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ピーマンは何によって「栄養」が変わるかご存じですか?食べ過ぎたときの症状も解説!

 公開日:2025/12/11
ピーマンは何によって「栄養」が変わるかご存じですか?食べ過ぎたときの症状も解説!

ピーマンの栄養素は?健康効果・食べすぎると現れる症状・効率的に摂取できる方法などを解説します。

前原 尚子

監修管理栄養士
前原 尚子(管理栄養士)

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病院で委託栄養士として給食管理業務や調理業務を担当。その後カフェで菓子製造に携わり製菓衛生師取得。保育園栄養士として従事しながら管理栄養士資格取得し現在15年目。母子栄養指導士(母子栄養協会)取得。

ピーマンとは?

ピーマンとは?

ピーマンはナス科トウガラシ属に分類され、パプリカやししとうがらしと同じ唐辛子の仲間です。中南米原産の唐辛子がコロンブスによりヨーロッパに伝わり、辛みのない唐辛子を改良して誕生したと言われています。日本で栽培が始まったのは、明治時代からで、家庭で食べられるようになったのは第二次世界大戦後からになります。未熟果をピーマン、完熟果を赤ピーマンと呼んでいます。 現在ではハウス栽培が普及しているので、年中通して出回りますが、露地栽培の旬は6月から9月頃です。

ピーマン1個に含まれる栄養素

ピーマン1個に含まれる栄養素

ビタミンC

青ピーマン1個(可食部35g)のビタミンC量は、約26.6mgです。これは、成人男女の1日当たりビタミンC推奨量100mgの約27%に相当します。ビタミンCは、骨や腱などの結合たんぱく質であるコラーゲンの生成に必須の化合物です。不足すると血管がもろくなることがあります。また、ビタミンCによる抗酸化作用として、がんや動脈硬化予防、老化防止などの有効性が注目されています。

ビタミンE

青ピーマン1個(可食部35g)のビタミンE量は0.28㎎です。1日の目安量は、成人男性で6.5㎎、成人女性で6.0㎎です。ビタミンEは、抗酸化作用が強く、血管を健康に保ち、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用があることが知られています。また、細胞の酸化を防ぐため老化防止にも効果があります。

カリウム

青ピーマン1個(可食部35g)に含まれるカリウム量は、約66.5mgです。カリウムは、成人の1日当たりの目標量として、男性2500mg、女性2000mgが推奨されています。カリウムは、ナトリウムとともに細胞の浸透圧を維持するほか、神経伝達や心臓・筋肉の正常な働きの維持に欠かせないミネラルです。また、ナトリウムの排泄を促進する作用があるため、血圧の上昇を抑える働きも期待されています。

食物繊維

ピーマン1個(可食部35g)の食物繊維量は、0.81gです。生活習慣病の発症予防の観点から、目標量として1日当たり成人男性で20〜22g以上、成人女性で18g以上と設定されています。 食物繊維は、「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されています。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別され、どちらも体内に吸収されませんが、健康維持には重要な役割を果たしていることから、第六の栄養素といわれています。

β−カロテン当量

ピーマン1個(可食部35g)のβ−カロテン当量は、140μgです。植物に含まれるβ−カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、ビタミンAに分類されます。β−カロテンは、緑黄色野菜や果物に多く含まれている色素成分で、目や皮膚の粘膜を健康に保つ、抵抗力を高める、視力を保つなどの働きがあります。

ピーマンの種とわたに含まれている栄養素

ピーマンの種とわたに含まれている栄養素

ピーマンの種とわたには、独特の香りや風味のもととなる成分が含まれており、皮の部分とは異なる特徴があります。苦みや食感が気にならなければ、料理に取り入れることで栄養を無駄なく摂取できます。

ピラジン

ピラジンはピーマン特有の香り成分で、種やわたの部分に多く含まれています。一部の研究では、血流をサポートする可能性が示されていますが、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果が人で確立されているわけではありません。そのため、「健康維持に役立つ可能性がある成分」として理解するとよいでしょう。

クエルシトリン

クエルシトリンはポリフェノールの一種で、ピーマンの苦味のもととなる成分です。抗酸化作用を持つことが知られていますが、便秘改善や利尿作用、抗うつなどの効果は限定的で、食品としての摂取で明確な効果が証明されているわけではありません。健康づくりの一要素として取り入れる程度が適切です。

