「脂質の多い食べ物」は何かご存知ですか?少ない食品も管理栄養士が解説!

脂質の多い食べ物とは?メディカルドック監修医が脂質の多い食べ物・一日の摂取量・効果・少ない食べ物・過剰摂取すると現れる症状・不足すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
正留 昭子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「脂質」とは?

脂質の一日の摂取量

脂質の効果

エネルギー源
脂質は日々のエネルギー源として利用されます。1g9kcalあり、炭水化物やタンパク質の2倍以上でエネルギー効率に優れ、少量摂取で高いエネルギーを産生することができます。細胞膜構成成分
人の身体は多くの細胞でできています。その一つ一つの細胞膜はリン脂質やコレステロールなどの脂質で構成されています。細胞膜は細胞の強度維持や細胞内外の物質の出入りを制御しています。脂溶性ビタミンの吸収を助ける
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と同じ吸収経路をたどります。小腸で吸収され、カイロミクロンに取り込まれ、リンパ管へ移動します。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。血液サラサラ・動脈硬化予防
必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化予防になります。 EPAは血液の凝固を抑え、血栓を予防し、血液中のコレステロールを蓄積しにくくし、動脈硬化を予防します。 DHAは血管の弾力性と赤血球の柔軟性を向上させます。LDLコレステロールや中性脂肪の低下作用があります。体温保持・エネルギーの貯蔵
脂質は皮下脂肪として主に腹部周辺にあり、体温保持・内臓保護や、エネルギーの貯蔵をしています。活動エネルギー不足時には蓄えたものから使われていきます。脂質の多い食品

肉類
牛豚や鶏肉等、肉類には脂身に脂質が多く含まれます。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| 牛肉/バラ/脂身つき | 50.0 |
| 牛肉/肩ロース/脂身つき | 37.4 |
| 牛肉/もも/脂身つき | 18.7 |
| 豚肉/ロース/脂身つき | 19.2 |
| 豚肉/もも/脂身つき | 10.2 |
| 鶏肉/もも/皮付き | 14.2 |
| 鶏肉/手羽/皮付き | 14.3 |
| ベーコン | 19.4 |
乳製品
バターや生クリーム、チーズには脂質が比較的多く含まれます。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| バター | 81.0 |
| 生クリーム | 43.0 |
| チーズ | 25.0 |
ごま・ナッツ類
ゴマやナッツ類には脂質が多く含まれます。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| ゴマ | 54.2 |
| バターピーナッツ | 53.2 |
| アーモンド/乾 | 51.8 |
| ピスタチオ | 56.1 |
| ゴマ(ねり) | 61.0 |
| ピーナッツクリーム | 50.4 |
魚類
種類や季節により、魚類も脂身が多いものがあります。鯖、サケ、さんま、マグロ、ウナギなどです。魚の油はDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの良質な脂質を多く含んでいます。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| うなぎ | 19.3 |
| まさば | 16.8 |
| ぎんざけ | 12.8 |
菓子・調味料
洋生菓子や揚げ菓子、オイル使用の調味料は脂質が多くなります。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| レアチーズケーキ | 27.5 |
| バターケーキ | 25.3 |
| ショートケーキ | 14.7 |
| アップルパイ | 17.5 |
| ポテトチップス | 35.2 |
| ミルクチョコレート | 34.1 |
| マヨネーズ | 76.0 |
| ゴマドレッシング | 38.3 |
脂質の少ない食品

赤肉・鶏むね肉・ささみなど
牛・豚肉では赤肉で比較的脂質が少ないです。鶏むね肉やささみはとても脂質が少ない食品です。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| 牛もも/赤肉 | 10.7 |
| 豚もも/赤肉 | 3.6 |
| 鶏肉/むね/皮なし | 1.9 |
海老・イカ・白身魚
| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| あまえび | 1.5 |
| こういか | 1.3 |
| マダラ | 0.2 |
米・芋など炭水化物
米や芋など炭水化物は脂質含有量が少ないです。| 食品 | 脂質量g/100g |
|---|---|
| 精白米 | 0.9 |
| 全粒粉パン | 5.7 |
| ジャガイモ | 0.1 |
脂質を過剰摂取すると現れる症状

肥満
脂質を過剰に摂取すると、エネルギーとして消費されない余剰分は中性脂肪として体に蓄積されます。肥満となり、生活習慣病のリスクを高めるといわれます。脂質異常症
脂質の過剰摂取により血液中の中性脂肪とLDL-コレステロールを増加させる一方で、善玉コレステロール(HDL-コレステロール)を減少させ、脂質異常症を引き起こします。肌荒れ・肩こり・腰痛
脂質を摂りすぎることで血液中のLDL-コレステロールが増加し、血管にたまりやすくなります。プラークとして血管内に付着し、血管が硬くなります。 血管が硬くなることで全身に栄養や酸素を届けられず、肌荒れ、肩こり、腰痛などの不調が現れます。動脈硬化となり、生活習慣病の発症リスクとなります。高血圧・高血糖
内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞から分泌される物質によって体に悪影響を及ぼします。これらの物質は血管の収縮を促し、インスリンの働きを弱めることで、高血圧や高血糖の原因となることがあります。脂質が不足すると現れる症状

