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「ビフィズス菌をとりすぎる」と起こる「副作用」はご存知ですか?【管理栄養士監修】

 公開日:2025/03/04
「ビフィズス菌をとりすぎる」と起こる「副作用」はご存知ですか?【管理栄養士監修】

ビフィズス菌をとりすぎると身体へどのような影響があるのか、Medical DOC監修医がビフィズス菌の種類・効果・とりすぎると起こる副作用やビフィズス菌が不足するとどうなるのか・一日の摂取量・効率的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「ビフィズス菌」とは?

「ビフィズス菌」とは?

ビフィズス菌とは腸内に存在する細菌の一種です。
細菌と聞くと身体に悪いイメージがありそうですが、ビフィズス菌は腸内環境を整える効果やビタミンを合成する働きがあり、身体の健康維持に欠かせない善玉菌です。
本記事ではビフィズス菌の種類や影響、効率よく摂取する方法やとりすぎた時の身体への影響について解説します。

「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の違い

「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の違い

ビフィズス菌と乳酸菌は生物学的に異なった分類の細菌であり、ビフィズス菌はビフィドバクテリウム、乳酸菌はラクトバチルスという細菌です。乳酸菌は果物・野菜・発酵食品から摂取することができ、免疫力アップや抗肥満作用・整腸作用などの効果が期待できます。一方ビフィズス菌は本来食品には存在しない菌で、アレルギー症状の緩和・下痢や便秘を防ぐ作用・免疫力アップなどの効果があるものです。

「ビフィズス菌」の種類

「ビフィズス菌」の種類

私たち人間の腸内に存在するビフィズス菌は10種類程度といわれています。菌種ごとに異なる特徴を備えており、乳児と成人でも棲息する菌種は異なります。以下は乳幼児によく見られるビフィズス菌の菌種です。
ビフィドバクテリウム・ブレーベ
ビフィドバクテリウム・インファンティス
ビフィドバクテリウム・ロンガム

そして、以下が成人で見られるビフィズス菌です。
ビフィドバクテリウム・ロンガム
ビフィドバクテリウム・アドレセンティス
シュードカテニュレイタム

人によって腸内フローラの構造が異なり、どの種類の菌がどのくらいいるかは個人差があるため、専門機関で分析しなければわかりません。

ビフィズス菌の効果

ビフィズス菌の効果

免疫力アップ

ビフィズス菌には免疫調整作用があることがわかっており、プロバイオティクスとして人間の身体によい効果を発揮します。プロバイオティクスとは体内へ摂取することで健康上利益が得られるといわれている微生物で、ヨーグルトのほかにもサプリメントや発酵食品に含まれています。ビフィズス菌は物理的な防御機能のみならず抗体を作り出す促進効果も報告されている細菌です。またロタウイルスやインフルエンザなどの感染防御にも効果が期待できます。

下痢や便秘を防ぐ

ビフィズス菌には整腸作用があり、腸内環境を整えて便秘や下痢を防ぎ健康な状態を保ってくれます。腸内にはビフィズス菌や乳酸菌といった身体によい細菌だけではなく嫌気性連鎖球菌や大腸菌なども存在していて、これらの細菌は健康な身体には悪さをしませんが、アンモニアなどの有害物質を発生させることがあります。腸内の細菌のバランスが崩れて大腸菌や連鎖球菌が増殖すると便秘になりやすくなるため、ビフィズス菌を摂取し腸内環境を整えることが大切です。

アレルギー症状の緩和

ビフィズス菌は、アレルギー症状や炎症の緩和にも効果が期待できます。アレルギーはストレスや食生活の乱れから起きる場合もあり、ビフィズス菌の作用で腸内環境を整え、症状を緩和します。花粉症やアレルギー性鼻炎、皮膚疾患などにも効果があるとされ、積極的に摂取することで症状の改善が期待できます。

ビフィズス菌をとりすぎると起こる副作用

ビフィズス菌をとりすぎると起こる副作用

下痢

ビフィズス菌のとりすぎで下痢になる原因として考えられるのは、以下の3つです。

急激な変化に腸内が対応できていない
ヨーグルトが冷たい
乳糖を消化できない体質によるもの

ビフィズス菌には酢酸という成分が含まれており、この酢酸は強い殺菌効果と腸への刺激で腸の動きを活発にして便秘を改善します。しかしビフィズス菌をとりすぎると菌が増えて同時に酢酸も増殖します。増えすぎた酢酸が腸を刺激して下痢になるので、とりすぎないことが大切です。また、冷たいヨーグルトも体質によっては腸内への刺激が強く下痢になる場合があるため、常温に戻してから食べるようにすると下痢になりにくいです。ヨーグルトなどの乳製品には乳糖という成分が含まれていますが、体質によってこの乳糖を分解するラクターゼをもっていない人がいます。ラクターゼを持っていない人を乳糖不耐症といい、乳糖を消化できず下痢になりやすいです。このような場合は、ヨーグルト以外からビフィズス菌を摂取するのがおすすめです。ただし症状が悪化したり改善されないときは消化器内科や総合内科へ行きましょう。

