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妊婦の薬物服用、妊娠4〜7週は胎児に影響が出る可能性も! 安全な服用方法を薬剤師が解説

 更新日:2023/03/27
【妊婦の薬物服用】胎児への影響は? 薬を飲んではいけないの?

妊娠中はお腹の赤ちゃんに影響が出ないように、服用する薬には慎重になりますよね。「妊娠中は薬を全く飲んではいけないのか?」「どんな薬に気をつけたらいいのか?」も気になるところです。妊娠中に薬を飲むと胎児にどんな影響が出るのかを、薬剤師の稲嶺さんに解説していただきました。

稲嶺 千春

監修薬剤師
稲嶺 千春(薬剤師)

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北陸大学薬学部薬学科卒業。大学卒業後、熊本の製薬企業に就職。その後、薬局薬剤師として働く。現在は薬剤師の知識を活かし医療ライターとして活動中。「医療の専門知識がない方にわかりやすく」をモットーにしている。

妊娠中に薬を服用すると、胎児に影響がでる場合も

妊娠中に薬を服用すると、胎児に影響がでる場合も

編集部編集部

妊娠して何週目から薬の服用に注意するべきでしょうか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠4週目からの薬の服用には注意が必要です。妊娠4〜7週は「器官形成期」と呼ばれており、この時期に薬の影響を受けると、細胞分裂が正常に行われず、赤ちゃんに形態異常が起こる場合があります。この時期からの薬の服用には十分注意しましょう。

編集部編集部

妊娠4週未満についてはどうでしょう?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠が判明する前の妊娠1~3週(最終月経の開始日から受精、着床するころ)は、胎児への薬の影響はありません。この時期は「全か無か」の時期と呼ばれ、影響があったとしても、妊娠そのものが成立しないと考えられています。

編集部編集部

妊娠8週以降についても教えてください。

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠8~15週は少しずつ胎児への薬のリスクが少なくなる時期です。妊娠13週を過ぎると奇形の心配はほぼないといわれています。

妊娠中に薬を服用するには

妊娠中に薬を服用するには

編集部編集部

妊娠中に薬を服用する際の注意点を教えてください。

稲嶺 千春さん稲嶺さん

自分判断で市販薬などを服用するのではなく、必ず医師の指示に従ってください。普段なら、風邪気味の時や軽い頭痛の時は市販薬を服用することが多いですよね。市販薬は病院の薬より効き目がゆるやかなものが多いものの、妊娠中は何でも服用していいわけではありません。薬を服用する際には必ず添付文書に目を通し、妊娠中の服用指示について確認しましょう。服用してもいいか判断できない場合は、医師や薬剤師に相談してください。

編集部編集部

妊娠前から服用を続けている場合はどうすればいいでしょう?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊活をはじめる前に主治医へ相談するようにしましょう。血圧やてんかんの薬などの場合、妊娠中に服用するとお腹の赤ちゃんに悪影響がでるものもあります。妊娠前から服用している薬がある場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

編集部編集部

妊娠に気づかず薬を服用してしまった場合はどうしたらいいですか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠中に薬を飲んだ場合は、症状と薬の服用時期や日数、薬の名前を医師に報告しましょう。妊娠経過を考慮し、必要であれば検査を受ける場合もあります。ほとんどの薬は用法用量を守って服用していれば数日で体外へ排出されるため、胎児への影響を過度に心配する必要はありません。ただし、飲んだ薬の種類や時期、期間、量によってその影響は変わってきます。心配な場合には、医師や専門機関に相談することをおすすめします。

妊娠中の服用で注意すべき薬

妊娠中の服用で注意すべき薬

編集部編集部

妊娠中に気をつける薬にはどんなものがありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠中の服用に注意が必要な薬には、痛み止め血圧を下げる薬てんかん薬抗凝固薬などが挙げられます。これらの薬を服用することによって、胎児の臓器障害や奇形が起こる可能性があります。

編集部編集部

妊娠中の頭痛に対して飲んで良い痛み止めはありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠中に使用しやすい痛み止めの成分は「アセトアミノフェン」です。それ以外の強い痛み止めを妊娠後期に大量に使用すると、胎児の血管が収縮し、胎児の心臓機能に影響する可能性があります。また飲み薬だけでなく、貼り薬の痛み止めにも注意が必要です。「ケトプロフェン」が含まれる湿布薬は「胎児の動脈管収縮※との因果関係が否定できない」として、妊娠後期での使用は禁忌になっています。

編集部編集部

薬以外にも、サプリメントや食べ物で気をつけるものはありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

ビタミンAのサプリメントや、刺身や生卵などの生の食べ物には注意しましょう。ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、妊娠初期に過剰摂取すると胎内にたまりやすく、先天異常を引き起こす可能性があります。また、刺身や生卵は食中毒を起こす可能性があるので危険です。妊婦さんが食中毒を起こすと胎児に影響がでます。食中毒を防ぐために生の食べ物は避け、食べる際は十分に火を通しましょう。

編集部編集部

赤ちゃんのために、妊娠中に摂ったほうがいい成分はありますか?

稲嶺 千春さん稲嶺さん

妊娠前~妊娠後期にかけての摂取が望ましいのが、「葉酸」です。葉酸はビタミンB群の1つで、DNAやRNAといった核酸や赤血球の形成に大きく関わっています。妊娠初期の器官形成期から葉酸をしっかり摂ることで、胎児の「神経管閉鎖障害」の発生リスクを減らすことができます。葉酸は、緑の葉の野菜類やレバー、いちごなどにも多く含まれています。葉酸は調理の際に壊れてしまうので、なるべく生の状態で摂取しましょう。

編集部まとめ

妊娠4〜7週に薬の影響を受けると、赤ちゃんに形態異常が起こる可能性があることが判明しました。また妊娠中は痛み止めや血圧の薬、ビタミンAなどのサプリメントの服用にも注意が必要です。ただ、「妊娠中は薬を飲んではいけない」というわけではありません。服用可能かの判断ができない場合は、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。

この記事の監修薬剤師