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「ビタミンAサプリを飲み続けるとどんな効果」がある?注意点も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/12/17
「ビタミンAサプリを飲み続けるとどんな効果」がある?注意点も管理栄養士が解説!

ビタミンAサプリの効果はご存じですか?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・効率的な摂取方法についてなどを解説します。

荒井 佳奈恵

監修管理栄養士
荒井 佳奈恵(管理栄養士)

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委託給食会社勤務、栄養教諭、フィットネスジム栄養指導などを経て、現在は特定保健指導やスポーツ栄養、コラム執筆などに従事。予防栄養に関心が深くその分野を中心に活動範囲を広げている。食アスリート協会認定講師、健康食育シニアインストラクター。

ビタミンAとは?

ビタミンAとは?

ビタミンAとは、脂溶性ビタミンの一種で、視覚機能・上皮細胞の維持・免疫機能の調整などに重要な役割を持つ栄養素です。ビタミンAには、動物性食品に多い「レチノール」と、体の中でビタミンAに変わる野菜の色素「β-カロテン」などがあります。また、目の暗順応に関わるロドプシンの材料となり、皮膚や粘膜のバリア機能を保つ働きもあります。体内に蓄積しやすいため、サプリ利用時には耐容上限量を超えないよう注意が必要です。

ビタミンAの一日の摂取量

ビタミンAの一日の摂取量

ビタミンAの一日の摂取量は、日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、「レチノール活性当量 µgRAE/日」として表します。推奨量・耐容上限量を以下に記載します。

●推奨量(乳児は目安量のため記載を省く)

  • 1〜7歳 男女:350〜500
  • 8〜11歳 男女:500〜600
  • 12〜14歳 男性:800
  • 12〜14歳 女性:700
  • 15〜17歳 男性:900
  • 15〜17歳 女性:650
  • 18〜64歳 男性:850~900
  • 18〜64歳 女性:650~700
  • 65歳以上 男性:800~850
  • 65歳以上 女性:650〜700
  • 妊婦(後期の付加量):+80(推奨量に加える)
  • 授乳婦(付加量):+450(推奨量に加える)

●耐容上限量

  • 0~2歳 男女:600
  • 3~9歳 男女:700~1200
  • 10~17歳 男女:1500~2600
  • 18歳以上 男女:2700

※単位はレチノール活性当量 **µgRAE/日**。データは「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づく。

ビタミンAの効果

ビタミンAの効果

視覚機能の維持

網膜で光を感じる視色素「ロドプシン」の材料となり、暗い場所での視力を助けます。不足すると夜盲症の原因になります。

皮膚・粘膜の健康維持

皮膚や鼻・のどの粘膜の細胞を正常に保ち、バリア機能を維持します。外界からの細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きがあります。

免疫機能のサポート

白血球やリンパ球の働きを助け、感染症に対する抵抗力を高めます。免疫系を正常に保つために必要な栄養素です。これらの作用から、がん予防との関連が研究されています。食事から摂るβ-カロテンなどのカロテノイド系ビタミンAは、抗酸化作用により発がんリスクを低下させる可能性があると報告されています。特に野菜や果物に豊富に含まれるカロテノイドの摂取が関連しています。

成長・発育への関与

骨や歯の成長、細胞の分化や再生に関与し、特に乳幼児や思春期の体の発育に重要です。欠乏すると発育に影響します。

ビタミンAサプリの効果

ビタミンAサプリの効果

ビタミンAサプリは、不足している場合に必要量を補うことで、生理機能を正常に保つ効果が期待できます。一方、必要量を満たしている方が追加で摂っても、健康効果が上乗せされるわけではありません。ここでは、食品から摂る場合とサプリで摂る場合の違いを整理します。

量のコントロール

サプリは含有量が明確なため、不足しがちな人が推奨量を確実に満たすのに役立ちます。食事だけでは必要量に届かない場合の補助として有効です。

吸収

ビタミンAは脂溶性で、食事中の油脂と一緒に摂ると吸収が高まることが知られています。サプリで摂る場合も、食後に摂取することで吸収率が向上します。

組み合わせ

サプリは単一成分のものが多いため、基本は食事で多様な栄養素を摂り、足りない分をサプリで補うことが理想です。食品には食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの相乗効果があるため、食事との併用が望ましいとされています。

ビタミンAサプリの肌に対する効果

ビタミンAサプリの肌に対する効果

ビタミンAサプリは、食事だけでは十分に摂れない場合に不足分を補う手段として役立ちます。ただし、サプリメントの摂取によって肌の状態が直接的に大きく改善するという明確な根拠は、現時点では十分ではありません。
経口のビタミンAやβ-カロテンの摂取で、皮膚の乾燥や角層水分量に変化がみられたとする報告もありますが、研究数は限られており、局所のレチノイド治療と比較すると科学的な証拠は弱いとされています。美容目的での効果を断定することはできません。
また、ビタミンAは脂溶性で体内に蓄積しやすいため、過剰摂取が続くと肝障害や頭蓋内圧亢進症などのリスクがあります。サプリを使用する場合は耐容上限量を超えないよう注意し、基本は食事を中心にバランスよく摂取することが望ましいです。

ビタミンAサプリを服用するときの注意点

ビタミンAサプリを服用するときの注意点

過剰摂取

ビタミンAは、脂溶性ビタミンで肝臓に蓄積されやすく、耐容上限量を超えると肝障害、頭痛、吐き気、皮膚の異常などが起こる可能性があります。
また、サプリで高用量のレチノールやβ-カロテンを長期摂取した場合は、特に喫煙者などで肺がんリスクが増加する報告があるため、過剰摂取には注意が必要です。日本人の食事摂取基準2025年版では、がん予防目的での高用量サプリ摂取は推奨されていません。あくまでも食品から適量を摂取することが基本です。

