「寒冷蕁麻疹」とは?症状・原因・検査・治療方法も解説!
皮膚に突然ぶつぶつができ、強い痒みが出ることもある蕁麻疹は、寒さや冷えが原因となる場合もあるのをご存じでしょうか?蕁麻疹というと食べ物のアレルギーなどのイメージが強いかもしれませんが、冷たさや寒さといった寒冷刺激をきっかけに出るのが寒冷蕁麻疹と呼ばれる蕁麻疹です。
今回は寒冷蕁麻疹の症状や原因、治療法を解説していきます。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
寒冷蕁麻疹とは
寒冷蕁麻疹とはどのような病気ですか?
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冷たさや寒さといった寒冷刺激に皮膚が反応した結果起こる蕁麻疹の一種です。物理的な刺激が原因の蕁麻疹であることから、蕁麻疹のなかでも物理性蕁麻疹に分類されています。
刺激を受けた部分にのみ症状が現れる局所性寒冷蕁麻疹と、体が冷えて体全体に症状が現れる全身性寒冷蕁麻疹の2種類があります。
寒冷蕁麻疹の症状
寒冷蕁麻疹の症状を教えてください。
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寒冷刺激を受けてすぐ~数十分後に、痒みを伴う蕁麻疹が出ます。多くの場合は症状が現れてから数時間~24時間以内で痕を残さず消えますが、刺激を再度受け、症状を繰り返してしまうことがあります。
軽症であれば、特別な治療をせずとも時間の経過とともに自然治癒していく場合がほとんどです。しかし、症状が全身に出る場合は、血圧低下によるショック症状で意識を失うこともあるため、医療機関での治療が必要です。
局所性か全身性かによって症状が現れる部位がそれぞれ異なります。
局所性寒冷蕁麻疹
局所性寒冷蕁麻疹の症状について教えてください。
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体温よりも低い温度の氷や水に触れた部分と同じ範囲に発症します。
痒みや赤みを有する円形や地図のような形の腫れが一時的に皮膚に現れるのが一般的で、症状が重い場合は痛みを伴うこともあります。より軽症の場合は、痒みが少なく赤みだけがみられる場合や、痒みだけがみられる場合もあります。
全身性寒冷蕁麻疹
全身性寒冷蕁麻疹の症状について教えてください。
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体の冷えによって、赤みを伴う小豆ほどの大きさの腫れが全身に拡がるのが特徴です。
- 腕
- 脚
- 背中
- 腹部
- 首まわり
特に症状が出やすい部位は以下の通りです。
寒冷蕁麻疹の原因
寒冷蕁麻疹の原因を教えてください。
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寒冷刺激によって、ヒスタミンと呼ばれる痒みの原因となる成分が分泌されます。このヒスタミンが皮膚内部で作用し症状が出ます。
刺激がきっかけとなりヒスタミンが分泌される仕組みの詳細は未だ解明されておりません。何らかのアレルギー反応や、免疫反応の異常が関係しているのではないかと推測されています。
局所性か全身性かによって原因が一部異なります。
局所性寒冷蕁麻疹の原因
局所性寒冷蕁麻疹の原因を教えてください。
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冷水や氷に触ったり、冷たい風を肌に受けたりといったことが刺激となり発症します。
寒冷刺激を受けた部分にのみ症状が出て、全身性の症状は見られないのが特徴です。
全身性寒冷蕁麻疹の原因
全身性寒冷蕁麻疹の原因について教えてください。
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体全体が冷やされて発症します。
- 夏にエアコンの効いた部屋への移動
- 冬に冷たい外気に触れる
- 運動後や風呂上がりの冷え
- 冷たい飲食物の摂取
- 冷たい床を裸足で歩く
症状の出る具体的なシチュエーションとしては以下が一般的です。
特に、暖かい所から寒い所への移動など、急激な温度変化を伴う場面で発症しやすい傾向があります。
また、頻度は稀ですが、全身性寒冷蕁麻疹のなかには遺伝性のものがあり、家族性寒冷誘発自己炎症性症候群(クリオピリン関連周期熱症候群)と呼ばれて区別されています。
寒冷蕁麻疹の発生頻度・性差・年齢差
寒冷蕁麻疹は珍しい病気ですか?
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寒冷蕁麻疹の発生頻度に関する詳しい調査はされていません。
ただし、寒冷蕁麻疹を含めた蕁麻疹全体については、日本人のうち約0.7%が罹患しており、4~5人に1人が一生のうちに一度は経験する身近な病気です。
蕁麻疹の発症は、年齢や性別と関係しているのでしょうか?