カプシエイト

カプシエイトは、唐辛子のカプサイシンに似た構造を持つ成分で、辛味がほとんどないのが特徴です。代謝をサポートする可能性が指摘されていますが、免疫力の向上や血流改善などについては人での十分なエビデンスはありません。 また、種やわたにはビタミンCやカリウムも含まれているため、苦味が気にならない場合は刻んで炒め物やグリル料理に使うと、食材を無駄なく活用できます。

カラーピーマンに含まれる栄養素

カラーピーマンに含まれる栄養素

ピーマンは、色によって含まれる栄養素の値が違ってきます。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」によると、100g当たりの含有量の値に違いが特に大きいのが、β−カロテンです。
β−カロテン量は、
緑色:400μg
赤色:1100μg
オレンジ色:630μg
黄色:200μg
ビタミンC量では、
緑色:76㎎
赤色:170㎎
オレンジ色:150㎎
黄色:150㎎
ビタミンE量は、
緑色:0.8㎎
赤色:4.3㎎
オレンジ色:3.1㎎
黄色:2.4㎎
カリウム量は、
緑色:190㎎
赤色:210㎎
オレンジ色:230㎎
黄色:200㎎
食物繊維量は
緑色:2.3g
赤色:1.6g
オレンジ色:1.8g
黄色:1.3g
100g当たりで、比較してみると、カラーピーマンは、緑ピーマンより、β−カロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウム量において多く含まれていることがわかります。食物繊維量においては、未熟果の緑ピーマンが多くなっています。

加熱したピーマンの栄養素

加熱したピーマンの栄養素

ビタミン類は一般的に熱に弱く、加熱調理によって減少しやすい栄養素です。しかし、ピーマンの場合は、ビタミンCが比較的熱に強い性質を持つため、加熱しても損失が少ないことが特徴です。また、食品成分表で示される「油いため」の栄養価が、生のものと比べてあまり変わらない、あるいは高く見える場合がありますが、これは 加熱によって水分が減り、重量あたりの栄養素が“濃縮されて見える”ため で、ビタミンそのものが加熱で増えるわけではありません。ピーマンにはビタミンCの安定性を高める「ビタミンP(フラボノイド)」が含まれていますが、これが“ビタミンの量を増やす”わけではなく、ビタミンCの損失が少ない理由の一因と考えられています。

ピーマンの健康効果

ピーマンの健康効果

免疫力の向上

ピーマンに含まれるビタミンCやβ−カロテンは、体内の活性酸素を除去する働きがあります。皮膚や粘膜の健康を守り、ストレスへの抵抗力を高めます。

脳梗塞や心筋梗塞の予防

ピーマンには、独特の青い香りのもととなる「ピラジン」という成分が含まれています。ピラジンには、血液の流れをサポートする可能性があると報告されていますが、その効果は基礎研究や一部の実験レベルにとどまっており、人での明確な予防効果が確立されているわけではありません。そのため、ピラジンを含む食品を食べるだけで脳梗塞や心筋梗塞を予防できると断定することはできませんが、ピーマンにはビタミンCやβ-カロテンといった抗酸化成分も含まれており、日常的に取り入れることで血管の健康に役立つ可能性はあります。

美肌・ダイエット効果

ピーマンに含まれる「カプシエイト」は、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンに似た構造を持ちますが、辛みがほとんどありません。基礎研究では、エネルギー代謝を促す可能性や、体温をわずかに上げる作用が示唆されています。ただし、人体での効果はまだ限定的であり、食べるだけで大幅な脂肪燃焼やダイエット効果が得られると断言できるものではありません。また、ピーマンに含まれるビタミンCには、メラニンの生成を抑える作用やコラーゲン生成を助ける働きがあることが知られ、美肌づくりをサポートしてくれます。日常的に野菜をバランスよく取り入れることで、健康的な肌の維持に役立つといえるでしょう。

ピーマンを食べ過ぎると現れる症状

ピーマンを食べ過ぎると現れる症状

下痢や頭痛

ピーマンにはビタミンCが含まれていますが、食品からの摂取でビタミンC過剰症が起こることはほとんどありません。余分なビタミンCは尿中に排泄されるため、通常の食事量では心配ありません。しかし、ピーマンを大量に食べると、不溶性食物繊維の摂りすぎや、種や皮が消化しにくいことなどが原因となり、下痢・腹痛・胃もたれなどの消化器症状がみられることがあります。