妊娠中・授乳中の使用

妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、胎児の先天異常リスクが高まることがあります。妊婦や授乳婦はサプリでの追加摂取前に医師や管理栄養士に相談しましょう。

食事とのバランス

食事からも十分に摂れる場合は、サプリを無理に追加する必要はありません。

他の薬やサプリとの併用

ビタミンAを含む薬やサプリとの併用で過剰摂取になりやすいため、服用中のサプリや薬の成分を確認しましょう。

ビタミンAが不足すると現れる症状

ビタミンAが不足すると現れる症状

視覚関連

夜盲症(暗順応障害):暗い場所で目が見えにくくなります。
角膜乾燥症:角膜や結膜が乾燥し、重症化すると角膜潰瘍や失明のリスクもあります。

皮膚・粘膜関連

皮膚の乾燥やかさつきとして現れます。
角化異常:皮膚がざらついたり、鱗状になることがあります。
粘膜障害:鼻やのどなどの粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。

免疫関連

感染症への抵抗力低下:風邪や肺炎、下痢などのリスクが増加します。

成長・発育関連

乳幼児・思春期の発育遅延:骨や歯の成長、細胞分化や再生に影響します。重度の欠乏では発育不良が見られることもあります。

ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状

肝臓障害

ビタミンAは脂溶性で肝臓に蓄積されやすいため、過剰摂取すると肝臓の機能障害や肝腫大を引き起こすことがあります。

頭蓋内圧亢進症

過剰摂取(特にレチノール)により中枢神経系に影響し、頭痛・吐き気・視覚障害、めまいなどが現れることがあります。

胎児への影響

妊娠初期に過剰摂取すると、胎児の先天異常(胎児奇形)のリスクが高まる可能性があります。

骨折のリスク

ビタミンAは細胞の分化や成長に関わる一方で、レチノールを高用量で長期間摂取すると、骨密度の低下や骨折リスクの上昇を示す研究があります。特にサプリメントで必要量を大きく超えて摂り続ける場合に注意が必要です。
通常の食事量や、推奨量の範囲内であれば骨折リスクが高まる心配はほとんどありません。サプリを利用する際は耐容上限量を超えないようにし、基本は食事から適量を摂ることが安全です。

ビタミンAの効率的な摂取方法は?

ビタミンAの効率的な摂取方法は?

食事からの摂取を基本にする

ビタミンAは、動物性食品のレバー、魚類、卵、乳製品などにレチノールとして、植物性食品のにんじん、かぼちゃ、ほうれんそうなどにカロテノイドとして含まれます。食事から摂ることで、他の栄養素とのバランスがとれやすく、吸収も安定します。
脂溶性ビタミンであるビタミンAとビタミンDは、いずれも核内受容体を介して作用しますが、通常の食事量であれば相互作用が問題になることはありません。ただし、ビタミンAを高用量で長期間摂取した場合、ビタミンDの働きに影響する可能性を示す研究があります。ビタミンDサプリを併用する場合でも、通常量であれば心配ありませんが、ビタミンAの高用量サプリを続けることは避けるのが安全です。

サプリメントで補う場合は量に注意

食事だけで十分に摂れない場合は、サプリメントで補うことが可能です。ただし、過剰摂取により肝障害や頭痛などのリスクがあるため、耐容上限量を超えないようにします。

日々の食事で適量を続けて摂取する

ビタミンAは脂溶性で体内に蓄えられるため、多少の摂取のばらつきがあってもすぐに不足することはありません。それでも、食事が偏ると不足の原因になるため、普段の食事から適量を継続して摂ることが大切です。安定して摂取できていると、視覚機能や皮膚・粘膜の健康、免疫、成長・発育などの働きをしっかりサポートできます。

「ビタミンAサプリの効果」についてよくある質問

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ここまでビタミンAサプリの効果について紹介しました。ここでは「ビタミンAサプリの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修の管理栄養士がお答えします。

ビタミンAサプリを長期服用するとどんな効果が現れますか?

荒井 佳奈恵荒井 佳奈恵

ビタミンAは皮膚やのどの粘膜を健康に保ち、乾燥や感染から体を守ります。目の働きにも関わり、暗い場所での見やすさを助けます。また、骨や歯の成長や細胞の生まれ変わりにも役立ちます。ただし体に溜まりやすいため、長く服用する場合は決められた量を守ることが大切です。

まとめ

ビタミンAは、目の健康や暗い場所での視力、肌や粘膜のバリア機能、免疫、成長・発育を支える大切な栄養素です。食事からの摂取が基本ですが、必要量が不足しやすい場合はサプリメントで補うことも可能です。脂溶性ビタミンのため過剰摂取に注意し、食事と組み合わせて適量摂取を続けることで、体の内側から健康をサポートできます。日々の栄養管理で目・肌・免疫を元気に保ちましょう。

「ビタミンA」と関連する病気

「ビタミンA」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

ビタミンAと関連する病気

  • 夜盲症
  • 角膜乾燥症
  • 角膜軟化症
  • 角化症
  • 皮膚乾燥症
  • 発育遅延・発育不良
  • 感染症の易罹患
  • 急性または慢性ビタミンA中毒
  • 肝障害

「ビタミンA」と関連する症状

「ビタミンA」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 暗い場所で目が見えにくくなる
  • 角膜や結膜の乾燥・異常
  • 鼻・のどなど粘膜の乾燥や弱化
  • 骨や歯の成長遅延
  • 発育不良
  • 頭痛、吐き気
  • 皮膚の異常(赤みや乾燥、かゆみ、かさつき、ざらつき、鱗状)
  • 関節痛や骨の異常

この記事の監修管理栄養士