「オリゴ糖が多い食品」はご存知ですか?”過剰摂取”すると現れる症状も解説!

オリゴ糖の多い食品とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
山口 恵里(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「オリゴ糖」とは?

オリゴ糖は炭水化物の一種です。炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されており、糖質は単糖やオリゴ糖、でんぷんなどからなります。オリゴ糖は単糖が3から9個結び付き構成されています。
オリゴ糖の多くは難消化性で、小腸ではほとんど吸収されずに大腸まで届き、腸内細菌によって発酵・分解されます。一部には、体内である程度消化・吸収されるものもありますが、一般には難消化性オリゴ糖が健康効果をもたらす成分として注目されています。また、消化・吸収はほとんどされず腸内細菌によって発酵を受け、単鎖脂肪酸の生成や消化管の酸性化に関与します。腸内細菌には善玉菌、悪玉菌と、そのどちらでもない日和見菌があります。善玉菌にはビフィズス菌や乳酸菌がありますが、その善玉菌の栄養源となるのがオリゴ糖です。善玉菌が増えることで腸内環境が整い免疫力を高めたり消化を助けたりするなど、体にとって重要な役割を担っています。また、オリゴ糖は小腸でほとんど吸収されないため血糖値の急上昇をおこしにくいとされています。
オリゴ糖の一日の摂取量

現在、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、オリゴ糖の摂取量に関する明確な基準は設定されていません。 ただし、特定保健用食品(トクホ)などで推奨されている摂取量は、一般的に1日あたり2〜10g程度とされています。 市販の健康食品やサプリメントには製品ごとに目安量が記載されている場合が多いため、表示を確認し、体調に合わせて無理のない範囲で摂取することが望ましいです。
オリゴ糖の効果

整腸
オリゴ糖の一種であるフラクトオリゴ糖やイソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となり菌を増やし、発酵を早めます。さらに善玉菌がオリゴ糖を分解・発酵し短鎖脂肪酸が生成されます。脂肪酸によって腸内が酸性になると悪玉菌が増えるのを食い止めてくれます。その結果腸内は良好に保たれます。また、酸が腸を刺激し便秘やおなかの張りを和らげて、胃腸のコンディションを整えます。
歯の健康維持
虫歯の原因となるミュータンス菌は、砂糖(ショ糖)を分解してグルカンという粘着性の物質をつくり、それが歯に付着して酸を産生します。この酸によって歯のエナメル質が溶け、虫歯が進行します。 砂糖の代わりに、虫歯の原因になりにくい甘味料としてパラチノースやトレハロースなどの二糖類、および難消化性オリゴ糖が利用されることがあります。これらはミュータンス菌によって分解されにくいため、酸の産生が抑えられ、虫歯のリスクを下げる効果が期待されます。 また、オリゴ糖の一種であるラフィノースは非吸湿性で歯に残りにくく、歯垢の形成を抑える働きがあるとされています。
免疫力の向上
腸には体全体の免疫細胞の約7割が存在します。また腸内細菌は3種類にわかれ、善玉菌・日和見菌・悪玉菌があり、悪玉菌の比率が多くなると免疫力が下がります。オリゴ糖は善玉菌の栄養源になるため、摂取により腸内環境が整い免疫力が上がります。
血糖値の上昇抑制
オリゴ糖はほとんど小腸で吸収されず大腸まで届きます。食事によって摂取した炭水化物(糖質)は小腸で吸収され、酵素によりブドウ糖に分解され血液中に入り、血糖値を上昇させます。ですがオリゴ糖は前述したように、ほとんど吸収されないため血糖値の急上昇を防ぎます。特にフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などの難消化性オリゴ糖は血糖値をあげにくく糖尿病の方にも使いやすい甘味料とされています。ただし、市販されているものには砂糖やブドウ糖が配合されている場合があるので注意が必要です。
便秘の改善
オリゴ糖の適度な摂取によって善玉菌が増え腸内細菌のバランスが整います。さらに、善玉菌がつくる短鎖脂肪酸は腸を刺激し、腸の蠕動運動が活発になり便秘の改善につながります。
オリゴ糖の多い食品

