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「薬の服用はおなかの中の赤ちゃんへの影響が心配…」妊婦さん向けの花粉症対策を紹介

 更新日:2023/03/27

「妊娠中は薬を飲めない」、このように薬の服用に対して敏感になっている妊婦さんは多いはずです。とくに、花粉症のような数カ月単位で症状が続く疾患を「薬を飲みたいけれど、妊娠中だから飲めない」と、我慢している人も多いでしょう。しかし、妊娠中でも安全性が確立している薬もあるのも事実です。今回、妊娠しているときの花粉症との向き合い方を「手稲クローバー耳鼻咽喉科」の関先生に教えていただきました。

関 伸彦

監修医師
関 伸彦(手稲クローバー耳鼻咽喉科 院長)

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札幌医科大学卒業。その後、函館五稜郭病院耳鼻咽喉科、厚別耳鼻咽喉科病院にて勤務、札幌医科大学耳鼻咽喉科助教を務める。2015年、北海道札幌市に「手稲クローバー耳鼻咽喉科」を開院。誰もが気軽に訪ねることができて、適切かつ迅速な処置が受けられるクリニックづくりを心がけている。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医・補聴器相談医、日本アレルギー学会専門医。

妊娠中は花粉症の薬も飲めないの?

妊娠中は花粉症の薬も飲めないの?

編集部編集部

一般に「妊婦は薬を飲めない」と言われていますが、花粉症の薬もダメなのでしょうか?

関 伸彦関先生

通常、花粉症にはアレルギーを抑える「抗ヒスタミン薬」を用いることが基本となります。そして、その多くは妊娠中の女性には適していません。ただし、妊娠中でも使うことのできる治療薬があるので、医師と相談したうえで、安全性が確立されている薬を選ぶべきです。

編集部編集部

そもそも、どうして妊娠中は薬を控えた方がいいのでしょうか?

関 伸彦関先生

母親の体から胎盤を通して、胎児に血液が送られています。つまり、母親が飲んだ薬の成分が血液に取り込まれ、胎盤や血液を介して胎児にも薬の成分が届くということです。薬の種類によっては胎児に悪影響が出る可能性があるため、一般に「妊婦は薬を飲めない」とされています。

編集部編集部

妊娠している間、ずっと薬を飲んではいけないのでしょうか?

関 伸彦関先生

胎児に影響が出る可能性のあるとされている薬は、基本的には飲んではいけません。ただし、医師が「胎児に影響が出るかもしれないデメリット」よりも、「妊婦を治療するメリット」の方が高いと判断した場合は、服用を許可することもあります。もっとも、胎児の臓器が形成される時期である妊娠4~16週前後は、とくに影響が出やすいので注意を払う必要があります。

編集部編集部

なるほど。反対に、「薬を飲んでも大丈夫」という時期はあるのですか?

関 伸彦関先生

安定期に入って妊娠17週を過ぎると、胎児への影響が少なくなるとされています。それ以降、種類によっては使用できる薬もあります。

妊娠中はどうやって花粉症の時期を乗り切るべき?

妊娠中はどうやって花粉症の時期を乗り切るべき?

編集部編集部

花粉症の話に戻します。妊娠中の花粉症対策はどうすればいいのでしょうか?

関 伸彦関先生

安全第一で考えるなら、点眼薬や点鼻薬などの局所的な治療を推奨します。これらは血液中に溶け込む成分の量が少ないので、胎児に影響を及ぼしにくく、妊娠中でも比較的安心して使えます。

編集部編集部

ほかにもありますか?

関 伸彦関先生

花粉症などのアレルギー性鼻炎に対する治療として、アレルギー反応を起こす鼻の粘膜をレーザーで焼き、症状を起こさないようにする治療法があります。レーザー治療であれば胎児への影響はないので、妊婦さんでもおこなうことができます。

編集部編集部

レーザー治療は、どれくらい効果が期待できるのでしょうか?

関 伸彦関先生

個人差はあるものの、1年ほど効果が持続します。ただし、どのクリニックでもレーザー治療をおこなっているわけではないので、治療を受ける場合には事前のリサーチが必要です。その際には、妊娠中である旨も伝えて、安全性も併せて確認しておきましょう。

編集部編集部

その一方で、先ほど妊娠中でも飲める薬もあるとのことでしたが?

関 伸彦関先生

ロラタジン」と「クロルフェニラミンマレイン酸塩」は妊娠中であっても安全性が確認されています。これらの薬に含まれる成分は、花粉症の治療薬として以前から処方されているため、歴史も実績もあります。ただし、自己判断で薬を服用するのではなく、必ず医師の診察を受けたうえで処方してもらいましょう。

編集部編集部

漢方薬はどうでしょうか? 安心できる印象があります。

関 伸彦関先生

たしかに「漢方薬は安全」と考える人は多いかもしれませんが、必ずしもそう言いきれません。例えば、アレルギー性鼻炎に用いる代表的な漢方薬の「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」は、胎盤への血流を減少させる成分を含んでいるので、漢方薬の服用についても医師に相談してみてください。

自己判断は禁物、必ず医師に相談を

自己判断は禁物、必ず医師に相談を

編集部編集部

もし、まだ妊娠に気づいていない初期の段階で薬を飲んでしまった場合、どうすればいいのでしょうか?

関 伸彦関先生

飲んでしまったものはどうしようもないので、経過観察をするしかないです。ただし、一般的に妊娠初期は薬による胎児への影響は少ないと考えられているため、リスクは低いと思われます。妊娠に気づくか気づかないかといった超初期のころには、気づかずに薬を飲んでしまったということもあり得ますが、この時期のリスクはほぼないと考えていいでしょう。心配であれば、「どの薬をどの期間に飲んだのか」を医師に伝えましょう。

編集部編集部

そのほか、妊婦が花粉症対策としてできることはなんですか?

関 伸彦関先生

妊婦にかかわらず、アレルギー治療の原則は「アレルギー症状を引き起こすアレルゲン(花粉)」に触れないことです。そのため、外出するときにはマスクや眼鏡を着用する、帽子をかぶる、家に帰ってきたらコートを払って花粉を落とすといった、基本的な花粉症対策を徹底して、アレルゲンを遠ざける工夫をしましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

関 伸彦関先生

今回の花粉症に限らず、「何事も自分で判断しない」ということが重要です。多くの妊婦さんは胎児のことを第一に考えるので、医師に「妊娠中でも、この薬は大丈夫ですよ」と言われても、薬を服用することに抵抗がある人も多いと思います。そのような不安も含めて、信頼できる医師に相談することが大切です。また、花粉症については産婦人科だけでなく、耳鼻咽喉科の医師の意見を聞くのがいいでしょう。より、専門性の高い解決策を提示してくれるはずです。

編集部まとめ

妊娠中は薬の服用に対して非常に敏感になってしまいます。しかし、妊婦でも安心して使用できる薬があるのも事実です。また、自己判断で「薬を飲まない方がいい」、「これは飲んでも大丈夫」と考えるのではなく、専門の医師に相談したうえで対策を講じていきましょう。そして、悩みを相談できる信頼関係を日頃から築いておくこともカギになりそうです。

医院情報

手稲クローバー耳鼻咽喉科

手稲クローバー耳鼻咽喉科
所在地 〒006-0022 北海道札幌市手稲区手稲本町2条4丁目 2-22 手稲メディカルビル 1F
アクセス JR函館本線「手稲駅」 徒歩4分
診療科目 耳鼻咽喉科、アレルギー科

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