腹痛

ビフィズス菌のとりすぎによって菌が増え、酢酸の腸への刺激が活発になることで下痢と同時に腹痛が起こります。ビフィズス菌を含むヨーグルトやサプリメントには、糖分が含まれていることがあります。糖分の過剰摂取は、糖尿病や生活習慣病のリスクを高めるため、注意が必要です。ビフィズス菌を摂取する際は、糖分量にも注意を払い、バランスの取れた摂取を心がけましょう。ビフィズス菌はアレルギー症状の緩和に役立つ可能性がありますが、すべての人に効果があるわけではありません。アレルギー症状の改善を目的としてビフィズス菌を摂取する場合は、個人の体質に合った適切な方法で摂取することが重要です。腹痛の症状が出ているときはビフィズス菌の摂取量を減らしたり、一時的に中断して改善するか様子を見ますが、それでも腹痛が改善されない場合は消化器内科や総合内科を受診してください。

糖分の過剰摂取

ビフィズス菌を多くとりすぎると糖分やほかの栄養素の過剰摂取になってしまう可能性があります。糖分の過剰摂取は、糖尿病や生活習慣病の原因になります。一日の摂取量を守って毎日摂取することを意識しましょう。またビフィズス菌が腸内に多く存在すると睡眠や精神状態に悪い影響を与える可能性があるといわれており、注意が必要です。症状が悪化した場合は内科や糖尿病内分泌科で受診してください。

ビフィズス菌が不足するとどうなる?

ビフィズス菌が不足するとどうなる?

便秘になる

ビフィズス菌が不足すると酢酸も減ってしまい、腸の動きが鈍くなります。その影響で便秘による腹痛や腹部の張りといった不調が現れます。慢性化する前にビフィズス菌や水分を積極的にとって腸内環境を整えましょう。ビフィズス菌はとりすぎても逆効果です。便秘の症状が悪化すると腹痛がひどくなったり食欲不振が起こるので、症状がひどい場合は消化器内科や胃腸科を受診してください。

口臭・体臭がきつくなる

ビフィズス菌は腸内環境を整えて便秘や下痢の症状を緩和するだけではなく、口臭予防や体臭予防にも効果を発揮します。口腔内にも細菌は多く存在し、口腔内のビフィズス菌が減少すると口臭が強くなるため、口臭予防や体臭予防にビフィズス菌は欠かせません。口臭や体臭が悪化した場合は口腔外科や体臭外来を受診してください。

肌荒れ

ビフィズス菌が不足すると便秘になり、そのせいで肌荒れが起きやすくなります。腸内環境が悪化すると肌に影響がでやすいため、肌荒れが頻繁に起きる人は腸内環境の改善を心がけてみると肌荒れ対策へとつながりやすいです。肌荒れの症状が改善されない場合は、一度皮膚科で受診して相談してみてください。

ビフィズス菌を効率よく摂取する方法

ビフィズス菌を効率よく摂取する方法

ビフィズス菌を多く含む食品の摂取

ビフィズス菌を多く含む食べ物として代表的なのがヨーグルトです。ヨーグルトにはドリンクタイプもあり、より手軽に摂取できるようになりました。また、サプリメントでもビフィズス菌を摂取することができます。サプリメントだと容量をしっかり守ればとりすぎの心配もなく、適切にビフィズス菌をとりいれられます。

ビフィズス菌と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビフィズス菌と一緒に摂取すると効果を高めてくれる食べ物はバナナ・きな粉・大豆・ブロッコリー・ごぼうなどです。これらにはオリゴ糖が含まれているので、ビフィズス菌と一緒に摂取することで効果を高めることができます。バナナやきな粉などはヨーグルトとも相性がよいので効率よく摂取できます。ビフィズス菌はオリゴ糖を栄養にして増えるため、ビフィズス菌を増やすにはオリゴ糖は必須の栄養素です。

ビフィズス菌の効果を高める摂取タイミング

ビフィズス菌を有効に働かせるためには摂取のタイミングが重要です。ビフィズス菌の効果を高める摂取タイミングは食後といわれています。ビフィズス菌は胃酸に弱いため、胃酸が薄まって影響を受けにくい食後がおすすめです。食前や食事中は胃酸の影響を受けてビフィズス菌の効果が低くなりやすいため、このタイミングは避けるようにしましょう。

「ビフィズス菌のとりすぎ」についてよくある質問

「ビフィズス菌のとりすぎ」についてよくある質問

ここまでビフィズス菌のとりすぎについて紹介しました。ここでは「ビフィズス菌のとりすぎ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ビフィズス菌の一日の摂取量について教えてください。

武井 香七武井 香七 医師

ビフィズス菌の一日あたり摂取量はとくに決まっておりません。市販のヨーグルトや乳酸菌飲料に表示がある場合は、その表示を目安に摂取してみてください。ビフィズス菌のとりすぎにならないように一日の摂取量は守って、毎日継続して摂取することが望ましいです。

編集部まとめ

皆さんの身近な存在であるビフィズス菌には腸内環境を整えるほか、アレルギー症状の緩和や口臭・体臭予防にも効果があります。
ビフィズス菌はヨーグルトなどで手軽に取り入れられるので、簡単に続けられて健康維持に役立ちます。
しかし身体によいものでもとりすぎると逆効果となってしまうため、一日の摂取量を守ること、継続して取り入れることが大切です。

「ビフィズス菌のとりすぎ」と関連する病気

「ビフィズス菌のとりすぎ」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 胃がん
  • 胃炎

「ビフィズス菌のとりすぎ」と関連する症状

「ビフィズス菌のとりすぎ」と関連している、似ている症状は2個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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