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小林幸子、網膜剥離で「このまま失明か…」恐怖の告白と衝撃実体験 小林幸子、網膜剥離で「このまま失明か…」恐怖の告白と衝撃実体験

網膜剥離は、何らかの原因によって目の奥にある網膜が眼球後壁からはがれてしまう病気です。その初期症状である飛蚊症については、聞いたことがある人やすでに症状のある人も多いのではないでしょうか。飛蚊症があるだけでは特に問題はないことが多いですが、網膜剥離の初期症状として自覚される場合があります。網膜剥離は進行すると失明のリスクがあり早期発見・早期治療が重要です。そこで今回は、実際に網膜剥離で失明の危機を乗り越えた小林幸子さんと日本眼科学会認定眼科専門医である吉田達彌先生をお招きし、網膜剥離の真実と治療について対談していただきます。

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小林幸子
インタビュー小林幸子(歌手)
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1953年12月5日生まれ。新潟県新潟市出身。64年10歳で「ウソツキ鴎」でデビュー。79年「おもいで酒」が200万枚突破の大ヒットとなる。日本レコード大賞「最優秀歌唱賞」をはじめとする数々の歌唱賞を受賞。同年、NHK「紅白歌合戦」に初出場。以降34回出場。2006年「紺綬褒章」受章。第27回松尾芸能賞「大賞」受賞。08年第63回文化庁芸術祭・大衆芸能部門にて「優秀賞」を受賞。13年新潟県より「新潟県民栄誉賞」受賞。15年「新潟市立日和山小学校」の校歌を作成。舞台やテレビドラマ、声優、バラエティなど多方面で活躍。最近ではニコニコ動画などで若い世代からも支持されており昨年、芸能生活60周年を迎えた。
吉田達彌先生
監修医師: 吉田達彌(日本眼科学会認定眼科専門医)
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北里大学薬学部卒業。岡山大学医学部卒業。日本眼科学会認定眼科専門医として基幹病院や大学病院で研鑽を積み、令和2年4月より新見眼科の院長、レイクリニック主任執刀医に就任。白内障手術だけでなく網膜硝子体手術にも豊富な経験があり、数多くの眼科疾患の治療に従事している。日本眼科学会認定眼科専門医、日本抗加齢学会専門医、薬剤師。専門分野は白内障・多焦点眼内レンズ手術、網膜硝子体手術、レーシックや眼内コンタクトレンズなどの屈折矯正手術。
chapter01 検査フェチでも盲点だった「網膜剥離」の落とし穴 chapter01 検査フェチでも盲点だった「網膜剥離」の落とし穴

吉田先生吉田達彌先生

小林さんが網膜剥離に気付いたきっかけについて教えていただけますか?

小林幸子さん小林さん

最初に気付いたきっかけは飛蚊症でした。周囲にも飛蚊症の人が多く、年齢的にも仕方ないと思っていました。

吉田先生吉田達彌先生

その後の経過について教えてください。

小林幸子さん小林さん

ある日、飛蚊症とは違う小さな黒い点が見えるようになり、徐々にその数が増えて大きくなりました。そこで眼科に行き、網膜剥離の診断を受けました。

吉田先生吉田達彌先生

網膜剥離と聞き、どのような心境でしたか?

小林幸子さん小林さん

診断と同時に手術の話をされて驚きました。「手術は2日後の生放送が終わってからでも良いですか?」と先生に聞いたところ、失明するかもしれないと言われ鳥肌が立つほど怖くなったことを覚えています。

吉田先生吉田達彌先生

すぐに手術は決意できましたか?

小林幸子さん小林さん

その日は決意できずに帰宅しましたが、先生から「朝日が昇るか夕陽の沈むような見え方になったら来てください」と言われていました。翌日、実際に朝日が昇るような見え方になり、すぐに病院へ行き手術を受けました。

吉田先生吉田達彌先生

それで手術を決心されたのですね。

小林幸子さん小林さん

失明ほど怖いことはありませんからね。

吉田先生吉田達彌先生

小林さんは定期的に目の検査はされていましたか?

