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「炭水化物ダイエット」は夜だけでも効果はある?メリット・デメリットも解説!

 公開日:2025/11/26
「炭水化物ダイエット」のメリット・デメリットはご存じですか?管理栄養士が解説!

炭水化物ダイエットとは?メディカルドック監修医が男女別の一日の摂取量・メリット・デメリット・ダイエット中におすすめの炭水化物を含む食品・不足すると現れる症状などを解説します。

神尾 澄恵

監修管理栄養士
神尾 澄恵(管理栄養士)

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病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームにて15年にわたり給食管理業務に従事。管理栄養士取得後は病院で栄養管理業務に従事。栄養指導、特定検診保健指導、他NST、褥瘡回診など幅広く活躍中。東京都糖尿病療養指導士取得。患者さん、入居者さんが楽しめる食事提供を心がけています。

「炭水化物」とは?

「炭水化物」とは?

炭水化物は、脂質・たんぱく質と並ぶ三大栄養素のひとつで、1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。脳や体を動かすための主要なエネルギー源であり、健康を維持するうえで欠かせない栄養素です。
炭水化物は大きく分けて、ヒトの消化酵素で分解・吸収される「糖質」と、消化されずに腸内環境を整える「食物繊維」に分類されます。糖質は構造の違いによって単糖類・二糖類・少糖類・多糖類に分けられます。
単糖類にはブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどがあり、これらが2つ結合したものが二糖類(ショ糖=ブドウ糖+果糖、乳糖=ブドウ糖+ガラクトース、麦芽糖=ブドウ糖+ブドウ糖)です。少糖類は「オリゴ糖」とも呼ばれ、腸内の善玉菌を増やす働きがあり、特定保健用食品にも利用されています。多糖類には、穀類などに多く含まれるでんぷんや、体内で糖を貯蔵するグリコーゲンなどがあります。

また、炭水化物の一種である食物繊維はヒトの消化酵素では分解されにくいため、主なエネルギー源にはなりませんが、一部は腸内細菌によって発酵・分解され、1gあたり約2kcal のエネルギーを生み出します。腸内環境の改善や血糖値の上昇抑制など、健康維持に重要な役割を果たしています。
このように炭水化物は、体のエネルギー源としてだけでなく、腸や代謝の働きを支える、生命活動に不可欠な栄養素です。

「炭水化物ダイエット」とは?

「炭水化物ダイエット」とは?

通常のダイエットと違い、炭水化物ダイエットは、主食となるごはんやパン、めん類など炭水化物を多く含む食べ物を減らすダイエット法です。主食をできるだけ食べないようにして、代わりにたんぱく質を含むおかずをしっかり食べます。食事の量を減らすわけではないので、満腹感も得られて、続けやすく効率的と感じる方もいるようです。

炭水化物を夜だけ抜いてもダイエットに効果はある?

炭水化物を夜だけ抜いてもダイエットに効果はある?

「夜だけ炭水化物を控える」という方法は、朝食や昼食では通常どおり食べられるため、食事制限によるストレスが比較的少ないというメリットがあります。実際、いくつかの研究では、同じ量の炭水化物を摂取しても「夜より日中に摂取した方が血糖値の上昇が緩やかだった」と報告されています。これは、人の体内時計の働きによって、夜間はインスリンの効きがやや低下し、血糖が上がりやすくなるためと考えられています。
ただし、「夜だけ炭水化物を抜けば痩せる」「睡眠の質が上がる」「むくみが取れる」といった効果には、個人差が大きく、現時点では明確な科学的根拠が十分に確立されているとはいえません。体重の変化は、炭水化物の摂取時間よりも、1日の総摂取エネルギーや栄養バランス、生活リズムの影響が大きいとされています。
そのため、夜に炭水化物を控える場合は、
・夕食を就寝の3時間前までに済ませる
・炭水化物を完全に抜かず、量を少しずつ減らす
・朝食・昼食で主食やたんぱく質・野菜をしっかり摂る
・水分をしっかり摂取する
といった工夫を心がけることが大切です。無理に炭水化物を我慢するよりも、食事全体のバランスやタイミングを見直すことで、健康的に体重をコントロールしやすくなります。

【男性】炭水化物ダイエット中の一日の摂取量

【男性】炭水化物ダイエット中の一日の摂取量

炭水化物ダイエットを始める前に、まず基準となる摂取量を確認しましょう。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、炭水化物は「総エネルギーに占める割合(%エネルギー)」で 50〜65% が目安とされています。

例)30~49歳男性の推定エネルギー必要量:2,750kcal/日
うち炭水化物:50〜65%=1,375〜1,788kcal/日
グラム換算(糖質=4kcal/gで簡便に計算):約344〜447g/日

※厳密には「糖質(利用可能炭水化物)」は4kcal/g、「食物繊維」は2kcal/gでエネルギー換算が異なります。実務的には%エネルギーを主な目安とし、グラムはあくまで参考値として捉えましょう。

