるため、両方とも罹患する可能性は低いと考えて良いでしょう。
また、都市部では感染を繰り返す傾向がみられており、一度収まってもまた流行期が訪れる可能性があるので気をつけなければなりません。

細気管支炎は重症化しやすいでしょうか?

細気管支炎は症状がみられ、医師により診断された段階ですでに重症化しているケースが多いため、早期に治療を始めることが大切です。
症状がみられた時点で対症療法が行われなかった場合は鼻水やたんなどの分泌物のつまりが進行するため、呼吸困難や肺炎に至り、最悪の場合死に至るケースもあります。
しかし、重症化がみられるのは3歳以下の乳幼児がほとんどで、それ以降は細気管支炎でも軽症で済むでしょう。
満1歳を迎える乳児の約7割が初めてRSウイルスに感染し、そのうち3分の1が細気管支炎や肺炎の症状がみられます。
そのため、生後まもない乳児では細気管支炎の重症化に気をつける必要があります。

細気管支炎の予防方法

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細気管支炎にならないために気を付けることはありますか?

細気管支炎にならないためには乳児の間にRSウイルスへ罹患しないよう気をつけましょう。細気管支炎はRSウイルス感染が重症化することで引き起こされます。
RSウイルス感染症はほとんどの乳幼児が2歳までの間に罹患します。ただし、月齢が上がると比較的軽症で済む可能性が高いです。
よって、生まれて間もない頃から満1歳になるまでの間はできるだけRSウイルスに感染しないよう気をつける必要があります。
具体的には流行期に人混みへ連れて行かない、手洗い・うがいの励行が効果的です。
また、大人がRSウイルスに感染しても鼻水程度の軽い症状しか現れないので、知らず知らずのうちに感染している状態で乳児に接触してしまうと移ってしまう可能性があります。
親や普段世話をする人で風邪症状が現れた場合はマスクを着用し、よく触れるテーブルや手すりは小まめにアルコール消毒しましょう。
もし乳児がRSウイルスに感染してしまった場合は、容体に変化がないか経過をよく観察し、咳がひどくなってきたなど状態に変化がみられたらすぐにかかりつけの小児科へ相談しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

細気管支炎が乳幼児にみられる場合は、主な原因としてRSウイルス感染症やヒトメタニューモウイルス感染症が挙げられます。
特に生後半年前後をピークとして細気管支炎や肺炎にまで重症化するケースがみられます。
また、呼吸器疾患がある方や免疫不全疾患がある方などは細気管支炎や肺炎まで重症化しやすいため、流行期には注意が必要です。
元々健康体であっても、細気管支炎がきっかけで喘息を患う可能性もあります。
そのため、 細気管支炎に罹患した場合は早期にかかりつけの小児科を受診し、炎症を抑えることが大切です。

編集部まとめ

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ここまで細気管支炎について原因・症状・治療法などについて解説しました。細気管支炎はRSウイルス感染によって重症化した場合に喘鳴や陥没呼吸などの症状が現れます。

細気管支炎に罹患した場合は呼吸しにくくなるため、更に進行すると肺炎になったり、無呼吸発作や急性脳症といった合併症を引き起こしたりする可能性もあります。

細気管支炎に罹患した場合の治療法は酸素投与・輸液・たんの吸引・高濃度食塩水の吸入などの対症治療が中心です。まれに細気管支炎から喘息になるため、注意が必要です。

乳幼児が成長するとRSウイルスに感染しても軽症で済むようになり、細気管支炎を引き落とすことも少なくなります。

できる限り乳児のうちはRSウイルス感染を防ぎ、細気管支炎にならないよう気をつけましょう。

この記事の監修医師