「スルフォラファンの効果」はご存知ですか?過剰摂取すると現れる症状も解説!

スルフォラファンの効果とは?Medical DOC監修医がスルフォラファンの効果・一日の摂取量・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
中島 三容子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「スルフォラファン」とは?

「スルフォラファン」はイソチオシアネートと呼ばれる辛味成分、香気成分の1種です。ブロッコリー、キャベツ、大根、わさびなどアブラナ科の野菜には前駆体のグルコシノレートという成分が含まれています。イソチオシアネートは、このグルコシノレートが調理や咀嚼による野菜組織の傷害などに伴って野菜中や腸内細菌中のミロシナーゼという酵素と混ざり、分解されることによって生じる化合物です。その中で、ブロッコリー(特に新芽=スプラウトに高濃度)に含まれる「グルコラファニン」というグルコシノレートにミロシナーゼが作用して生じるイソチオシアネートが「スルフォラファン」です。1997年にアメリカのジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士がブロッコリーに含まれる健康成分のひとつがスルフォラファンであることを発見しました。以来、ファイトケミカル(植物に含まれる天然の化学物質の総称)は、健康維持や病気の予防に役立つ可能性がある成分として注目されており、スルフォラファンをはじめとした多くの化合物について、世界中でさまざまな研究が行われています。
スルフォラファンの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準2025年版に、スルフォラファンの摂取量の基準はありません。機能性表示食品の評価結果として、スルフォラファングルコシノレート(スルフォラファンの前駆体)を1日あたり24mg摂取することで、肝機能の改善などの効果が期待されるとの報告があります。また、安全性試験として健常者へ一日当たり262mgのSGSを12週間摂取させた試験や、一日当たり350mgのSGSを7日間摂取させた試験が報告されていますが、いずれも重大な有害事象は報告されていません。
スルフォラファンの効果

抗酸化作用
正常な細胞が酸化ストレスを受けると、Nrf2と呼ばれる転写因子が働き、抗酸化酵素が生成され活性酸素を除去することで、細胞の障害を最小限にとどめています。スルフォラファンはこのNrf2を活性化することから、抗酸化作用があると言われています。さらに東京大学の研究では、この抗酸化作用により血管が保護され、動脈硬化の抑制効果も期待できるとの報告があります。
解毒作用
スルフォラファンはその構造に硫黄を含みます。硫黄が水銀や鉛などの有害ミネラルを捕捉して排泄させる働きを持つこと、スルフォラファンによって活性化される転写因子のNrf2が解毒酵素を生成することから、スルフォラファンには解毒作用が期待されています。
肥満の抑制
金沢大学は、スルフォラファンが①脂肪細胞の褐色化を促進することで、エネルギー消費を増大させること②肥満型の腸内細菌叢を改善することを発表しました。その他にも東京農業大学は、スルフォラファンが脂質合成を促進する転写因子SREBPの活性を抑制することを明らかにしました。これらのメカニズムにより、スルフォラファンは肥満の抑制に寄与するとされています。
糖尿病の予防
スルフォラファンには、糖尿病の進行に関与するタンパク質「セレノプロテインP」の発現を抑える作用があることを、東北大学が発表しています。これにより、インスリンの感受性が高まり、血糖コントロールの改善につながる可能性があるとされています。また、金沢大学は、スルフォラファンが肥満を抑制し、腸内細菌叢を改善することで、脂肪組織や肝臓の慢性的な炎症が抑えられ、インスリンがより正常に作用しやすくなることから、糖尿病の予防効果が期待できるとしています。
肝機能の改善
スルフォラファンは、肝臓がもつ防御機構(解毒、抗酸化、抗炎症)を高めることで、肝機能を改善すると考えられています。機能性表示食品の評価として、一日当たり24mgのスルフォラファングルコシノレートを含む食品を24週間摂取した結果、対照食品摂取時と比較して、健康な中高年において、健常域でやや高めのALT値の低下が認められたことなどから、スルフォラファンは「肝臓の健康状態を示す指標が気になる健康な中高年の方の健常域でやや高めの血中肝機能酵素(ALT)値を低下させる機能を持つ」と報告されています。
スルフォラファンを過剰摂取すると現れる症状

