「βカロテンが豊富な果物」ベスト3は?免疫力アップ方法と“摂り方の注意点”も解説!
公開日:2025/12/05

βカロテンが多い食べ物は?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・過剰摂取すると現れる症状などを解説します。

監修管理栄養士:
大隅 加奈子(管理栄養士)
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管理栄養士取得後、特定保健指導や病院で栄養管理・栄養指導・給食管理に従事し、現在はフリーで活動中。イベントやセミナーに参加し、みなさまの食生活のお悩みに応えられるよう努めています。
目次 -INDEX-
βカロテンとは?

βカロテンの一日の摂取量は?

ビタミンA一日あたりの推奨量
成人男性(18~64歳) 850~900㎍RAE/日
成人女性(18~64歳) 650~700㎍RAE/日
妊婦後期(付加量) +80㎍RAE/日
授 乳 婦(付加量) +450㎍RAE/日
βカロテンは食品から大量に摂取しても、体内におけるビタミンAの必要量に応じて変換されるため過剰症は起こらないといわれています。そのため、耐用上限量は定められていません。サプリメントなど食品以外から摂取する場合、がんなど疾病・死亡リスクが高くなる研究報告もあるため注意が必要です。
βカロテンの効果

美肌効果
体内で発生した活性酸素は通常、酵素によって分解されるため問題は起こりにくいといわれていますが、ストレス、紫外線、喫煙や飲酒、加齢などで活性酸素が増えると分解する能力も追い付かず、肌トラブルの原因となってしまいます。 紫外線にさらされる動植物はβカロテンの色素で紫外線の害から身を守っているといわれています。こうした色素類は人間にも有効に働き、日焼けやシミなど予防してくれる効果があります。βカロテンの抗酸化作用で、若返り・アンチエイジングのためにもβカロテンを含む食事を心がけたいですね。動脈硬化や生活習慣病の予防
βカロテンは、生活習慣病や大きな病気に繋がりやすい動脈硬化の予防に効果があるといわれています。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)に活性酸素が結びつくことで動脈硬化が引き起こされます。活性酸素が増えると血液中の脂質が酸化しやすくなり、血管壁を傷つけ沈着し、血栓から心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。βカロテンの強い抗酸化作用により血中脂質の酸化を正常化し、動脈硬化の進行抑制、2型糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の発症予防にも効果があるとの研究報告もあります。免疫機能向上やがん予防
βカロテンを含むカロテノイドやポリフェノールなどの植物由来成分は、体の働きをサポートする機能性成分として知られています。これらの成分は総称してフィトケミカルと呼ばれ、抗酸化作用によって活性酸素を抑えるほか、免疫の働きを助ける酵素を活性化するなどの作用が報告されています。また、野菜や果物に含まれるフィトケミカルは一つの成分だけで働くのではなく、複数の成分を組み合わせて摂ることで相乗的に作用するといわれています。がん予防や免疫機能への影響については研究が進められており、日常的に多様な植物性食品をとることが健康維持につながると考えられています。 通常の食品からβカロテンを摂取する場合、がんのリスク低減や健康維持に役立つと考えられていますが、サプリメントなど極端な過剰摂取・長期服用はがんのリスクが高まるとの研究報告もあります。βカロテンが多い果物ランキング

