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【厚生労働省が発表】全ての新生児が聴覚検査できる体制整備へ

公開日:2021/12/21

厚生労働省は、子どもの難聴を生後すぐに発見して親子の支援につなげるため、全ての新生児への聴覚検査を目標とする基本方針案を公表しました。このニュースについて和佐野医師に伺いました。

和佐野浩一郎医師

監修医師
和佐野 浩一郎(医師)

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慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。2018年より独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部室長。日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医・補聴器相談医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本耳科学会耳科手術暫定指導医、頭頸部がん専門医・指導医、日本がん治療認定医機構日本がん治療認定医、日本気管食道科学会気管食道科専門医。

厚生労働省の発表の内容とは?

まず、今回厚生労働省が発表した内容について教えてください。

和佐野浩一郎医師和佐野先生

今回、厚生労働省が公表した基本方針案では、生まれた子どもが生後1カ月までに医療機関で聴覚検査が受けられる体制を都道府県に求めることが柱となっています。

また、難聴をできるだけ早期に発見し、人工内耳や補聴器の利用、手話など様々な形で言語の発達を促すことが重要と指摘しています。その上で、公費負担による検査を推進するほか、妊婦健診などで検査の情報提供をおこなうことも基本方針案には盛り込まれました。

「新生児に難聴が疑われた場合、遅くとも生後3カ月までに精密検査をおこない、治療や教育につなげたい」として、都道府県ごとに関係者による協議会を設置して情報を共有し、子どもとその家族を途切れず支援できる体制づくりを目指すことになります。

聴覚検査の現状は?

聴覚検査は、現状どれくらいおこなわれているのでしょうか?

和佐野浩一郎医師和佐野先生

厚生労働省の調査によると、2019年度時点で新生児の1割が聴覚検査を受けていないか、受けたかどうか不明だったという結果が出ています。

先天性の難聴は新生児1000人あたり1~2人の割合とされていますが、検査をおこなわなければ気づきにくく、就学時健診まで見つからないケースもあります。

全新生児が聴覚検査できる体制づくりの意義は?

全ての新生児が聴覚検査する体制づくりが整備されることの意義は、どういったところにあるのでしょうか?

和佐野浩一郎医師和佐野先生

言語機能に関わる脳の発達のためには、乳児期から幼児期の前期にかけて外界からの言語を「聞く」ことが重要です。そのため、もし難聴が気づかれないまま放置され、後から補聴器や人工内耳を装用しても言語機能が十分に伸びてこないことも少なくありません。

子どものもつ能力を十分に活用できるように、早期診断・早期治療介入を開始することが重要とされています。1カ月までに聴覚スクリーニング、3カ月までに難聴の有無及び程度に関する正確な診断、6カ月までに補聴器装用開始という「1-3-6ルール」と呼ばれる目標が掲げられています。

産まれた環境によってスクリーニングを受けることができないと、言語習得に差が生じてしまいます。そこで全ての新生児が等しく聴覚検査を受けることができる体制の充実は重要であると考えられます。

まとめ

厚生労働省が公表した基本方針案によって全ての新生児が聴覚検査を受けられる体制づくりがおこなわれることがわかりました。早期に難聴を発見することができれば早期の対応が可能になるので、今後行われる体制づくりに期待が集まります。