【女性】炭水化物ダイエット中の一日の摂取量

【女性】炭水化物ダイエット中の一日の摂取量

女性も同様に、炭水化物の摂取目安は総エネルギーの 50〜65% です。

例)30~49歳女性の推定平均エネルギー必要量:2,050kcal/日
うち炭水化物:50〜65%=1,025〜1,333kcal/日
グラム換算(糖質=4kcal/gで簡便に計算):約256〜333g/日

この「炭水化物」には糖質と食物繊維の両方が含まれます。食物繊維は腸内環境を整え、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるため、過剰に減らすことはおすすめできません。

炭水化物を極端に制限すると、食物繊維や水分の摂取不足により便秘や体調不良を起こすことがあります。よく「1日100〜130gが必要」といわれることがありますが、これは主に脳が必要とする最低限の糖量の目安であり、ダイエットにおける最適量を示すものではありません。

年齢・性別・体格・活動量・目標体重などによって適正な摂取量は異なります。まずは現在の食事内容を把握し、炭水化物の量だけでなく、たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養バランスを整えることを意識しましょう。

炭水化物ダイエットのメリット

炭水化物ダイエットのメリット

血糖値上昇抑制

炭水化物は、ブドウ糖へ分解されて血液中に取り込まれますが、血液中にブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され血糖値を下げようとします。炭水化物の摂取量が多ければ、吸収されるブドウ糖もそれに従って多くなります。
炭水化物を制限すると、血糖値の上昇を抑え、インスリンの過剰分泌を抑えることができます。

生活習慣病予防

炭水化物を多く摂りすぎると、血糖値の上昇に伴いインスリンの分泌量が増加します。インスリンは血中の糖を筋肉や肝臓、脂肪組織に取り込む働きがありますが、過剰に分泌され続けると脂肪を蓄積しやすい状態を招き、肥満や脂質異常などのリスクを高める可能性があります。炭水化物の摂取量を適正にコントロールし、糖質の質(精製度の低い穀類、食物繊維を多く含む食品など)を意識することで、血糖値の急上昇やインスリンの過剰分泌を抑えることができます。結果として、肥満、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の予防に役立つと考えられています。ただし、過度な炭水化物制限は低血糖や栄養不足を招くおそれがあるため、エネルギーのバランスを保ちながら、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を心がけることが大切です。

体重減少

効果には個人差がありますが、低炭水化物の食事を摂取している方を調査したところ、たんぱく質を十分に摂取し、炭水化物を控えた食事を摂取することで、十分な満足感が得られ、食欲の抑制につながり、結果体重減少に至ったという症例もあります。ただし、長期的な場合、ほかの食事療法との差異は少ないという見解だそうです。

炭水化物ダイエットのデメリット

炭水化物ダイエットのデメリット

低血糖症状

糖質は脳のエネルギー源となる栄養素です。おもな症状として、頭痛・眠気・めまい・だるい・思考力の低下などがあげられます。糖質制限により「低血糖」を引き起こしている可能性があります。糖質が極端に減ってしまうと、脳の機能が落ちてしまい、その結果「低血糖」の症状が出やすくなります。

筋肉量が落ちやすい

糖質制限ダイエットのデメリットとして、筋肉量が落ちて痩せるという報告もあります。これは1日に摂取する糖質量だけではなく、食事量やカロリー自体が減っていることが原因と考えられます。食事の量や摂取カロリーが少なくなってしまうと、体は筋肉を分解してアミノ酸に変えてエネルギーを作ります。そのため、筋肉量が落ちてしまうことがあります。筋肉の元となるたんぱく質をバランスよく摂取することを意識しましょう。筋トレなどの軽い運動もおすすめします。

リバウンド

糖質制限ダイエットのデメリットとして、リバウンドの可能性も考えられます。これは短期間に厳しい制限をしていることや、通常の食事に戻したことが原因と考えられます。効果が現れるのは個人差があり、2週間以降ともいわれています。1週間程度ですと、水分量が減っているだけなので、通常の食事に戻したとたんに元の体重に戻ります。糖質制限ダイエットは、ストレスを溜めない程度のゆるい制限を中〜長期的に継続させることが大切です。

ダイエット中におすすめの炭水化物を含む食品

ダイエット中におすすめの炭水化物を含む食品

玄米

玄米は精米されていない米で胚芽や外皮が残っているため、ビタミンB群やミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は消化を緩やかにして血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。炭水化物含有量は、うるち米(炊飯後)100gあたり37.1gに対し、玄米(炊飯後)は100gあたり35.6gとやや少なめです。

オートミール

オートミールはオーツ麦を加工した食品で、食物繊維、とくに水溶性食物繊維のβ-グルカンが豊富です。また、ビタミンB群、鉄分、マグネシウムなどのミネラルも多く含まれています。調理が簡単で、白米の代わりに、雑炊やチャーハンにしたり、シリアルのようにフルーツや牛乳と合わせて食べることができます。種類が色々ありますので、ご自身のお好みのメーカーや食感、アレンジを楽しんでみてはいかがでしょうか。

