目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 「心臓病は遺伝する?」 自覚症状のない“心臓病”について【循環器内科医に聞く】

「心臓病は遺伝する?」 自覚症状のない“心臓病”について【循環器内科医に聞く】

 更新日:2024/07/01

心臓病は目立った自覚症状がなく、血栓ができて脳梗塞となるまで気が付かないものもあるそうです。また、家族に心筋梗塞や心筋症などの心臓病の方がいる場合「自分も心臓病になる可能性がある?」と不安になる方もいるのではないでしょうか? そこで今回は遺伝性心疾患や家族が心臓病の場合どうすべきか、循環器内科医の山本 哲平先生(あきはばら心臓血管・内科院長)にお伺いました。

山本 哲平

監修医師
山本 哲平(あきはばら心臓血管・内科)

プロフィールをもっと見る
日本医科大学医学部卒業後、日本医科大学千葉北総病院や日本医科大学付属病院などで経験を積み、2022年10月より現職。医学博士、日本循環器学会循環器専門医、日本不整脈心電学会不整脈専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本不整脈心電学会評議員。

心臓病とは? 心不全・不整脈・心筋梗塞など主な病気の種類や症状を解説

心臓病とは? 心不全・不整脈・心筋梗塞など主な病気の種類や症状を解説

編集部編集部

「心臓病」とはどんな病気ですか?

山本 哲平先生山本先生

心臓病とは、心臓の構造や機能の異常により生じる病気の総称で「心臓病」や「心疾患」と呼ばれます。

編集部編集部

具体的にはどんな病気があるのですか?

山本 哲平先生山本先生

代表的なものとしては、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、不整脈などがあります。

編集部編集部

心臓病の中で多いのはなんですか?

山本 哲平先生山本先生

心臓病の中で頻度としては不整脈が最も多いと言われていますが、心臓突然死や心不全の原因となる頻度が高いのは心筋梗塞などの虚血性心疾患です。心臓に血流を送る「冠動脈」 が動脈硬化の影響で狭くなる、血栓が詰まるなどにより心臓の一部に酸素や栄養が行きわたらなくなる病気です。

心臓病はどんな人がなりやすい病気? 心臓病にかかりやすい年代(好発年齢)は?

心臓病はどんな人がなりやすい病気? 心臓病にかかりやすい年代(好発年齢)は?

編集部編集部

心不全・心臓病になりやすいのはどんな人ですか?

山本 哲平先生山本先生

発症リスクはいくつかありますが、例えば加齢や高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群や脂質異常症、また、喫煙やストレス、肥満や極端なダイエット、飲酒、睡眠不足や疲労なども心臓病のリスク因子となります。

編集部編集部

なりやすい年代というのはありますか?

山本 哲平先生山本先生

疾患によりますが、例えば心筋梗塞は男性では60代以降に多く、女性では70代以降に多い傾向にあります。また、正確なデータではないのですが、ここ10年くらいで、虚血性心疾患の若年発症が増えてきていると感じています。

心臓病は親から子に遺伝する可能性がある? 家族・親族に心臓病の人がいたら検査に行くべき?

心臓病は親から子に遺伝する可能性がある? 家族・親族に心臓病の人がいたら検査に行くべき?

編集部編集部

心臓病は遺伝するのですか?

山本 哲平先生山本先生

例えば遺伝性の不整脈や心筋症というのもあるにはありますが稀です。しかし、虚血性心疾患のリスク因子となる高血圧や糖尿病、肥満などには遺伝的要因がありますので、結果的にご家族や親族が虚血性心疾患の人は似たような状態になりやすいと言えるかもしれません。

編集部編集部

どんな症状が出るのですか?

山本 哲平先生山本先生

胸痛や、胸が圧迫されるような苦しさ、動悸や呼吸苦、手足のむくみなどが出ることもありますが、なかには症状がほとんどないものもあります。

編集部編集部

家族や親族に心臓病の人がいた場合、検査に行ったほうが良いでしょうか?

山本 哲平先生山本先生

直接遺伝する心臓病は稀ですが、「家族歴」と言って、家族が心臓病であることはリスク因子のひとつになり得ます。もちろん、先ほど「心臓病になりやすい人」で解説した環境因子などもあります。例えば「家族が心筋梗塞と診断された」だけで、必ずしも受診する必要はないかもしれません。ですが、家族歴のある方はちょっとした動悸や息切れなどでも、様子見をせず早めに受診・検査をしておくと安心だと思います。

編集部編集部

ほかに「こんな時には受診したほうが良い」というケースはありますか?

山本 哲平先生山本先生

先ほどの症状のある人はもちろんのこと、健康診断などで高血圧や血糖値異常、睡眠時無呼吸症候群や脂質異常症などを指摘された人などは速やかに受診することをお勧めします。特に「睡眠時無呼吸症候群」は、正式に診断を受けていない潜在的な患者さんがかなりいると言われています。肥満の人や熟睡感が得られない人などは、一度「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてみましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山本 哲平先生山本先生

伝する心臓病はごくわずかですが、家族が心臓病というのは、ひとつのリスク因子ではあります。家族歴に限らず、心臓病・虚血性心疾患のリスク因子がある方や症状を自覚している人は、早めに内科や循環器内科などを受診してください。健康診断や地域健診で指摘されて精密検査を受けたことで、気づかなかった不整脈などが判明することもあるので、もし検診で「要精密検査」などの結果が出たら、放置せずに精密検査を受けましょう。

編集部まとめ

今回は、心臓病についてや「心臓病は遺伝する?」という疑問について、山本先生にお聞きしました。症状のある人、家族歴のある人などは、早めに受診をしましょう。そして肥満を指摘されたことのある人や熟睡感が得られない人などは、一度「睡眠時無呼吸症候群」がないか調べてみるのも重要ですね。

医院情報

あきはばら心臓血管・内科

あきはばら心臓血管・内科
所在地 〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町2-18-1
アクセス JR山手線「秋葉原駅」徒歩1分
診療科目 循環器内科・内科・皮膚科

この記事の監修医師