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精神科・心療内科の初診で聞かれることはご存じですか? 医師が解説

 公開日:2024/01/07
精神疾患は予防と早期治療が大切 心療内科医が解説する理由とメンタル・心の不調に気付くサインとは?

心の不調を感じたとき、頼りにしたいのが精神科や心療内科。でも初めて受診するときに「緊張する」「躊躇してしまう」という人もいるかもしれません。そんなときは初診の流れや医師に聞かれることを知っておけば安心です。梅屋敷森田クリニックの森田先生に教えてもらいました。

森田 桂子

監修医師
森田 桂子(梅屋敷森田クリニック)

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東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院にて研修。東邦大学医学部精神神経医学講座、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター、横須賀市立うわまち病院精神神経科、財団法人精神医学研究所附属東京武蔵野病院、東邦大学健康推進センター(学生相談室)、東邦大学医療センター大橋病院心療内科などを経て現職。非常勤勤務歴は、明治学院大学非常勤講師、目黒区保健所相談、品川児童相談所、産業医。

初めての精神科・心療内科を受診する目安とは? ストレスや不安の相談だけでも受診できる?

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編集部編集部

精神科や心療内科は、どんな人が受診することが多いのですか?

森田 桂子先生森田先生

たとえば「気が沈みがち」「夜眠れない」「食欲がない」など、「いつもとなんだか違うな、おかしいな」と感じる人が受診していることが多いですね。そのほか、「生理前にイライラする」「更年期障害が辛い」などの症状がある人で、婦人科の治療ではメンタル面をコントロールできない人が訪れることもあります。

編集部編集部

そうした症状がどれくらいの期間続いたら、受診した方が良いのですか?

森田 桂子先生森田先生

期間としては2週間程度その状態が続いたら、受診することをおすすめしています。

編集部編集部

精神科と心療内科、どちらを受診すれば良いのでしょうか?

森田 桂子先生森田先生

混同されやすいのですが、精神科と心療内科では専門とする分野が違います。精神科は心のトラブルを扱う科目、一方、心療内科は、体に現れたトラブルを扱う科目です。どちらに表れた症状が目立つのかによって、受診する科目を選択すると良いと思います。

編集部編集部

症状がどこに現れているかで決めるのですね。

森田 桂子先生森田先生

はい。しかし、「本質的な原因はどこにあるのか?」ということに注意する必要もあります。たとえば摂食障害のため極度に痩せている人は、内科の治療が必要なことも多いので、心療内科の方が良い場合もあります。

編集部編集部

特に症状はなくても、ストレスや不安の相談だけでも受診できるのでしょうか?

森田 桂子先生森田先生

もちろんです。特に精神疾患は早期に発見して、必要に応じて治療を開始するのが大切とされています。できれば病気を発症する前に、病気の芽を摘むことをおすすめします。

編集部編集部

初めて受診をするときは、予約をした方が良いのですか?

森田 桂子先生森田先生

精神科や心療内科は、多くが予約制を採用しています。なぜなら初診は時間がかかることが多いからです。患者さんのお話を聞くことに多くの時間を充てるので、できれば予約した方が良いでしょう。

精神科・心療内科の初診では何をするの? カウンセリングでは何を話せばいい? 診察中に泣いてしまっても大丈夫?

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編集部編集部

初診では何をするのですか?

森田 桂子先生森田先生

初診では問診が中心です。患者さんのお話をしっかり聞き、症状を正確に把握します。

編集部編集部

具体的に、どんなことを聞かれるのですか?

森田 桂子先生森田先生

たとえば、現在何に困っているのかといったお話から、どのような症状があるのか、その症状はいつ頃から出始めたのか、どんなときに症状が出るのかなど、症状について詳しくお聞きします。また、仕事のことや現在の生活環境、これまでの経歴などについてもお聞きします。

編集部編集部

いろいろなことを尋ねられるのですね。

森田 桂子先生森田先生

はい、そのほかにも嗜好品やアレルギー、性格、家族歴などについてもお聞きします。家族歴では、精神疾患のある人や飲酒癖のある人、ギャンブル好きの人、自殺をした人などが身内にいないかをお尋ねすることが多いですね。

編集部編集部

話すのが苦手という人は?

