1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 医科病気Q&A
  4. 「過呼吸」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

「過呼吸」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/09/22  更新日:2022/09/21
「過呼吸」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

何らかの原因で精神的なストレスが加わったとき、息を何度も激しく吸ったり吐いたりして、呼吸が苦しくなった経験はありませんか?この状態を過呼吸(過換気症候群)と呼びます。このような発作はたいてい30〜60分程度で治まりますが、原因を取り除かなければ同じ状況で発作を繰り返すことがあります。

今回は過呼吸(過換気症候群)の症状や原因、治療方法などを解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

目次 -INDEX-

過呼吸(過換気症候群)とは?

過呼吸(過換気症候群)とはどのような状態ですか?

    過呼吸は正式名称を「過換気症候群」と呼びます。過呼吸(過換気症候群)は、不安や緊張といった精神的なストレスが原因で、何度も息を激しく吸ったり吐いたりしてしまう状態です。

    激しい呼吸を繰り返すことで、息苦しさや呼吸困難などの症状が現れます。このような過換気の発作は、たいてい30~60分程度で治まります。そのため、病院に着くころには、発作が治まっていることも珍しくありません。

どのような人に起こりやすい?

過呼吸(過換気症候群)はどのような人に起こりやすいのですか?

    過呼吸(過換気症候群)は、うつ病や不安神経症、パニック障害などの精神疾患を持つ人に起こりやすいことがわかっています。これらの病気の人は、強い不安感や恐怖感を抱きやすく、過呼吸の発作を起こしやすいと考えられています。

    また、その人の気質によっても過呼吸の発作を起こしやすいことがわかっています。几帳面な人や心配性の人は発作を起こしやすいでしょう。

過呼吸(過換気症候群)の症状

過呼吸(過換気症候群)になるとどのような症状が現れますか?

    過呼吸(過換気症候群)の症状は、大きく呼吸器症状、神経症状、循環器症状の3つに分けられます。発作が長引いたり悪化したりすると、けいれんなどを引き起こし、意識を失うことがあります。しかし、過呼吸(過換気症候群)の発作が命に関わることはありません

    ここでは、呼吸器症状、神経症状、循環器症状それぞれを説明します。

呼吸器症状

呼吸器症状ではどのような症状が現れますか?

    呼吸器症状では以下のような症状が現れます。

  • 窒息しそうな息苦しさ(呼吸困難)
  • 呼吸が速くなる
  • 呼吸が荒くなる
  • 過呼吸(過換気症候群)になると、まずは強い不安を抱きます。その後、突然激しい呼吸を繰り返し頻呼吸となります。

神経症状

過呼吸症候群 テタニー症状

神経症状ではどのような症状が現れますか?

    神経症状では以下のような症状が現れます。

  • 手足の先、口のまわりがしびれる(テタニー症状)
  • めまい、嘔気
  • 冷や汗
  • 頭痛
  • テタニー症状とは、血液中のカルシウム濃度が低下することで末梢神経が興奮して、顔がひきつったり、手指がこわばったり、全身がしびれたりするなどの症状を指しています。

循環器症状

循環器症状ではどのような症状が現れますか?

    循環器症状では以下のような症状が現れます。

  • 動機
  • 頻脈
  • 発作が続くことで呼吸器症状だけでなく、動悸や頻脈などの症状を引き起こすため、ほかの病気ではないかと不安になってしまうこともあるでしょう。

    しかし、過呼吸(過換気症候群)は30~60分程度で発作が治まります。そのため、発作時には適切な対処をして安静に過ごすことが大切です。

過呼吸(過換気症候群)の原因

過呼吸(過換気症候群)の原因は何ですか?

