乾燥「わかめ」は生よりも”何の栄養”が約6倍もあるのか?注意点も管理栄養士が解説!

わかめの栄養は?メディカルドック監修管理栄養士が栄養素・健康効果・保存方法について解説します。

監修管理栄養士:
會田 千恵美(管理栄養士)
目次 -INDEX-
わかめとは?

わかめは海岸の浅い岩礁域で育つ褐藻類の海藻です。日本では北海道南部から九州の温帯域の沿岸で見られます。ヨウ素やマグネシウムなどのミネラルや食物繊維を含んでおり、加工して長期間の保存もできることから日本では古くから食べられています。大部分が養殖されていて、原藻から茎、めかぶなどを分けた葉の部分を湯通しし一度塩蔵した後に塩抜きをしたものを「生わかめ」と呼ぶことが多いです。原藻を加工し乾燥させた「乾燥わかめ」があります。
茎やめかぶも食用として食べられています。
海藻は色素の違いにより褐藻類、紅藻類、緑藻類などに分類され、わかめは褐藻類に入ります。
わかめに含まれる栄養素

食物繊維
多糖類で水溶性食物繊維のアルギン酸やぬめりの成分であるフコイダンが多く含まれます。
フコイダンは整腸作用や血清脂質改善作用、血糖値上昇抑制作用、抗酸化作用、保湿作用、抗ウイルス作用など、主に基礎研究や動物実験において様々な機能が報告されていますが、ヒトでの明確な効果は確立されていません。
マグネシウム
マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。また、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、筋肉や神経の正常な機能維持に必要な栄養素でもあります。
わかめを湯通しすると褐色から緑色に変化するのは、褐藻の色であるフコキサンチンという色素が、加熱により変性・退色するため、クロロフィル(葉緑素)の緑色が目立つようになるためです。そのクロロフィルの中央にマグネシウムが結合しています。
カリウム
カリウムは、細胞内液の主要な陽イオン(K⁺)であり、体液の浸透圧を決定する重要な因子です。また、酸・塩基平衡を維持する作用もあります。神経や筋肉の興奮伝導にも関与しています。健康な人は、下痢、多量の発汗、利尿剤の服用の場合を除き、カリウム欠乏を起こすことはほとんどありません。
カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。
ヨウ素
ヨウ素は、甲状腺ホルモンのチロキシン(T4)とトリヨードチロニン(T3)の構成成分でたんぱく質の合成促進、 物質代謝促進、エネルギー代謝、発育に関与しています。
重度のヨウ素の欠乏は、死産、流産、胎児の先天異常および胎児甲状腺機能低下症が起こることがあります。逆に過剰摂取した場合にも甲状腺機能の異常(低下や亢進)を招くことがあります。
日本人はヨウ素摂取量が多い方ですが、通常の食生活で明らかな健康障害が生じることは多くありません。
甲状腺疾患のある人では影響を受けやすいので注意が必要です。
乾燥わかめに含まれる栄養素

乾燥わかめには、湯通しをせず、日干や風で乾かした「素干し」や、すのこ、すだれ等の上で平面状に整形し乾燥した「板わかめ」、原藻に草木灰をまぶして乾燥した「灰干し」などがあります。乾燥すると栄養価は濃縮されるため、同じ量で比較した場合、生よりは高い数値になりますが、実際の摂取量を考慮し、水戻し後の値で比較します。
※数値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年参照
食物繊維
食物繊維総量を比較するとわかめの原藻の生では100g中3.6gですが、生の湯通し塩蔵わかめの塩抜き(以降は「生わかめ」と表記)では100g中3.2g、乾燥わかめの素干しの水戻しは100g中4.0gなので、生わかめよりも多く食物繊維をとることができますが、乾燥わかめの灰干しの水戻しは100g中2.2gと少なくなっています。
マグネシウム
原藻の生が100g中110mgなのですが、加工することで減ってしまい、生わかめは100g中16mg、乾燥わかめの素干しの水戻しは100g中96mg、灰干しの水戻しは100g中55mgとなります。生わかめよりも乾燥わかめのほうがマグネシウムを多く含んでいます。
カルシウム
わかめには、骨や歯の形成にマグネシウムと共に必要なカルシウムも多く含まれています。
生わかめは100g中50mgに対し、乾燥わかめの素干しの水戻しは100g中100mgと灰干しの水戻しは100g中140mgと多く含まれています。
灰干しわかめは、灰に含まれるカルシウムの働きで、わかめに含まれるアルギン酸が水に溶けにくいアルギン酸カルシウムになり、葉体の軟化を防ぎ、歯ごたえを良くしてくれるとされています。
茎わかめに含まれる栄養素