かぼちゃ

かぼちゃは、ビタミンA・C・Eといった抗酸化作用のあるビタミンや、カリウム、食物繊維を多く含む栄養価の高い野菜です。炭水化物は可食部100gあたり約20g前後で、適度にエネルギーを補給しながら満足感を得られる食品です。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、むくみの予防や血圧の調整に役立ちます。甘みがあり食べ応えもあるため、ダイエット中でも満足感を得やすいのが特徴です。煮物やスープ、サラダなど、さまざまな料理に取り入れやすい食材です。。

芋類

じゃがいもやさつまいもなどの芋類は、ビタミンCや食物繊維、カリウムを多く含む炭水化物です。じゃがいもは100gあたりの炭水化物は16.9g、エネルギー量では約70kcalと低く、摂取カロリーを抑えることができます。こふき芋ですと蒸すだけなので、カロリーを抑えたまま食べることができます。

そば

そばは、そば粉を原料とした麺類で、たんぱく質や食物繊維、ビタミンB群などをバランスよく含む栄養価の高い食品です。穀類の中ではアミノ酸バランスが比較的良く、体づくりに欠かせない必須アミノ酸も含まれています。GI値(血糖上昇指数)が白米やうどんに比べて低いため、食後の血糖値の上昇が緩やかになりやすいのが特徴です。その結果、インスリンの過剰分泌を抑え、脂肪をため込みにくい食生活のサポートにつながると考えられています。なお、市販のそばには小麦粉を混ぜた製品も多いため、よりそば粉の割合が高い「十割そば」や「外一そば」などを選ぶとよいでしょう。

炭水化物が不足すると現れる症状

炭水化物が不足すると現れる症状

疲れやすくなる

エネルギー源としてのブドウ糖が不足してしまうと、筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解します。しかし、それほど量は多くないため、グリコーゲンも尽きてしまうと、エネルギーが不足して、疲れやすくなります。
「低血糖」のような頭痛、眠気、めまいなどの症状が起きてしまったときは、糖分の含まれた飲料を飲んで15分程様子をみてみましょう。それでも改善されない場合は医療機関を受診しましょう。

集中力の低下

脳は、ブドウ糖をエネルギー源としています。ほぼ一定の速度でブドウ糖を燃焼しています。脳だけで1日に120gものブドウ糖を消費するといわれています。そのため、不足すると、脳や神経への栄養が行き届かなくなり、判断力が鈍り、注意力が散漫になってきます。米などの穀物類には、ビタミンB群も含まれていて、なかでもビタミンB1は糖をエネルギーに変えるときに使われます。集中力低下を防ぐには、ビタミンB群を積極的に摂取しましょう。豚肉、牛肉、しじみ、鮭、いわしなどに多く含まれています。

便秘

糖質制限ダイエット中にある症状として、便秘になる可能性があります。原因としては、食物繊維と水分の摂取不足です。うるち米(炊飯後)の食物繊維は100gあたり1.5g、水分は60gです。便秘を避けるためには、水溶性食物繊維が豊富な食材を積極的に摂取するようにしましょう。おもな食品は、らっきょう、ぜんまい、切干大根、ごぼう、オクラ、キノコ類などです。主食に大麦や玄米を混ぜて炊いたり、パンの場合は全粒粉やライ麦パンに切り替えると食物繊維がアップします。

「炭水化物ダイエット」についてよくある質問

「炭水化物ダイエット」についてよくある質問

ここまで炭水化物ダイエットなどを紹介しました。ここでは「炭水化物ダイエット」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

炭水化物ダイエットは何を食べればいいのでしょうか?

神尾 澄恵神尾 澄恵

炭水化物を制限すると、食物繊維や水分摂取量が減り、便秘になる方もいらっしゃいます。水溶性食物繊維の豊富な、らっきょう、ぜんまい、切干大根、ごぼう、きのこ類など。また、炭水化物を制限すると、穀物類に含まれているビタミンB群が不足しがちになります。ビタミンB群が多く含まれる豚肉、牛肉、しじみ、鮭、いわしなどと併せて召し上がってみてはいかがでしょうか。

ダイエット中に炭水化物を摂取するなら、どんな食べ物がいいですか?

神尾 澄恵神尾 澄恵

炭水化物は、極端な制限は禁物です。主食として摂取するなら、玄米、オートミール、かぼちゃ、芋類、そば、全粒粉食品などがおすすめです。選び方としては、GI値の低いもの、栄養バランスの良いもの、腹持ちの良いもの、低糖質・低脂質の食品を選びましょう。

まとめ

炭水化物ダイエットは、炭水化物を完全に抜くのではなく、今食べている量から炭水化物を減らすダイエット法です。炭水化物は、たんぱく質、脂質とともに3大栄養素とよばれる大切な栄養素です。極端な制限は、低血糖症状や筋肉量の低下、リバウンドなどのリスクが伴います。まずは段階的に減らしたり、代替食品として糖質の少ないものを摂取し、中〜長期的な継続ができるようこころがけましょう。炭水化物ダイエットをはじめるにあたって、すぐに炭水化物を制限するのではなく、食事摂取量や食事時間を見直してみることも大切です。

「炭水化物」と関連する病気

「炭水化物」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

耳鼻科の病気

脳神経外科の病気

  • 頭痛

「炭水化物」と関連する症状

「炭水化物」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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この記事の監修管理栄養士