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「牛肉の健康効果」はご存知ですか?摂取する際の注意点も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/11/21
「牛肉の健康効果」はご存知ですか?摂取する際の注意点も管理栄養士が解説!

牛肉の効果とは?メディカルドック監修医が牛肉の健康効果・含まれる栄養素・効率的な摂取方法・保存方法・摂取する際の注意点などを解説します。

中島 三容子

監修管理栄養士
中島 三容子(管理栄養士)

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一般企業で約20年自動車部品の設計補助業務に従事したのち、栄養士の世界へ。2022年に管理栄養士資格取得後は、国家試験対策教材の制作サポートや食育コーディネートに携わる。また、持続血糖測定の管理事務および保健指導を行い、ひとりひとりの「なんとなくわかっちゃいるけど」に寄り添いアプローチする。

「牛肉」とは?

「牛肉」とは?

「牛肉」とは、牛の筋肉部分を食材としたものであり、高品質なたんぱく質を中心に、脂質、鉄や亜鉛、ビタミンB群などの栄養素を豊富に含む食品です。含まれる栄養素量は部位によって違うため、次項にその特徴をまとめます。 ※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より、一般的に”国産牛”とされている「乳用肥育牛肉」の値を参照します。

牛肉に含まれる栄養素

牛肉に含まれる栄養素

たんぱく質

たんぱく質は、炭水化物、脂質と共にエネルギー産生栄養素のひとつですが、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能成分として、生命の維持に欠くことができない栄養素です。 たんぱく質の部位別含有量(100gあたり):ヒレ20.8g>もも19.5g>かた17.1g>リブロース14.1g>ばら12.8g

脂質

脂質は、炭水化物、たんぱく質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつです。体内でエネルギー源となるほか、細胞膜やホルモンの材料、脂溶性ビタミンの吸収を促す働きがあります。適量の脂質摂取は生命維持に欠かせません。ただし、脂質1gは9kcalに相当し、余剰分は体脂肪となって蓄えられることから、摂り過ぎは肥満のリスクとなるため注意が必要です。 脂質の部位別含有量(100gあたり):ばら39.4g>リブロース37.1g>かた19.8g>もも13.3g>ヒレ11.2g

鉄は、人体に必要な微量ミネラルの一種で、その多くが赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンに存在し、酸素運搬機能や酵素機能を担います。 鉄の部位別含有量(100gあたり):ヒレ2.4mg>かた2.1mg>もも・ばら1.4mg>リブロース1.0mg ちなみに、牛の内臓部分であるレバー(肝臓)には4.0mg含まれています。

亜鉛

亜鉛は、人体に必要な微量ミネラルの一種で、そのほとんどが細胞内に存在し、約200種類以上の酵素や補酵素の構成成分としてDNAの合成や骨代謝など様々な代謝に関与します。 亜鉛の部位別含有量(100gあたり):かた・もも4.5mg>リブロース3.7mg>ヒレ3.4mg>ばら2.8mg

ビタミンB群

牛肉はビタミンB2,B6,B12,ナイアシンなどのビタミンB群も含みます。ビタミンB群は、様々な代謝の補酵素として必要な栄養素です。例えば、ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関与しています。ビタミンB群はヒレに多く、ビタミンB2を0.26mg、ビタミンB6を0.43mg、ビタミンB12を3.0μg、ナイアシン当量で9.2mgNE含みます。ちなみにレバーには、ビタミンB2が3.0mg、ビタミンB6が0.89mg、ビタミンB12が53.0μg、ナイアシン当量で18.0mgNE含まれています。※ナイアシンはアミノ酸のトリプトファンからも生合成されるため、含有量はナイアシン当量で示します。

牛肉の健康効果

牛肉の健康効果

効率的な体づくり

牛肉を含むほとんどの動物性食品のたんぱく質中には、ヒトが体内で合成できず食物から摂取しなければならない必須アミノ酸の全てが、不足なくバランスよく含まれています。このように高品質なたんぱく質は「アミノ酸価100」と表現され、効率的に筋肉・皮膚・髪の毛などの体たんぱく質として利用することができます。

貧血の予防

鉄が不足すると、赤血球中のヘモグロビンが減少し、体内への酸素供給が不十分になることで、疲労感やめまい、思考力の低下などを招く「鉄欠乏性貧血」を引き起こすおそれがあります。 鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜や豆類に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて吸収率が高く、さらに動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ることで吸収が促進されます。 牛肉はヘム鉄を多く含み、同時にたんぱく質源としても優れているため、鉄の吸収効率を高めながら貧血の予防に役立つ食品といえます。

免疫機能の維持

亜鉛には体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃、排除したりする免疫機能を活性化させる働きがあります。牛肉には牡蠣やレバーと並ぶほど亜鉛が豊富に含まれているため、免疫機能を維持して風邪などの感染症にかかりにくくすることに役立ちます。