はちみつ
はちみつに含まれるイソマルトオリゴ糖は、清酒やみりんにも含まれ甘みの他に食品に旨みやコクを与えます。ヨーグルトや発酵食品と一緒に摂ることで善玉菌が増え相乗効果が期待できます。またオリゴ糖の一種であるラフィノースも含まれ、こちらは保湿効果が高くスキンケアに使用されることもあります。
大豆
大豆に含まれる大豆オリゴ糖は砂糖の70%の甘さで、カロリーは半分、熱や酸に強く、他のオリゴ糖と比べ、少量で善玉菌を増やすことができます。発酵させた納豆やおからを除去した豆腐は含有量が少なく、きなこや蒸し大豆、豆乳などがおすすめです。
ごぼう
ごぼうに含まれるフラクトオリゴ糖は虫歯になりにくい甘味料として、お菓子などに使われています。また、ごぼうに含まれる水溶性食物繊維は老廃物を排出しやすくし、オリゴ糖が善玉菌の栄養源となるため、相乗効果により腸内環境を良好にします。
ヨーグルト
一般的なヨーグルトにはオリゴ糖は含まれていませんが、「オリゴ糖配合」や「腸活サポート」などの表示がある製品には、ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖などが添加されていることがあります。これらのオリゴ糖は熱や酸に強く、善玉菌であるビフィズス菌の増殖を助け、腸内環境の改善に役立つとされています。
ヤーコン
日本ではあまり馴染みのないヤーコンですが、「オリゴ糖の王様」と呼ばれるほどフラクトオリゴ糖を豊富に含んでいます。中南米アンデス地方原産で、加熱によりフラクトオリゴ糖が減少するため生でサラダやピクルスにして食べるのがおすすめです。旅行で田舎に行くことがあれば、地方の産地直売所には売っていることがありますので見つけたら試してみるのもいいですね。
オリゴ糖が不足すると現れる症状

オリゴ糖が不足すると、オリゴ糖を栄養源としている善玉菌が減ります。それにより、悪玉菌が増え腸内環境が悪くなり様々な症状が現れます。
便秘
オリゴ糖は消化酵素で分解されず、大腸まで直接届きます。オリゴ糖が不足すると善玉菌が減り、悪玉菌が優勢になります。そして腸の蠕動運動が鈍くなり便の移動が遅くなります。その後、排便が困難になり便秘になります。
慢性的な疲労感
免疫細胞の約7割が腸内に集中していると言われています。善玉菌のエサであるオリゴ糖が不足すると、善玉菌が増えにくく腸内の免疫細胞が活性化されないため免疫力が下がります。免疫力が下がると、体を守る機能が弱くなり睡眠をとっても疲れが取れにくくなります。
神経系の不調
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境と神経系の関係に注目が集まっています。腸内ではセロトニンなどの神経伝達物質の多くが作られており、腸内細菌のバランスがその産生に影響を及ぼす可能性があるとされています。オリゴ糖は善玉菌の栄養源となるため、摂取することで腸内環境が整い、心の健康にも良い影響を与えると考えられています。ただし、オリゴ糖の不足が神経伝達物質の減少に直接つながるかどうかについては、今後の研究が待たれます。
オリゴ糖を過剰摂取すると現れる症状

下痢
オリゴ糖を過剰摂取すると腸内にあるオリゴ糖が水分を引き寄せるため水分量が増加し下痢になります。また、善玉菌が急激に増え腸が活発に動きすぎるため、おなかがゆるくなることがあります。
腹部膨満感
オリゴ糖は腸内でほとんど吸収されません。過剰摂取してしまうと腸内に留まり発酵しすぎてガスが発生し、胃の不快感や腹部膨満感が生じます。
肥満
オリゴ糖自体は低カロリーで、血糖値を上げにくい甘味料として知られています。そのため、適量であれば肥満の原因にはなりにくいとされています。 ただし、「オリゴ糖入り」と表示された市販の製品には、砂糖やブドウ糖など高カロリーな糖質が一緒に含まれている場合があり、過剰に摂取するとエネルギーの過剰摂取につながり、結果として肥満のリスクを高める可能性があります。製品の原材料表示を確認することが大切です。
オリゴ糖の効率的な摂取方法