小林幸子さん小林さん

もともと検査フェチで、MRIやCT、血液検査、予防接種は頻繁に受けていましたが、目の検査はしていませんでした。人間ドックや健康診断は半年〜1年に1回受けるものの、目の検査は全く盲点でした。

吉田先生吉田達彌先生

症状がなければ、なかなか眼科を受診する機会もありませんよね。飛蚊症はいつ頃から自覚されていたのですか?

小林幸子さん小林さん

網膜剥離と診断される半年くらい前からです。周囲にも同じような症状がある人も多く安心していましたが、そのままにしてはいけませんね。飛蚊症の原因は何ですか?

吉田先生吉田達彌先生

飛蚊症とは、目の中にある濁り成分が見えている状態です。目の中は透明なゼリー状の物質(硝子体)で満たされており、加齢に伴って液体成分とゲル状成分に分かれていきます。ゲル状成分を構成するコラーゲンが凝集することで濁りとなり、黒い点が見えるようになります。これが飛蚊症の原因です。

小林幸子さん小林さん

一般的に飛蚊症を自覚する年齢は何歳くらいからですか?

吉田先生吉田達彌先生

飛蚊症を自覚する年齢は50〜60代が最も多いとされています。

小林幸子さん小林さん

飛蚊症と網膜剥離にはどのような関係があるのでしょうか?

吉田先生吉田達彌先生

加齢に伴って硝子体が目の奥の網膜から分離することを後部硝子体剥離と呼びます。後部硝子体剥離が生じると自覚症状として飛蚊症が悪化することが多いですが、これ自体は加齢による自然な現象で多くの場合問題ありません。しかし、網膜に弱い部分がある場合、後部硝子体剥離に伴って網膜が引っ張られ網膜に穴が開きます。

小林幸子さん小林さん

網膜に穴が開いてしまうのですね。

吉田先生吉田達彌先生

はい。最終的には硝子体中の液体成分が穴から入り込み、網膜が眼球後壁からはがれていきます。それが網膜剥離です。

小林幸子さん小林さん

網膜には、どのような働きがあるのですか?

吉田先生吉田達彌先生

光は角膜と水晶体を通り網膜に届きます。入ってきた光は網膜で電気信号に変換され視神経を通じて脳に伝わり、画像として処理されます。目の構造はフィルムカメラに似ており、レンズの働きをしているのが角膜と水晶体、フィルムの働きをしているのが網膜です。

小林幸子さん小林さん

つまり網膜剥離になると、光などの情報を映し出せなくなってしまうのですね。網膜剥離の初期症状について教えてください。

吉田先生吉田達彌先生

網膜剥離の初期症状には飛蚊症と光視症があります。飛蚊症とは目の中に小さいゴミのようなものが漂って見える症状で、光視症は視界に光がピカピカと見える現象です。網膜剥離が進行すると、視野欠損や急激な視力低下が生じることもあります。

小林幸子さん小林さん

ある日、突然起きるのが一番怖いですよね。

吉田先生吉田達彌先生

日常では両目でものを見ているため、片目に視野欠損や視力低下が生じても気づきにくく、痛みも伴わないので発見が遅れる場合があります。

小林幸子さん小林さん

痛みがないと後回しにしてもいいような気持ちになりますよね。今考えると、異常を感じて受診してよかったと思いました。

吉田先生吉田達彌先生

そうですね。

小林幸子さん小林さん

どういった人が網膜剥離を発症しやすいのでしょうか?

吉田先生吉田達彌先生

網膜剥離の危険因子として遺伝、加齢、近視、白内障の術後、アトピー、外傷があげられます。

小林幸子さん小林さん

当てはまる人は多そうですね。

吉田先生吉田達彌先生

しかし、網膜剥離は目を外側から見ただけでは診断できません。人間ドックや健康診断で眼底写真を撮ることがあると思いますが、よほど進行していない限り眼底写真での診断も難しいのが現状です。

小林幸子さん小林さん

そうなのですか?

吉田先生吉田達彌先生

網膜剥離の診断には、まず目薬で瞳孔を開き網膜を隅々まで診察する眼底検査が必要です。

小林幸子さん小林さん

一般的な検査ではおこないませんよね?

吉田先生吉田達彌先生

そうですね。そのため飛蚊症を自覚したら早めに眼科を受診することが重要です。

小林幸子さん小林さん

飛蚊症は、周囲にも同じような人がいるというだけで侮ってはいけませんね。

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