森田 桂子先生森田先生

多くの場合、クリニックでは問診票にご記入いただきますから、そこに症状や困っていることなどを書けば大丈夫です。また、悩みを事前にメモにまとめて持参するのも役立つはずです。それから上手に話そうとする必要はありませんし、初診で全部伝えようとしなくても大丈夫です。2回目や3回目の診察で補足していただければ十分なので、あまり構えずに話してみてください。

編集部編集部

緊張する必要はないのですね。

森田 桂子先生森田先生

基本的に精神科のスタッフはコミュニケーション障害の方に会うことが多いので、お話しするのが苦手という方と接するのは慣れています。ぜひ安心して受診してください。

編集部編集部

話しているうちに泣きそうですが、大丈夫でしょうか?

森田 桂子先生森田先生

もちろん大丈夫です。医師はそうした患者さんのお話を聞くプロですから、安心して話してください。話したくないこともあるかもしれませんし、話しているうちに苦しくなる人もいるかもしれませんが、そのときは無理に話さなくても良いでしょう。

初めての受診を迷う人へ 精神科・心療内科の治療内容や診察の流れ、時間や費用など

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編集部編集部

問診のあとは何をするのですか?

森田 桂子先生森田先生

必要に応じて、血液検査や画像検査、心理テスト、MRI、脳波検査などを行います。それから問診ではどのような治療を希望するかも聞かせてもらいます。それに応じて薬を処方するなど、症状にあわせた治療を開始します。

編集部編集部

持参した方が良いものはありますか?

森田 桂子先生森田先生

発達障害を疑うときには母子手帳や通信簿を確認させていただくことがあるので、もし、その傾向が見られる場合にはご持参いただくことをおすすめします。また子ども時代のお話しも聞かしてもらいたいので、大学生くらいまでの方はお母さんと一緒に受診されると良いと思います。

編集部編集部

初診はどれくらい時間がかかるのですか?

森田 桂子先生森田先生

医療機関にもよりますが、30〜60分見ておくと良いでしょう。

編集部編集部

費用はどれくらいですか?

森田 桂子先生森田先生

初診料は診察時間と主治医の経歴、患者の年齢によって保険点数が異なりますが、3割負担で3000〜7000円と考えていただければと思います。ただし精神疾患の診断がつく場合には自立支援医療という制度を活用できます。薬の処方にもこの制度が使えるので経済的な負担は大きく軽減されます。詳しくは各自治体でご相談ください。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

森田 桂子先生森田先生

精神科や心療内科の受診でもっとも大切なことは、「患者さんご本人に来てもらうこと」です。「身内に問題がある人がいるのだけど、どうしても病院を受診するのを嫌がる」というケースはとても多く、ご家族だけ受診されることも少なくありません。しかしご家族だけだと正しい診断ができませんし、処方もできません。通院が困難な人に対して往診を行っている医療機関もありますが、往診では検査ができないため、初診はどうしても受診が必要なのです。もしご本人が受診を嫌がる場合には、まずご家族が受診されて、「こんな先生だったよ」「一緒に行ってみよう」と受診を促していただきたいと思います。または地域の保健所や健康相談窓口などが自宅を訪問し、受診を勧めることもあるので、そのようなところに相談してみるのも良いかもしれません。いずれにしても、まずは一度受診をしていただくことが大切。「家族がどうしても受診を嫌がる」という場合、ぜひ医師にご相談ください。

編集部まとめ

精神科や心療内科を受診したことがない人は、「怖い」「緊張する」と感じるかもしれません。しかし、受診したからといってすぐに薬物治療が始まるわけではありませんし、プライバシーもきちんと守られています。まずは気軽に話をしに行くくらいの感覚で相談に行くのも良いかもしれません。

医院情報

梅屋敷森田クリニック

梅屋敷森田クリニック
所在地 〒144-0052 東京都大田区蒲田2-7-1 第五山田ビル1階
アクセス 京浜急行本線「梅屋敷」駅より徒歩1分
診療科目 心療内科、精神科

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