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蕁麻疹は、子どもからお年寄りまで全ての年代で発症しますが、特に20〜40代の人に多く発症するとされています。
性別については、成人では男性よりも女性の発症が多いといわれています。
寒冷蕁麻疹が発症しやすい季節はありますか?
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冷水や外気温の低下などが原因となるため、冬に多く見られます。
寒冷蕁麻疹の受診科目
寒冷蕁麻疹を疑ったときは何科を受診すればいいですか?
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基本的には皮膚科を受診しましょう。ただし、膠原病などの病気が原因で蕁麻疹が出ることもあるため、寒冷蕁麻疹かどうか不明な場合は、大人であれば内科、子どもであれば小児科でもよいでしょう。
寒冷蕁麻疹は、軽症であれば特別な治療をせずとも時間の経過とともに自然治癒していくことが多いため、治療の必要性はないのが一般的です。
しかし、重症ではなくても、蕁麻疹と似た症状を持つ別の病気が潜んでいる場合もあります。症状がなかなか治まらない場合や、症状が慢性化している場合は、自己判断せずに早めに受診しましょう。
寒冷蕁麻疹の検査
寒冷蕁麻疹の診察ではどのような検査を行いますか?
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問診により、症状が出たときの状況を確認し、寒冷刺激が原因で起こっている蕁麻疹かどうかを判断します。
診断を確定するために、氷などを肌に当てる寒冷負荷試験や血液検査が行われる場合もあります。
寒冷蕁麻疹の治療方法
寒冷蕁麻疹はどのような治療を行いますか?
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寒冷蕁麻疹の治療で最も大切なのは、さまざまな工夫によって可能な限り寒冷刺激を避けて、再発を防ぐことです。原因となりうるシチュエーションを洗い出し、それらを避けながら生活するように指導します。
痒みや赤みといった皮膚症状については、抗ヒスタミン薬の飲み薬をメインに使用します。
抗ヒスタミン薬による薬物治療
抗ヒスタミン薬による治療について詳しく教えてください。
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寒冷蕁麻疹では寒冷刺激を避けることが基本ですが、完全に避けることが難しく症状が出てしまう場合もあります。このような場合、症状が治まるまでの間、抗ヒスタミン薬を短期間内服するのが一般的です。
しかし、冬の外気や職場や外出先のエアコンなど、日常生活を送る上で避けることのできない刺激も多くあります。こういった刺激が原因となり再発を繰り返してしまう場合は、抗ヒスタミン薬の内服を継続しながら症状をコントロールすることもあります。
抗ヒスタミン薬に副作用はありますか?
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ヒスタミンには脳の覚醒作用があるため、ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬では眠気や集中力・判断力の低下といった副作用が起こる場合があります。ほかにも、口の渇きや、排尿障害、緑内障の悪化といった副作用も知られています。
薬を服用中に気になる症状が出た場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
抗ヒスタミン薬の使用中に注意すべきことはありますか?
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抗ヒスタミン薬のなかには、他の薬やサプリメント、食品等との組み合わせによって、副作用を引き起こしたり、効果を弱めたりするものがあります。また、市販の抗アレルギー薬やかぜ薬と成分が重複するものがあります。
普段から使用している薬やサプリメントがある人は、治療で使用する薬との併用について担当医に確認しましょう。また、市販品薬を購入する際には、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談し、併用しても問題ない商品を選んでもらうようにしましょう。
また、抗ヒスタミン薬内服以外に、ステロイド内服や寒冷刺激をあえて加えることで慣れさせる(寛容誘導)治療も推奨されています。
編集部まとめ
寒冷蕁麻疹は、特に冬場に多く見られる蕁麻疹の一種です。寒冷刺激を受けると蕁麻疹が出ますが、多くの場合はしばらくすると消えていきます。
再発を繰り返してしまうこともありますが、セルフケアや抗ヒスタミン薬の継続服用によって症状のコントロールを目指せます。
軽症の場合は自然治癒することも多いですが、蕁麻疹と似た症状を持つ別の病気が潜んでいる場合もあります。症状が続く場合や痒みが強い場合、症状が全身に及んでいる場合には、早めに皮膚科を受診してみてはいかがでしょうか?
参考文献
冬に多発する「寒冷じんましん」は患部を温めることが大事です(製鉄記念八幡病院)
ストレスで起こる蕁麻疹|原因を取り除いて症状を和らげるには(学研)