アレルギー反応

ピーマンによるアレルギーは、ピーマンに含まれる特定のたんぱく質に対して体が過敏に反応することで起こります。ピーマンアレルギーの主な症状としては、じんましん、皮膚のかゆみや腫れ、胃痛、嘔吐、下痢などがあります。また、花粉症(特にシラカバ・ハンノキなど)を持つ人では、交差反応によって口の中がかゆくなる・唇が腫れるなどの「口腔アレルギー症候群」が起こる場合があります。ピーマンを食べた後にこれらの症状が続く場合は、医療機関で相談することが推奨されます。

関節炎

ピーマンを含むナス科の野菜が関節炎や関節リウマチの悪化につながるという説がありますが、現在のところ、これらの食品と関節炎の発症・悪化を直接結びつける明確な科学的根拠はありません。レクチンやグリコアルカロイドといった成分が影響するという報告も一部ありますが、研究レベルは限定的で、人での因果関係は確認されていません。一般的には、ナス科野菜は抗酸化作用を持つ栄養素を含み、健康的な食生活の一部として問題なく摂取できます。ただし、体質によって特定の食品で症状が悪化する場合もあるため、食べた後に関節の違和感や不調が続く人は、医療機関や専門家に相談し、自身の体に合った食事を選ぶことが大切です。

ピーマンを効率的に摂取する方法

ピーマンを効率的に摂取する方法

食材や油との組み合わせ

ピーマンに含まれるβ−カロテンは脂溶性ビタミンなので、油を使った調理で吸収率がアップします。また、ピーマンに含まれるビタミンCは水溶性ですが、加熱による損失が少ないとされています。ごま油やオリーブオイルで炒めたり、オイル漬けのツナなどと和えると良いです。

短時間で加熱調理

ピーマンに含まれるカリウムは水溶性のため、煮たり茹でたりすると煮汁に溶け出てしまいます。豊富に含まれるカリウムの損失をなるべく少なくするためにも、短時間で調理すると効果的に摂取できます。

切り方を変える

ピーマンの切り方を変えることで、食感と苦みを調整することができます。ピーマンをへたが上になるように置き、繊維に沿って縦に切ることで、ピーマンの細胞が壊れにくく、苦味が抑えられます。シャキシャキとした食感になるので、チンジャオロースなどの料理におすすめです。また、繊維に対して垂直になるように横方向に切ると、苦味がでやすくなりますが、火が通りやすくなるので、電子レンジで調理する際などに適しています。

「ピーマンの栄養」についてよくある質問

「ピーマンの栄養」についてよくある質問

ここまでピーマンの栄養について紹介しました。ここでは「ピーマンの栄養」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ピーマンを毎日食べるとどのような効果が現れるでしょうか?

前原 尚子前原 尚子

ピーマンを日常的に食べることで、ビタミンCやβ-カロテンなどの抗酸化成分を摂取でき、肌の健康維持や免疫機能のサポートが期待できます。また、食物繊維によって便通の改善につながったり、カリウムの働きによりむくみの予防にも役立つ可能性があります。ただし、ピーマンを一度に大量に食べると、不溶性食物繊維の摂りすぎなどで腹痛や下痢などの消化器症状が出ることがあります。一般的な食事量であれば問題ありません。 なお、ピーマンの摂取に明確な「理想量」はありませんが、1個(約30〜40g)は、日常の食事に無理なく取り入れられる目安量です。また、緑ピーマンは淡色野菜に分類され、赤や黄などの完熟ピーマンは緑黄色野菜に含まれます。栄養バランスの観点から、さまざまな野菜と組み合わせて摂取することが推奨されます。

まとめ

ピーマンには、抗酸化作用のあるビタミン類や便通改善作用のある食物繊維、血圧降下作用のあるカリウムや、香り成分でもあり血流を良くするピラジンを含む緑黄色野菜です。また、ピーマンに含まれるビタミンCは熱に対しても安定的に摂取できるという特徴があります。しかし、一度に過剰摂取すると、腹痛や下痢などの症状があらわれるため注意が必要です。 ピーマンの栄養を効果的に摂取するためにも、色とりどりのピーマンを他の食品と組み合わせてバランス良く取り入れ、日々の食事を楽しむことをおすすめします。

「ピーマン」と関連する病気

「ピーマン」と関連する病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

「ピーマン」と関連する症状

「ピーマン」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 頭痛
  • 疲労感
  • 息切れ
  • 肌荒れ
  • 関節痛
  • アレルギー症状
  • 下痢

この記事の監修管理栄養士