牛肉の栄養素を効率的に摂取する方法

牛肉の栄養素を効率的に摂取する方法

牛肉と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

糖質からのエネルギーが不足していると、たんぱく質がエネルギーとして使われてしまうため、効率的にたんぱく質を利用することができません。牛肉のたんぱく質を効率的に利用するためには、ごはんなどの糖質から十分にエネルギーを摂ることが大切です。また、鉄や亜鉛はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。例えば、ビタミンCが豊富なじゃがいも入りのビーフカレーは、水溶性の亜鉛もスープごと摂れるなど、牛肉に含まれる栄養素を活かすことができるおすすめのメニューです。

牛肉の栄養効果を高める摂取タイミング

たんぱく質を多く含む牛肉は、運動などで筋肉を使った後に摂取することで、筋肉の修復や成長をサポートするといわれています。特に運動を行う人では、運動後30〜60分以内にたんぱく質を摂ると、筋肉の回復がより効率的になると報告されています。日常生活においても、夕食などで適量の牛肉を取り入れることで、体づくりや疲労回復に役立ちます。

牛肉を食べる際の注意点

牛肉を食べる際の注意点

動脈硬化のリスク

牛肉の脂質には飽和脂肪酸が多く含まれています。飽和脂肪酸は血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増加させる作用があり、脂質の多い部位を摂り過ぎると動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めるおそれがあります。 バランスの良い食事を心がけるためには、脂身の少ない部位を選んだり、調理法を工夫して余分な脂を落とすことが有効です。また、アジやサバなどの青魚には、動脈硬化を抑える働きがあるn-3系脂肪酸(EPAやDHA)が豊富に含まれているため、これらを組み合わせて摂ることで脂質の質を改善することができます。

発がんのリスク

牛や豚などの肉は「赤身肉」に分類され、国際がん研究機関(IARC)は赤身肉を「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」と評価しています。また、ソーセージやハムなどの加工肉は、より強い根拠があるとして「発がん性がある(グループ1)」に分類されています。 ただし、これは“発がん性の可能性に関する科学的証拠の強さ”を示すものであり、通常の食生活で牛肉を適量摂取することが直ちに健康被害をもたらすという意味ではありません。 発がんリスクを高める要因として、飽和脂肪酸の摂取過多による慢性炎症の促進や、高温調理(焼きすぎ・焦がしすぎ)によって発生するヘテロサイクリックアミンなどの化学物質の生成が指摘されています。焼き加減に注意し、野菜や果物など抗酸化成分を含む食品と一緒に摂ることで、リスクを抑える工夫ができます。

食中毒のリスク

牛肉の生食には腸管出血性大腸菌などの食中毒のリスクが伴います。特に子どもや妊婦、高齢者など免疫力が低い場合は感染しやすく重症化するリスクが高いです。食中毒のリスクを回避するためには、牛肉の十分な加熱(中心温度75℃以上で1分以上)と衛生管理が必要です。

牛肉の保存方法や期間

牛肉の保存方法や期間

牛肉の鮮度を保つ保存方法

すぐに食べない場合は、トレーから出して小分けにしてラップで包み、しっかり空気を抜いて密閉袋に入れて速やかに10℃以下の冷蔵庫(4℃以下のチルド室がベスト)で保管します。ポイントは空気にふれないようにすることです。冷凍保存する場合は、急速凍結できるようになるべく薄く平らな形にして密閉しましょう。

牛肉の保存期間

冷蔵保存では、ひき肉は1日、スライス肉は3日、ブロック肉は5日程度が目安です。冷凍保存では、ひき肉は2週間、スライス肉は3週間、ブロック肉は1か月程度が目安です。

「牛肉の効果」についてよくある質問

「牛肉の効果」についてよくある質問

ここまで牛肉の効果を紹介しました。ここでは「牛肉の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

牛肉を毎日食べるとどんな効果がありますか?

中島 三容子中島 三容子

毎日適量の牛肉を食べることは、筋肉づくり、貧血予防、免疫維持などの効果が期待できますが、牛肉ばかりを摂り過ぎるとかえって健康を害する恐れがあります。

牛肉はストレスに効果がありますか?

中島 三容子中島 三容子

牛肉には、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンが含まれています。トリプトファンは脳内でセロトニンの生成に関わり、精神の安定やリラックスに寄与する可能性があります。ただし、牛肉に特別多く含まれているわけではなく、乳製品や大豆製品、卵などにも豊富に含まれています。これらをバランスよく摂ることで、ストレス緩和に役立つと考えられます。

まとめ

多くの効果がある牛肉ですが、その目的に応じて部位を選んだり、いろいろな種類の肉や魚を穀類、野菜・果物と組み合わせて摂ることによって、牛肉に不足しがちな栄養素(ビタミンD・食物繊維・カルシウムなど)も補えますし、味の違いを楽しむことができます。

「牛肉」と関連する病気

「牛肉」と関連する病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 肥満症
  • 高LDL-コレステロール血症
  • 上気道炎

循環器内科の病気

消化器内科の病気

「牛肉」と関連する症状

「牛肉」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 肥満
  • 疲労感
  • 思考力低下
  • 消化器症状(下痢、嘔吐)

この記事の監修管理栄養士