服用中の薬の効果への影響
スルフォラファンは薬物代謝に関わるCYP酵素に影響を及ぼす可能性があるため、薬の効き目に変化が出る可能性があります。肝機能検査の異常値を示す場合には、内科を受診してください。また、サプリメントなどの摂取を検討する際には主治医や薬剤師に相談しましょう。
消化器系の不調
スルフォラファンの過剰摂取により、お腹の張りや便秘、下痢といった消化器系の不調を引き起こすことがあります。サプリメントなどを利用する際は、用量を守り過剰摂取を避けることが重要です。これらの症状は一般的に軽度であり、摂取量を適切に調整することで回避可能とされていますが、心配な場合は主治医にご相談ください。
スルフォラファンを多く含む食品

ブロッコリースプラウト
スルフォラファンは、主にアブラナ科の野菜に多く含まれています。ブロッコリースプラウトは、成熟したブロッコリーに比べてスルフォラファン前駆体であるグルコラファニンを多く含むことが報告されており、含有量は栽培条件により大きく異なります。
ブロッコリー
スプラウトには及びませんが、スルフォラファンの成分の有用性が最初に発見された成熟ブロッコリーにも豊富に含まれています。スルフォラファンは水溶性のため、加熱する場合は蒸し焼きにしたり、スープごと飲むようにするなど工夫が必要です。
キャベツ
ブロッコリーと同じアブラナ科のキャベツにはスルフォラファンが多く含まれています。効率的に摂取するには、千切りキャベツやコールスローがおすすめです。
だいこん
だいこんもアブラナ科で、スルフォラファンを多く含みます。だいこんおろしがおすすめですが、時間が経つと成分が揮発してしまいますので、食べる直前にすりおろすようにしましょう。
わさび
わさびもアブラナ科で、スルフォラファンを多く含む食品です。
スルフォラファンの効果的な摂取方法

スルフォラファンを多く含む食品の摂取
ブロッコリースプラウトにはスルフォラファンが高濃度に含まれていますが、品種や栽培方法などによって含有量にはばらつきがあります。スルフォラファンを効果的に摂取したい場合には、成分表示を参考に選択してみるのも良いでしょう。
スルフォラファンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
スルフォラファンを生成するのに必要なミロシナーゼという酵素が熱に弱く、加熱によって壊れてしまうことから、生で食べることが重要です。また、よく噛んで細胞を壊すことで酵素反応が進み、スルフォラファンの吸収率は高まります。生のブロッコリースプラウトを抗酸化作用のある野菜や果物と一緒にジュースやスムージーにするのもおすすめの摂取方法です。
スルフォラファンの効果を高める摂取タイミング
スルフォラファンの抗酸化作用は、72時間以上持続するという特徴を有することがわかりました。そのため、2~3日に1度のペースで摂取しても効果が得られます。
「スルフォラファンの効果」についてよくある質問

ここまでスルフォラファンの効果を紹介しました。ここでは「スルフォラファンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
スルフォラファンは毎日摂取しても問題ないのでしょうか?
中島 三容子
健康な人がスルフォラファンを毎日の食事から摂取することは、問題ありません。ただし、サプリメントなどから摂取する場合には必ず用量を守りましょう。
スルフォラファンは白髪に効果があるのでしょうか?
中島 三容子
スルフォラファンには酸化ストレスを軽減する作用があるため、老化に関連する様々な症状への可能性が示唆されていますが、白髪や抜け毛への明確な効果については、さらなる研究が必要です。
スルフォラファンはがん予防に効果的なのでしょうか?
中島 三容子
スルフォラファンは、複数の種類のがんに対して予防効果や治療効果の可能性が示唆されています。ただし、その効果の多くは細胞実験や動物実験に基づいており、ヒトでの効果については更なる研究が必要です。
編集部まとめ
スルフォラファンは不足によって健康障害がみられる成分ではありません。スルフォラファンのように健康効果が期待される一つの成分だけに固執せず、全体の食生活のバランスを見直し、スルフォラファンを含む食品を適量、継続して摂取することが健康への第一歩です。ブロッコリーやキャベツなど、スルフォラファンを含む野菜を無理なく食事に組み入れることから始めてみてはいかがでしょうか。
「スルフォラファン」と関連する病気
「スルフォラファン」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 肥満症
- 糖尿病
- がん
脳神経外科の病気
精神科の病気
「スルフォラファン」と関連する症状
「スルフォラファン」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 肥満
- 腹部膨満感
- 便秘
- 下痢