肌荒れ
脂質は細胞の構成成分となります。不足すると細胞膜構成が不十分となり、肌が潤いなくかさかさし、肌荒れとなるでしょう。免疫力の低下と疲れやすさ
脂質が不足すると、エネルギー源が足りず体に蓄えがなくなるため、疲れやすくなり体力の低下を招きます。また、脂質は細胞膜や血管壁の材料となるため、不足することで細胞の働きが弱まり、免疫力の低下にもつながります。便秘
脂質が不足すると腸の蠕動運動が低下しやすくなり、便秘の原因となることがあります。脂質は腸を刺激して動きを促すほか、胆汁の分泌を助ける役割もあります。胆汁は腸内環境を整える働きがあるため、脂質が極端に少ないと便の通りが悪くなり、排便がスムーズに行われにくくなります。食物繊維を多く摂っていても脂質が不足していると便秘を引き起こすことがあります。ホルモンバランスのくずれ
脂質はホルモンの材料ともなっています。脂質の摂取不足により十分にホルモンを作ることができなくなり、ホルモンバランスの崩れとなります。脂溶性ビタミンの不足
脂溶性ビタミンは脂質に溶けることで身体に吸収されます。脂質不足により脂溶性ビタミン不足となります。脂溶性ビタミンにはA、D、E、Kがあり、細胞膜・骨の形成などにかかわりがあります。不足すると夜盲症、くる病、溶血性貧血など様々な不調が現れます。脂質の効率的な摂取方法

脂質と一緒に摂取すると効果を高める栄養素食品
脂質代謝を促進する栄養素には、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンなどがあります。脂質と一緒に摂ると効果が高まります。また、タンパク質は代謝を高める筋肉の維持に役立ち、間接的に脂肪燃焼を促進します。| 脂質代謝を促進する栄養素 | 多く含まれる食品 |
|---|---|
| ビタミンB2 | カツオ、豚ひれ、鶏ささみ、サツマイモ、バナナ |
| ナイアシン | たらこ、鶏むね肉、とうもろこし |
| パントテン酸 | 鶏レバー、納豆 |
| ビオチン | 鶏レバー、卵黄、マイタケ |
脂質の吸収を抑える食品・栄養素
食物繊維には油の吸収を抑制したり、コレステロールなどの脂質の排出を助ける働きがあります。食物繊維は玄米・海藻・キノコ・野菜などに多く含まれ、上手に取り入れるとよいでしょう。脂質の効果を高める摂取タイミング
脂質は消化時間がゆるやかなため、夜多く摂ると体調により胃がもたれたりすることがあります。脂質の多い食べ物は、活動量が多くエネルギー代謝の多い日中に摂るとよいでしょう。「脂質の多い食べ物」についてよくある質問

ここまで脂質の多い食べ物などを紹介しました。ここでは「脂質の多い食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脂質制限中に避けた方がいい食べ物について教えてください。
正留 昭子
慢性膵炎・胆のう炎などの場合、脂質制限で胆のう・胆管の収縮を起こさないようにして発作を予防したり、膵液分泌の刺激を抑えます。前述の脂質の多い食べ物・調理方法を避けた方が良いでしょう。
脂質が少ない主食について教えてください。
正留 昭子
ご飯・パン類・めん類は、そのものは脂質は少ないのですが、調理方法や副菜より脂質が多くなってしまいがちな献立となることがあります。
ご飯類・・・白・玄米ご飯、おむすび、炊き込みご飯
パン類・・・全粒粉パン
麺 類・・・かけうどん、ざるそば、素うどん
脂質が少ない野菜について教えてください。
正留 昭子
野菜そのものには脂質が少ないものが多いですが、例外もあります。たとえばアボカドは「森のバター」とも呼ばれ、100gあたり15g前後の脂質を含みます。体に良い不飽和脂肪酸が多く含まれますが、脂質制限中は摂取量に注意が必要です。 また、ナスやレンコンなど油を吸いやすい野菜は、炒め物や揚げ物にすると脂質が多くなりがちです。脂質を抑えたい場合は、キュウリやトマト、大根、葉物野菜など脂質の少ない野菜を選び、蒸す・ゆでる・生で食べると安心です。
まとめ
脂質は効率的にエネルギー摂取できる栄養素です。脂質代謝に必要なビタミン、脂溶性ビタミン、EPAなどの必須脂肪酸などが含まれる食品を上手に取り入れるとよいでしょう。コンビニでお弁当を選ぶ際、エネルギーが必要な朝食、昼食は脂質の入ったものと、脂溶性ビタミンの入った青菜の和え物などを選んでみてはどうでしょうか。活動が少なくなる夕食は、脂質使用の抑えたものを選ばれるとよいでしょう。「脂質」と関連する病気
「脂質」と関連する病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。「脂質」と関連する症状
「脂質」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 肥満
- 肌荒れ
- 肩腰痛
- 体力低下
- 易疲労感




