「電解質異常」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
身体の持つ電解質にはさまざまな役割があります。
その電解質が過剰になったり不足したりして起こるのが電解質異常です。電解質異常には実にさまざまな症状があります。
腎臓に病気を抱えている方は起こりやすいとされていますが、健康な方でも普段の食事・運動によっては引き起こされる場合があるので注意する必要があります。
今回は電解質の持つ役割・電解質異常となる原因・症状などについて解説しますので、参考にして健康でいられるように心がけてみてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
電解質異常の原因や症状
体内での電解質の働きを教えてください。
- ナトリウム
ナトリウムは細胞の外の体液に含まれていて、体液の浸透圧を調整する・量を保つなどの役割を持っています。ナトリウムを摂取しすぎるとむくみや口の渇きのほか、高血圧・胃がん・食道がんのリスクを高める可能性があるようです。
- カリウム
人体に必要なミネラルの一種で、こちらも浸透圧などの調整などの働きがあります。神経の興奮性や筋肉の収縮にも関わっていて、体液のphバランスを保つ働きがあるようです。ナトリウムの摂り過ぎも調整してくれます。
- カルシウム
人体に最も多く含まれる電解質です。リン酸カルシウムは骨や歯を形成する役割があります。ごく一部はカルシウムイオンとして血液・筋肉・神経内にあり、血液の凝固を促したり心筋の収縮作用を増やし筋肉の興奮性を抑えたりする働きがあります。
カルシウムが不足すると骨が十分に形成されないので、骨粗鬆症の原因にもなるようです。
これらの電解質は身体に必要不可欠なもので、多すぎたり不足したりすると身体に異常をもたらします。
電解質異常とはどのような状態ですか?
原因を教えてください。
そのため腎臓の機能が正常に働いていないと、尿によって水分・電解質がうまく吸収されずに過剰・不足し電解質異常となってしまうのです。
どのような症状が出るのですか?
- 低Na血症
自覚症状で倦怠感・頭痛・記憶力の低下があります。身体所見では見当識障害・意識レベルの低下・痙攣・昏睡などがみられる場合があるようです。
- 高Na血症
口の渇き・脱力感・乏尿ないし多尿の状態があります。こちらも意識レベルの低下・痙攣があり、そのほかに脱水症状があります。
- 低K血症
倦怠感・脱力感・四肢の麻痺・口の渇き・多尿・不整脈・ジギタリス中毒などです。また筋力の低下がみられることがあります。
- 高K血症
脱力感・口・唇の痺れが自覚症状として現れます。身体所見では心電図の異常・不整脈が現れることがあるようです。
- 低Ca血症
テタニー・痙攣・倦怠感・不安・うつ感があります。テタニーとは末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の爺属的な硬直をきたすものです。カルシウムが不足すると引き起こされる病気があります。トルソー徴候・クボステック徴候・白内障・角結膜炎・乳頭浮腫などです。
- 高Ca血症
倦怠感・脱力感・食欲不振・便秘・不眠・多尿・幻覚・昏睡などがあり、高血圧・尿路結石・消化性潰瘍・膵炎・腎不全に基づく症状などの症状がみられます。
このように電解質によってさまざまな症状があります。また過剰・不足したものによって治療法も変わってくるので、自覚症状がでた際は医師にどのような症状なのか伝えるようにしましょう。
電解質異常が起こりやすい人の特徴は?
また薬剤性あるいは相互作用・サプリメントの乱用でも電解質のバランスが崩れるため起こりやすいといわれています。特異なものでマラソン・ジョギング・ハイキングなどをしている方も起こる可能性が高いとされています。これらのスポーツではナトリウムいわゆる塩分を十分に摂取できずに起こると考えられているようです。
電解質異常の診断や治療
電解質異常はどのように診断されますか?
腎臓に異常があると尿の電解質バランスが崩れるためです。血液検査では血中の電解質濃度を調べます。一般的にはナトリウム・カリウム・カルシウムなどの濃度を測定し電解質異常かを判断するためです。基礎疾患によって見つかることも多々あるようです。
電解質異常はほかの基礎疾患の結果として現れる場合があるためです。電解質異常の原因となる潜在的な病態を特定するために行われます。
治療方法を教えてください。
その場合は点滴や内服薬による補給が必要です。腎臓に何らかの病気があり、調整機能が低下している場合は原因となっている病苦に対する治療を行います。そのほかに飲水量・食事内容の指導・内服薬などの治療を行います。
電解質異常の早期発見や予防
電解質異常を早期発見する方法はありますか?
電解質異常を予防する方法を教えてください。
ナトリウム・カリウム・カルシウムなどは1日の摂取量が決まっていて、摂取量を超えたり少なかったりすると電解質バランスを崩すことがあります。水分を摂る際も同様です。薬によって電解質のバランスを崩すこともあります。
このように普段の食事・飲料水・薬に注意することで予防につながります。また健康診断では自身の身体を知るきっかけになるでしょう。定期的に受けることで早期発見できますので受けるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
またマラソンなどの長時間運動する方は適度に水分補給をし、必要であれば塩分も摂取することを意識する必要があります。自覚症状がない場合もありますので、少しでも身体に違和感を覚えたら受診し医師に相談しましょう。
編集部まとめ
電解質異常について解説しましたが、電解質といってもさまざまなものがあります。また過剰・不足する電解質によって、現れる症状も違うことがあるので注意しましょう。
電解質は目に見えないので、症状が出るまでわかりにくい病気ではありますが、普段から食事・飲料水などに注意することで発症のリスクを減らすことが大事です。
また健康診断などでご自身の身体を知ることでさまざまなメリットがあります。機会があれば年に1〜2回受けることで予防につながります。
電解質異常にならないためにも、普段からできることを実施していきましょう。