1位 マンゴーやあんずなどのドライフルーツ
ドライマンゴー6100μg(生610μg)、あんず(乾5000μg・生1500μg)、クコの実(乾3000μg)は、果物の中でも特に含有量が多い食品です。そのほか、干し柿1400μg(生420μg)、プルーン(乾1200μg・生480μg)も比較的多く含まれます。 βカロテンは緑黄色野菜のイメージが強いですが、果物にも豊富に含まれています。特にドライフルーツは水分が抜けることで栄養が濃縮され、100gあたりの含有量が高くなります。ただし、市販品は砂糖や油が加えられている場合があるため、選ぶ際は成分表示を確認しましょう。自宅で天日干しやオーブンを使って作れば、無添加のドライフルーツを楽しむこともできます。2位 赤肉メロン
メロンの品種は約30種類ありますが、果肉の色は主に、赤肉メロン(生3600㎍)、緑肉メロン(生140㎍)の2種類です。 ・赤肉メロンの果肉は、オレンジ色から深紅色までさまざまな赤みを帯びた色合いで、βカロテンが豊富な生の果物としてトップです!熟すにつれて果糖や香り成分が増えるため果肉も赤く染まっていきます。一般的に甘味が強く香りも濃厚でデザートメロンとしてよく食べられています。 ・緑肉メロンの果肉は、白みがかった淡い黄緑色をしています。しっかりした甘みと果肉の柔らかさが特徴です。ビタミンCが多く含まれ、爽やかな酸味と香りが魅力で、食後にさっぱりと食べられるのがいいですね。3位 みかん
日本の柑橘類を代表するみかん(うんしゅうみかん)(生1100㎍・100%ジュース420㎍・濃縮還元610㎍)、セミノール(アメリカ原産の鮮やかな赤橙色で日本では主に和歌山県などで栽培)(生1100㎍)、次いで、せとか(生930㎍)の3つが柑橘類の中で最も多く含まれています。柑橘類の中でも、※グレープフルーツ(生0㎍)、スウィーティー(生5㎍)、日向夏(生9㎍)、ざぼん(生15㎍)、レモン(生26㎍)、夏みかん(生85㎍・缶詰11㎍)など、中のつぶつぶの色が薄いとβカロテンの含有量も少ないことがわかります。 ※グレープフルーツの果肉(さじょう)が白肉ホワイト(生0㎍)、赤肉ルビー(生410㎍)の差で含有量がこれほど違ってくるのですね。 また、みかん(生)に比べて、ストレートジュースは約38%、濃縮還元で約55%とジュースにすると約半分程度の含有量となります。製造過程で減ってしまうため、できるだけ生の果物や手作りジュースなどで摂りたいですね。βカロテンが不足すると現れる症状は?

視覚に関わる症状(夜盲症・眼球結膜乾燥症・角膜乾燥症)
ビタミンAは、暗い場所での視覚を支えるロドプシンの材料となるほか、目の粘膜や涙の質を保つ働きがあります。不足すると、暗い場所で見えにくい「夜盲症」、涙の減少による「眼球結膜乾燥症(ドライアイ)」、さらに不足が進むと角膜が乾燥して白く濁る「角膜乾燥症」などが起こる可能性があります。これらはビタミンA不足の典型的なサインであり、早めの対策が大切です。皮膚・粘膜のトラブル(上皮の角質化)
ビタミンAは皮膚や粘膜の細胞を正常に保つために不可欠です。不足すると細胞の再生がうまく行われず、皮膚が乾燥してザラつきやすくなったり、上皮が厚く硬くなる「角質化」が起こりやすくなります。また、口や鼻、喉の粘膜も乾燥し、炎症を起こしやすくなることがあります。肌荒れが続く場合には、ビタミンA不足が背景にある場合も考えられます。成長や免疫機能への影響(発育障害・免疫力低下)
ビタミンAは成長期の骨や細胞の発達に欠かせない栄養素です。不足が続くと、特に子どもでは発育が遅れる「発育障害」が現れることがあります。また、免疫細胞の働きを支えるため、不足すると風邪をひきやすい、感染症にかかりやすいといった「免疫力の低下」につながることも知られています。偏食がある場合や、野菜・果物の摂取が少ない方は注意が必要です。βカロテンを過剰摂取すると現れる症状は?