    過呼吸(過換気症候群)は、緊張や不安などがきっかけで、何度も息を激しく吸ったり吐いたりしてしまいます。これが過呼吸状態です。

    過呼吸状態になると、血液中の炭酸ガス濃度が低くなって呼吸中枢が呼吸を抑制します。呼吸が抑制されると、呼吸ができなくなり呼吸困難を感じます。このため、酸素を取り込もうと何度も呼吸を繰り返し呼吸回数が増えるのです。

    炭酸ガス濃度を上げるために呼吸回数が増えると、血液はアルカリ性に傾きバランスが崩れて血管の収縮が起きます。そのため、手足のしびれや筋肉のけいれんなどの神経症状が起こります。

過呼吸(過換気症候群)が起こるきっかけ

過呼吸(過換気症候群)が起こるきっかけはありますか?_

    過呼吸(過換気症候群)は、主に不安やストレスが原因で起こりやすくなります。心理的な緊張が続いたり、怒りや不安感など気分を興奮させたりする状況で生じやすいでしょう。また、寝不足や過労、風邪での発熱が発作を助長することもわかっています。

    マラソンなどの息が上がるスポーツの直後などの肉体的疲労からも起こりますが、これは体が酸素を多く取り込もうとするための生理的な現象といえるでしょう。

過呼吸(過換気症候群)の代表的な病気

過呼吸(過換気症候群)が起こる代表的な病気はありますか?

    代表的なものには不安神経症やパニック障害、うつ病などがあります。それぞれの病気の特徴を解説します。

不安神経症

不安神経症とはどのような病気ですか?

    不安神経症とは、不安や恐怖といった感情が過剰に付きまとうことで、日常生活に支障をきたしている状態です。原因は過度のストレスや疲れで、これらがきっかけとなって感情のバランスが崩れてしまいます。

    不安神経症は、強迫行為や強迫観念、またはその両方の存在が身近にあるために、その原因となっているストレス源を取り除き、感情のバランスを整えることが大切です。

パニック障害

パニック障害とはどのような病気ですか?

    パニック障害は、何のきっかけもなく吐き気や動悸、呼吸困難などの発作が起こり、このような発作を繰り返す病気です。100人に1人の割合で起こる、比較的身近な病気でもあります。

    パニック発作のほかに予期不安や広場恐怖などの症状が起こります。パニック発作を放置すると、社会生活に支障をきたす場合がありますが、早期に適切な治療をすれば、以前と同じような通常の生活を送ることが可能です。

うつ病

うつ病とはどのような病気ですか?

    うつ病は気分障害の一つです。一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめないなどの精神症状や、不眠、食欲不振、疲労感などの身体症状が現れます。

    発症の原因は分かっていませんが、日本では100人のうち約6人が生涯で一度はうつ病を経験しているとの調査結果があります。そのため、うつ病のサインを見逃さず、早期に治療を開始することが大切です。

過呼吸(過換気症候群)の受診科目

過呼吸(過換気症候群)の症状が見られたら何科を受診すればいいですか?

    過呼吸などの症状がある場合は、まずは内科・呼吸器内科を受診しましょう。検査で、呼吸器や循環器などの異常が見つからない場合は、心療内科や精神科を受診してください。

過呼吸(過換気症候群)の検査

過呼吸(過換気症候群)ではどのような検査を行いますか?

    過呼吸(過換気症候群)の疑いがあれば、発作時に動脈の血液検査で酸素と二酸化炭素の量を測定します。発作時には血液がアルカリ性に傾いていることから、その兆候があるかを確認します。

過呼吸(過換気症候群)の性差・年齢差

過呼吸(過換気症候群)には性差・年齢差はありますか?

    過呼吸(過換気症候群)は、若い人に多く、思春期以降に多く見られます。また、女性は男性の2倍多く起こります。

    ある統計では、一般人口の6〜11%に発症するとの報告もあります。

過呼吸(過換気症候群)の治療法

過呼吸症候群 治療

過呼吸(過換気症候群)ではどのような治療を行いますか?

    発作が現れたときは、意識的に深呼吸をする、もしくは呼吸を止めることで徐々に改善します。

    過呼吸が起きている人に声をかけるときは、安心させる言葉をかけ、ゆっくり呼吸をするように指示します。不安感が強い患者さんの場合は、抗不安薬を使用することもあります。

編集部まとめ

何らかの原因で精神的なストレスが加わったとき、息を何度も激しく吸ったり吐いたりして、過呼吸(過換気症候群)の発作が起きることがあります。過呼吸の発作が起きたときは、まずは意識して深呼吸をして、息を整えることが大切です。

発作を繰り返す場合は、発作を引き起こす原因を取り除くことが大切ですが、症状を繰り返す場合には心療内科や精神科を受診しましょう。