茎わかめとは「わかめ」を加工する際に除かれる中肋(ちゅうろく)や茎のことをいいます。市場に流通している「湯通し塩蔵」の塩抜きしたものの数値でみていきます。
食物繊維
茎わかめの食物繊維総量は100g中5.1gで、生わかめ(3.2g)や乾燥わかめの素干しの水戻し(4.0g)よりも食物繊維が多く含まれています。葉の部分よりも硬いので、しっかりとした歯ごたえがあります。
マグネシウム
茎わかめのマグネシウムは100g中70mgで、乾燥わかめの素干しの水戻し(96mg)よりは少ないですが、生わかめ(16mg)や、乾燥わかめの灰干しの水戻し(55mg)よりは多く含まれています。
ナトリウム
茎わかめのナトリウムは100g中3,100mgで食塩相当量7.9gです。
塩抜き後でも比較的高い値となっています。生わかめは100g中530mgで食塩相当量1.4g、乾燥わかめの素干しの水戻しは100g中260mgで食塩相当量0.7g、灰干しの水戻しは100g中48mgで食塩相当量0.1gです。
また、ナトリウムと関係の深いカリウムですが、茎わかめのカリウムは100g中88mgです。原藻の生は100g中610mgありますが、生わかめは100g中10mgとなります。乾燥わかめの素干しの水戻しは100g中440mgです。生わかめと茎わかめは一度湯通しをしているためカリウムの値は低くなっています。
わかめの健康効果

腸内環境を整えてくれる効果
食物繊維が豊富に含まれているので、腸内環境を整える働きが期待されています。腸内の健康維持に役立つ可能性があります。
発育に必要な栄養素を補う効果
わかめには、成長期に必要なミネラルやヨウ素などを含んでおり、発育に必要な栄養素を含む食品のひとつです。
正常な血圧の維持を助ける効果
わかめにはカリウムなど、正常な血圧の維持に関与する栄養素が含まれています。これらの栄養素は体の機能維持に必要とされています。
骨や歯の健康を維持する効果
わかめには、骨や歯の形成に必要なカルシウムやマグネシウムだけではなく、リンも含まれるため、骨や歯の健康を維持する効果が期待されています。
わかめを食べる際の注意点は?

乾燥わかめを戻す量に注意
成人のヨウ素の推奨量は1日140μgです。生わかめで約17gで、乾燥わかめの水戻しで約11gになります。乾燥わかめは、戻すと10〜12倍になるため、約1gで推奨量に達します。
わかめには過剰摂取を防ぐために策定された耐容上限量が設定されている栄養素が含まれています。ヨウ素の耐容上限量は1日3,000μgです。乾燥わかめ(水戻し無し)を大量に摂取した場合、理論上は約30gで耐容上限量に達します。
乾燥わかめを戻さず、そのまま食べることも可能ですが、胃の中で水分を含めば膨らみますので、まれに腹部膨満感などの消化器症状がみられることがあるかもしれませんので気を付けてください。
食塩の摂りすぎに注意
茎わかめは元々塩分相当量が100g中7.9gと高いので、調理する前に水にさらして塩抜きをしたほうがよいです。調味料の使用も控え、食塩の摂りすぎに注意しましょう。
食塩相当量の摂取目標は、成人男性で1日7.5g未満、成人女性で1日6.5g未満です。
高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量は、男女ともに1日6.0g未満となっています。
生食用以外のわかめをそのまま食べない
生食用わかめはそのまま食べることができますが、海から水揚げされたばかりの茶褐色の生わかめは、海水に潜む腸炎ビブリオ菌が付着している場合があり、食中毒を起こす場合があります。感染すると激しい腹痛や水様性の下痢、発熱、嘔吐などの症状がみられるので、注意が必要です。
腸炎ビブリオ菌は真水に弱い菌です。生で食べる場合は、きちんと流通管理され販売されている生食用わかめを食べるようにしましょう。
わかめの栄養素を効率的に摂取する方法