柑皮症
みかんの食べ過ぎで皮膚が黄色くなります。みかんに含まれるβカロテンの色素が皮膚の角質層に沈着することが原因です。特に手のひらや足の裏に現れますが、この状態は健康に害はないとされています。みかんやカロテンを多く含む食品・飲料の摂取を控えれば数週間~数か月かけて徐々に元に戻ります。また、脂質異常症などの体質が関連していることがあるため、気になる場合は医師や専門家に相談しましょう。脂肪肝・肝疾患
βカロテンは通常の食品から摂取する量であれば安全性が高く、必要に応じてビタミンAに変換され、余剰分は肝臓や脂肪組織に一時的に蓄えられます。しかし、サプリメントによる高用量のβカロテンを長期間摂取した場合、体内でβカロテンが酸化されやすくなり、これが肝臓の炎症に影響する可能性が指摘されています。 特に、動物実験では、高脂肪・高ショ糖食によってすでに炎症が起きている肝臓に対して、酸化したβカロテンがその炎症反応をさらに促進したとの報告があります。肝臓への炎症性細胞の浸潤や炎症性サイトカインの増加、線維化(肝硬変の前段階)に関わる遺伝子の活性化などがみられ、脂肪肝の悪化につながる可能性が示されました。 このような影響は、食品からの摂取では起こりにくく、あくまで高用量のサプリメント摂取が長期間続いた場合に懸念されるものと考えられています。特に、高脂肪食・肥満・飲酒習慣など、肝臓に負担がかかっている状態では、酸化ストレスが増えやすいため注意が必要です。肺がんなどのリスク
βカロテンの抗酸化作用で活性酸素による細胞遺伝子がダメージを受けるのを防ぐ効果があり、一部のがんを予防する効果があるといわれています。 しかし、βカロテンのサプリメントを高用量(20~30㎎/日)摂取した、喫煙者または喫煙していた人、アスベストを扱う労働歴のある人で、肺がんや胃がん、死亡リスクを高める可能性があることを発見したとの研究報告があります。βカロテンを効率的に摂取するには?

油と一緒に摂って吸収率アップ!
βカロテンは油に溶けやすい性質のため、植物油やドレッシング、油脂類を多く含む食品と一緒に摂ることで小腸での吸収率が高まります。また、食品の脂質量や調理法によって吸収率が10~60%と大きく異なります。工夫して効率よくβカロテンを摂りましょう。 油脂類の中にはβカロテンが含まれているものがあります。 マーガリン(着色料としてβカロテンを添加) 300㎍、バター(有塩・無塩・発酵) 180~190㎍オリーブ油 180㎍ などがあります。 また、同じく抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれている植物油があります。 ヒマワリ油 39mg、グレープシードオイル(ぶどう油) 28mg、綿実油 28mg、紅花油 27mg、米ぬか油 26mg、コーン油17mg、大豆油 10mg、オリーブ油 7.4mgなどがあります。 βカロテンは熱にも比較的強いため、これらの食用油で調理することで効率よく吸収され、さらに抗酸化力のアップも期待できます。ただ、長時間の加熱は酸化しやすくなるため短時間での調理を意識しましょう。摂りすぎると逆にからだにとって悪影響(疾病)にもつながるため使用量には注意が必要です。調理を工夫して!
先述したように、βカロテンは調理法によって吸収率が変わるため上手に摂る工夫をしましょう。 今回は、果物を取り入れた調理法を紹介します。 メキシコなどラテン系やベトナム・台湾などのアジア料理にはフルーツの酸味や甘味、香りを活かした料理、フランスでは季節のフルーツを用いたソースが使われています。 わが国でも近年フルーツ入りの料理が増えてきたもののメイン料理への活用はまだまだ普及されていません。 身近な食べ物では生ハムメロン、柿と春菊のサラダや柿なます、生姜焼きなどのソースや具として、キウイ・リンゴ・柿のチャツネなどを加えることがあります。味の深みや甘み、柔らかさを目的に隠し味として使われます。 油脂類を含む魚、肉、卵を使った料理にフルーツを取り入れてみましょう。えっ!と驚く組み合わせでも意外に美味しくいただけます。 βカロテンの抗酸化作用を最大限に活かす調理の工夫 ・同じ抗酸化作用をもつ、ビタミンC・ビタミンEの食品と一緒にとって相乗効果◎ ・食材をカットしたり、加熱することで吸収しやすく! ・油脂類を含む食品と一緒に調理で吸収率アップ◎カラフルな野菜や果物を組み合わせて!
βカロテン含むカロテノイドの抗酸化成分は、一種類だけを摂るよりも、複数を組み合わせると効果的です。 色とりどりの野菜や果物・魚介類・豆類・海藻類を上手にとりましょう。 野菜では、モロヘイヤは10000㎍と多く、ほうれん草、ニラ、青梗菜、大根菜、春菊、小松菜なども多く含まれ、炒める、煮る、揚げるなど調理法も組み合わせやすい食材です。 サラダでは、定番のレタス類(2000~3800㎍)やルッコラ(3600㎍)に多く、海藻類やフルーツ、ビタミンEが多いナッツ類をアクセントに、ドレッシングをかければβカロテンの吸収や抗酸化作用のアップも期待できる一皿が完成します。 三つ葉や分葱、バジル、パセリ、シソ、唐辛子などの薬味となる野菜にも多く含まれます。 一度に多くの量はなかなか摂れませんが、お料理やスイーツのアクセントに取り入れても◎ 魚介類では、ウニ(700~1000㎍)やホタテなどにも含まれています。 エビやカニの身はもちろん美味しいですが、濃い赤色の殻は、出汁やスープにして!! 彩とりどりのフルーツ・野菜・魚介類・海藻類・ナッツ・薬味野菜・ドレッシングを組み合わせるとバランスのよい抗酸化マリネに!!「βカロテンが多い果物」についてよくある質問

