「たんぱく質の多い食品」はご存知ですか?効率的な摂取方法も解説!【管理栄養士監修】
たんぱく質の多い食品とは?Medical DOC監修医がたんぱく質の多い食品・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「たんぱく質」とは?
たんぱく質は、複数のアミノ酸が結合した高分子化合物で、筋肉・臓器・皮膚などを作る重要な栄養素です。
アミノ酸の量や種類の組み合わせによって、体を作る働き以外にもホルモン・免疫抗体などさまざまな働きをするのが特徴です。
エネルギーの源となる糖質・脂質に次ぐ三大栄養素の1つで、人間が生きていくうえで重要なたんぱく質ですが、欠乏・または過剰摂取するとどのような症状が起こるのでしょうか?
今回は、たんぱく質について1日の摂取量や効率的な摂取方法なども併せてご紹介します。
たんぱく質の一日の摂取量
人間が1日に必要なたんぱく質の推奨摂取量は以下のとおりです。
- 18~64歳の男性:65g
- 65歳以上の男性:60g
- 18歳以上の女性:50g
たんぱく質の1日の摂取量は日本人の男女ともに、18〜49歳は摂取エネルギーの13〜20%・50〜64歳は14〜20%・65歳以上は15〜20%が理想とされています。
たんぱく質が不足すると現れる症状
筋力の低下
健康な若者でも1日の総たんぱく量が不足してしまうと、筋肉量の低下が認められた研究結果があり、3食のうち1食に摂取するたんぱく質が不足しても同じ結果が出ています。筋肉量の低下によって、加齢による心身が衰えるフレイルを発症しやすくなるので、毎食バランスのよいたんぱく質の摂取が大切です。フレイルを発症したら整形外科で受診しましょう。
免疫力の低下
たんぱく質は免疫細胞を作る材料にもなるため、たんぱく質が不足すると免疫力も低下しやすくなります。免疫機能が低下してしまうと、風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気にかかりやすくなるため、必須アミノ酸が多く含まれるささみやサバなどの良質なたんぱく質を摂取することが重要です。症状が悪化する前に内科を受診しましょう。
成長障害
たんぱく質は、皮膚や臓器、毛髪を作る働きがあります。大人にとっても必要ですが、特に成長期の子どもにとって、たんぱく質は欠かせません。不足してしまうと成長障害を引き起こす可能性があります。妊婦さんの場合は、胎児の成長のために推奨摂取量よりも5~25g多くのたんぱく質摂取が必要とされています。異変を感じたら小児科や内科で受診しましょう。
爪が割れる・欠ける
爪はケラチンというたんぱく質の一種で作られており、たんぱく質が不足してしまうと先に生命維持のためにたんぱく質が使われるため、爪は後回しになってしまいます。そのため、爪の表面に縦線が入ったり爪が割れたり欠けたりします。こういった症状が出た場合は、爪にオイルを塗って乾燥を防ぐケアを心がけ、食生活を改善し、悪化した際は皮膚科で受診しましょう。爪はたんぱく質不足のサインが出やすい場所なので1つの目安になります。
たんぱく質を過剰摂取すると現れる症状
腸内環境が乱れる
たんぱく質中心の食事を過剰摂取すると、悪玉菌が増えて腸内のバランスが崩れてしまいます。その結果腸内環境が乱れ、肌荒れ・便秘や肥満・糖尿病につながる可能性があります。野菜中心のバランスのよい食事を心がけ、症状が続く、またはひどい場合は早めに内科で受診しましょう。
尿路結石症を引き起こす
尿路結石症は尿道に結石ができ、残尿感など不快な症状とともに腰や背中に激しい痛みがおこる病気です。尿路結石症の原因に、たんぱく質の過剰摂取があります。特に肉や魚などの動物性たんぱく質を取り過ぎることで、結石を作る原因となる尿酸が多くなります。尿路結石と思われる症状が出た場合は、泌尿器科で受診し、痛み止めを処方してもらいましょう。普段の生活では動物性たんぱく質の過剰摂取を控え、バランスのよい食事が大切です。
腎機能に悪影響を及ぼす
たんぱく質を体内で吸収・分解した後の老廃物は腎臓で処理し、尿として排泄します。しかし、たんぱく質を過剰摂取すると大量の老廃物が出てしまい、処理が追い付かず腎臓に負担がかかります。腎臓機能が低下すると、血液中の不純物も濾過できなくなり血液中に滞り、血圧の上昇・むくみなどの症状があらわれやすいでしょう。食生活を改善しても症状が落ち着かない場合は、内科で受診してください。
たんぱく質の多い食品
鶏むね肉
