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老化防止にきく「抗酸化作用」のある食材について管理栄養士が解説

 更新日:2023/03/27
老化防止にきく「抗酸化作用」のある食材について管理栄養士が解説

最近、注目されるようになった「抗酸化」という言葉。体の「酸化」は、老化の原因にもなると聞きます。では、抗酸化作用のある食材は、本当に老化防止に効果はあるのでしょうか。今回は、抗酸化作用のある食材について「管理栄養士」の長井さんに詳しく伺いました。

長井彩子さん

監修
長井 彩子(管理栄養士)

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2009年、管理栄養士国家試験事業スタート。2015年、(一社)管理栄養士地位向上協会を設立。2019年、日本栄養士会の認定を受け、認定栄養ケア・ステーション ファンスタディを設立。公衆栄養活動などを推進し、現在に至る。

「抗酸化作用」とは

 「抗酸化作用」とは

編集部編集部

まず、抗酸化作用について教えてください。

長井彩子さん長井さん

抗酸化作用とは、呼吸によって体内で生じる活性酸素を抑える作用を言います。生きていくうえで酸素は必要不可欠なので、活性酸素は絶えず体内で発生し体を酸化させてしまいます。 したがって、抗酸化作用のある食材を積極的に摂ることで、体の酸化を防ぐことができるのです。

編集部編集部

体の酸化は、どのような影響をもたらすのでしょうか?

長井彩子さん長井さん

体内で過剰に活性酸素が増えることで、老化の進行やがん、心血管疾患、生活習慣病、また認知症の発症などにもつながることが分かっています。したがって、体の酸化を抑えることで、様々な疾患の予防が期待できます。

編集部編集部

酸化はなぜ老化の進行につながるのでしょうか?

長井彩子さん長井さん

この活性酸素が体内に蓄積すると、細胞を傷つけてしまい老化を促進させてしまいます。したがって、体の酸化を抑えることは、老化防止に役立つと言われているのです。

抗酸化作用のある食材は

抗酸化作用のある食材は

編集部編集部

抗酸化作用のある食材を教えてください。

長井彩子さん長井さん

水菜、ブロッコリー、赤ピーマン、ゴールドキウイ、レバー、卵、うなぎ、小松菜、ほうれん草、アーモンド、ごま油などに抗酸化物質の成分が含まれています。このような食材を積極的に摂ることで老化防止が期待できます。

編集部編集部

どのような栄養素に抗酸化物質が含まれているのですか?

長井彩子さん長井さん

代表的な栄養素に、ビタミンCがあります。ビタミンCが肌の健康や美容にいいと言われるのは、抗酸化作用によるところが大きいと思われます。

編集部編集部

ビタミンC以外にも、抗酸化作用のある栄養素はありますか?

長井彩子さん長井さん

ビタミンA・E、カロテノイド、あとはポリフェノールにも抗酸化作用があると言われています。ビタミンAはレバー、卵、鰻、ビタミンEはアーモンド、ごま油などに多く含まれます。カロテノイドは小松菜、ほうれん草などに多く含まれ、ポリフェノールはブルーベリーやカカオに多く含まれています。

「抗酸化作用」のある食材の調理法

 「抗酸化作用」のある食材の調理法

編集部編集部

抗酸化作用のある栄養素を効果的に摂取できる調理法はありますか?

長井彩子さん長井さん

調理法によっては栄養素が減少してしまったり、逆に体への吸収率が上がったりするので、そこを意識して工夫する必要があります。

編集部編集部

調理をするときの注意点を教えてください。

長井彩子さん長井さん

例えば、ビタミンCのような水溶性ビタミンは水にさらしたり茹でたりすることで、水に溶けだしてしまうので、生で食べる、またはスープや煮物などにして煮汁ごと食べるのがお勧めです。加熱方法は茹でるのではなく、電子レンジを使うというのも栄養素の損失を少なくする方法の1つです。そして同じように「蒸す」のもお勧めです。例えば、じゃがいもは茹でるのではなく、蒸すことで、ビタミンCの損失を抑えることができます。また、食材を切って茹でる場合は、細かく切ると水に触れる断面が増え、栄養素の損失が大きくなるため注意が必要です。

編集部編集部

体への吸収率があがる調理法についても教えてください。

長井彩子さん長井さん

ビタミンA・E、カロテノイドなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂ることで体への吸収率があがるので、炒める調理法がお勧めです。

編集部まとめ

「抗酸化作用」のある食材を積極的に摂ることで、老化防止だけではなく、病気の予防にもつながるということが分かりました。抗酸化物質が多く含まれる果物や野菜は意識して積極的に摂っていきたいですね。ただし、加糖されたドライフルーツやシロップ漬けの果物の缶詰め、果汁100%のジュースなどは、糖分が多いため食べすぎには注意が必要です。

この記事の監修管理栄養士