ここまでβカロテンが多い果物について紹介しました。ここでは「βカロテンが多い果物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
βカロテンが一番多い果物はなんでしょうか?
大隅 加奈子
乾物 ・・・・ドライマンゴー
生の果物・・・赤肉メロン
旬(生)の果物は季節によって異なります。
〚春〛メロン(赤肉)3600㎍、あんず1500㎍、パッションフルーツ1100㎍、びわ810㎍
〚夏〛スイカ(赤肉)830㎍、マンゴー610㎍、もも(黄肉)210㎍
〚秋〛柿420㎍
〚冬〛みかん1100㎍、グレープフルーツ(紅肉)410㎍、きんかん130㎍
昔から旬のものを食べるとからだにいいといわれています。
その時期にからだに必要とされる栄養素が豊富に含まれ、からだの調子を整える効果も期待できます。みずみずしくおいしさも栄養価も格別です‼
積極的に食べることを意識しましょう。旬の時期に保存食としてドライフルーツにすると水分が抜けるため、100gあたりのβカロテン量は3~10倍程度に濃縮されます。
お好きなフルーツで作ってみてはいかがでしょうか。そのままおやつに。スイーツ作りやお料理、トッピングにも手軽に使えますよ!
まとめ
βカロテンは、カロテノイドの中でも特に強力な抗酸化力をもち、紫外線や活性酸素から美肌や老化を守ってくれるうれしい働きがあります。また、動脈硬化や生活習慣病予防、がん予防の効果まで期待され、私たちの健康維持に欠かせない栄養素です。 赤・黄・橙・緑の野菜・果物・お豆・海藻類・魚介類など普段のお食事で取り入れやすい食材が多いので、バランスよく毎食1~2皿食べることを意識するといいですね。 βカロテンをはじめ、植物に含まれる色素・香り・辛味・渋みなどの機能性成分をまとめてフィトケミカルと呼びます。フィトケミカルは、からだの生理的機能を活性化させる機能性成分です。フィトケミカルは一つの成分だけを摂るよりも、さまざまな成分を組み合わせて摂る方がより効果的です。色とりどりの野菜や果物、食材を組み合わせて、見た目も心も、健康も、毎日の日々も、楽しくおいしい食事で彩りましょう。「βカロテン」と関連する病気
「βカロテン」と関連する病気は13個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。消化器内科の病気
- 胃がん
呼吸器内科の病気
糖尿病内科の病気
- 2型糖尿病
脳神経外科の病気
- 脳血管疾患
肝臓内科の病気
- 脂肪肝
- 脂肪性肝炎
眼科の病気
「βカロテン」と関連する症状
「βカロテン」と関連している、似ている症状は1個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 柑皮症
参考文献