汁物に入れる
わかめの栄養素は水に溶け出てしまうものもあるので、溶け出た栄養もしっかり摂れるとともに、出汁としての旨味もでてくるので、味噌汁や澄まし汁といった汁物にいれて飲むのが効率よく摂取できます。
油や酢をつかった料理
わかめには脂溶性ビタミンのビタミンKやβ-カロテンも含まれます。
油と一緒に取ることで吸収がよくなるので、油を使って炒めものにしたり、サラダで食べるときにフレンチドレッシングやマヨネーズなど油が含まれるドレッシングをかけたり絡めたりして食べるとよいでしょう。また、ドレッシングに使われるお酢も酢酸の働きによりミネラルの溶解性が高まり、栄養素の吸収を助けてくれます。
きのこ類と合わせた料理
ビタミンDを多く含むきのこ類(特に干ししいたけなどの乾燥きのこ)と組み合わせることで、わかめのカルシウム吸収を助ける働きがあります。
また、きのこの食物繊維と合わせることでより腸内環境を整える働きが期待できます。わかめの旨味成分のグルタミン酸ときのこの旨味成分グアニル酸が組み合わさることで旨味が強くなるので栄養素を効率よくとる上に美味しく食べることができます。
わかめの保存方法や期間

生わかめは冷蔵で2~3日、冷凍で約3週間
わかめの種類によって保存期間が変わってきます。
生わかめを流水で洗い、20〜30秒程茹でて、氷水で粗熱をとり、水気を切ります。
密閉容器に入れて、冷蔵庫で2〜3日保存できます。
水気を切ったものを小分けして冷凍保存用の袋に入れて冷凍庫で約3週間保存できます。
塩蔵わかめは購入後そのまま冷蔵で2〜3ヶ月、冷凍で約6ヶ月保存できます。製品によって違いがありますので、食品表示に従って保存してください。
乾燥わかめは常温で約1年
乾燥わかめは直射日光を避け、湿気の少ない冷暗所で、未開封の状態で約1年保存できます。開封後はきちんと密閉できる袋か容器に入れて、湿気の影響を受けないようにして約6ヶ月保存できますが、できるだけ早く使い切る様にしましょう。
| 種類 | 保存場所・方法 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 生わかめ(下処理後) | 冷蔵 / 冷凍(小分け) | 冷蔵:2〜3日 冷凍:約3週間 |
| 塩蔵わかめ | 冷蔵 / 冷凍 | 冷蔵:2〜3ヶ月 冷凍:約6ヶ月 |
| 乾燥わかめ | 常温(未開封・冷暗所) | 約1年 |
「わかめの栄養」についてよくある質問

ここまでわかめについて紹介しました。ここでは「わかめの栄養」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
わかめと乾燥わかめ、どちらが栄養が高いでしょうか?
會田 千恵美
乾燥わかめのほうが栄養価は高いですが、水戻しをした場合ですと生わかめとそれほど差はないです。乾燥わかめの栄養価は濃縮されている分、100g中でみるととても高いですが、生わかめと同じ量をそのまま食べることは難しく、摂りすぎてしまう栄養素もあるので、注意が必要です。
わかめを食べ続けるとどんな効果がありますか?
會田 千恵美
腸内環境が整いお腹がすっきりした状態を保てたり、正常な血圧の維持などの効果がある可能性があります。ただし、食べ過ぎると甲状腺機能に影響を及ぼす可能性が高まったり、お腹がゴロゴロするなどの腹部の異常が現れる場合があります。また、塩分の摂りすぎで逆に生活習慣病の発症につながってしまう場合もあるので注意が必要です。
まとめ
わかめに含まれる食物繊維やミネラルには、腸内環境を整える働きが期待される栄養素や、骨や歯の形成に必要な栄養素が含まれています。わかめに限らず海藻類には同じような効果のあるものもあるので、いろいろな海藻を毎日少しずつ取り入れていけると良いと思います。
摂りすぎによるリスクもあるので、食べ過ぎに注意しましょう。
また、食事は一つのものを多く食べるのではなく、いろいろな種類の食べ物をバランスよく食べることが大事です。
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