オリゴ糖と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
海藻やごぼう、りんごに含まれる水溶性の食物繊維は、水に溶ける性質でゲル状になり便をやわらかくします。腸の老廃物を排出し善玉菌の栄養源になり、数や種類を増やします。
また、大豆やきのこ類、玄米などに含まれる不溶性の食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やし、腸の蠕動運動を活発にします。
さらに、ヨーグルトや漬物などの発酵食品は乳酸菌を含みます。
乳酸菌は善玉菌として腸の働きを活性化させ、腸内環境を整えます。
善玉菌の栄養源となるオリゴ糖を一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。
オリゴ糖と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
高脂肪食は腸内の悪玉菌を増やす傾向があり、善玉菌とのバランスが崩れると、オリゴ糖の効果が十分に発揮されにくくなることがあります。 また、オリゴ糖の中には熱や酸に弱い性質をもつものもあり、たとえばラクトスクロースは高温や酸性環境で分解されやすいとされます。酢やレモンなど酸性の調味料とともに加熱調理を行う場合は、オリゴ糖の種類によって効果が低下する可能性があるため、使用方法に注意が必要です。
オリゴ糖の効果を高める摂取タイミング
オリゴ糖の効果を高めるタイミングですが、運動後やリラックス時は副交感神経が優位になると、腸の動きが活発化します。そして腸内の善玉菌が増え便秘や免疫力向上などの効果が期待できます。
また、オリゴ糖を単体で摂ることは少ないとは思いますが、食物と一緒に摂ることで胃から小腸、小腸から大腸への移動に時間がかります。これにより腸内滞留時間が長くなると腸内細菌がオリゴ糖を十分に発酵させることができます。その結果短鎖脂肪酸が生成され腸内環境の改善が期待できます。
「オリゴ糖の食品」についてよくある質問

ここまでオリゴ糖の食品などを紹介しました。ここでは「オリゴ糖の食品」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
オリゴ糖を多く含む野菜について教えてください。
山口 恵里
オリゴ糖を含む野菜は意外と身近にたくさんあります。
ごぼう、玉ねぎ、にんにく、アスパラガス、とうもろこし、キャベツ、ブロッコリー
などがあります。
オリゴ糖を手軽に摂取する方法について教えてください。
山口 恵里
食品から摂取することが理想ですが、シロップや粉末タイプのオリゴ糖製品は手軽に摂取できるのでおすすめです。
ヨーグルトにまぜたり、料理の甘味料として使用したり、砂糖の代替品として活用すると食物繊維や乳酸菌も一緒に摂取できます。オリゴ糖が善玉菌のエサとなり、乳酸菌で善玉菌も増え、さらに食物繊維もとることで便を排出しやすくなるため相乗効果が期待できます。ただし、摂りすぎは肥満になるため原材料を確認しオリゴ糖以外の糖が入っていないものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
オリゴ糖は腸内環境を良好に保つための栄養源であり、免疫力を高めたり歯の健康を維持するためのもとになります。オリゴ糖による効果はそのオリゴ糖の種類や食品の種類によって便秘改善や歯の健康維持などがありますので摂取する際の参考にしてみてください。
不足すると便秘や疲労感につながり、過剰になってもおなかがゆるくなったりしますので適量を摂取し、相乗効果を期待できる栄養素やタイミングも意識してみてください。
「オリゴ糖」と関連する病気
「オリゴ糖」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
「オリゴ糖」と関連する症状
「オリゴ糖」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。