鶏むね肉には100gあたり21.3gのたんぱく質が含まれています。電子レンジや湯せんで加熱し、塩コショウなどお好みの調味料で味付けをしてサラダチキンにすれば野菜と合わせても食べやすいでしょう。市販の加工肉は塩分が高めなので、食べすぎには注意が必要です。
かつお節
お味噌汁や煮物のだしにもよく使われるかつお節は、100g中77gのたんぱく質が含まれています。必須アミノ酸であるヒスチジンやトリプトファンは、体の機能や代謝を調節する役割があります。ほかにもカルシウムやビタミンDなども豊富なので積極的に摂取しましょう。
ゆで卵
ゆで卵は100gあたり12.5gのたんぱく質が含まれています。ほかにも葉酸・ビタミンE・鉄分など豊富な栄養が含まれているため、ダイエットにも効果的です。殻付きのまま冷蔵庫保存すると3日程日持ちするのでストックしておくのもおすすめです。
パルメザンチーズ
粉チーズに使われているパルメザンチーズには100gあたり44gのたんぱく質が含まれています。カロリーが高く一度に大量に摂取するのは望ましくないですが、少量ずつでもドレッシングや調味料として料理と合わせることで手軽に食べられるので、筋トレ中の方にもおすすめです。
たんぱく質の効率的な摂取方法
たんぱく質と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
たんぱく質と一緒に摂取すると効果を高める栄養素はビタミン類です。ビタミン類はたんぱく質の吸収をアップさせる効果があります。体内に吸収されたたんぱく質はアミノ酸に分解されますが、その際に必要なのがビタミンB群です。特にビタミンB6は、たんぱく質の代謝と深く関係しているため、たんぱく質と一緒に摂取すると効率的です。食べ合わせの例をいくつかご紹介します。
- 肉料理+にんにく
- 魚介類+アボカド
- 卵+緑黄色野菜
- 納豆+ネギ
- 豆腐+わかめ
どの食材もビタミンB6が豊富に含まれており、食事をおいしくする組み合わせです。筋力増加やダイエットにも効果的なので今日から早速やってみましょう。
たんぱく質と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
たんぱく質と一緒に摂取すると効果を下げてしまう食品は以下のとおりです。
- 冷たい飲み物
- 大豆製品
- アルコール
冷たい飲み物は胃酸の分泌を減らし、大豆製品はトリプシンインヒビターという分解酵素であるトリプシンの働きを抑えてしまい、たんぱく質を体内に吸収しにくくする可能性があります。また、アルコールを定期的に摂取している人はエネルギーを体内に吸収する働きのあるインスリンの感受性を下げやすくするので、筋トレ中の方やたんぱく質の効果を高めたい方は控えるようにしましょう。
たんぱく質の効果を高める摂取タイミング
たんぱく質は朝食で摂取することで、筋肉量の増加に効果的だといわれています。これは体内時計が関係しており、生活リズムが整っている人に効果があり、夜勤などで不規則な生活をしている人には効果がないというデータが出ています。たんぱく質の摂取を避けた方がよい時間は特にありませんが、朝でも夜でもなるべく均一に摂取するのが理想的です。朝食に意識して摂取するようにしましょう。
「たんぱく質の多い食品」についてよくある質問
ここまでたんぱく質の多い食品を紹介しました。ここでは「たんぱく質の多い食品」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
たんぱく質が一番多い食品を教えてください。
武井 香七 医師
たんぱく質が1番多い食品は、上記でもご紹介したとおりかつお節(100g中77g)です。ほかに肉類では鶏ささみ(100g中23.9g)・魚類ではいわし(100g中45g)などが挙げられます。1つの食品からたんぱく質を摂取しようとすると栄養が偏ってしまうので、バランスのよい食事を心がけましょう。
手軽に摂取できるたんぱく質を多く含む食品を教えて下さい。
武井 香七 医師
手軽にたんぱく質を摂取できる食品として、プロテイン・サラダチキン・チーズなどが挙げられます。どれもコンビニやドラッグストアで購入できるので、素早く手軽にたんぱく質を摂取できます。また、サラダチキンやゆで卵は時間のあるときに作り置きしておくと便利です。
編集部まとめ
この記事では、たんぱく質の多い食品や不足したとき・過剰摂取したときにあらわれる症状や一日のたんぱく質摂取量などをご紹介しました。
たんぱく質は、不足しても過剰摂取しても体に悪い影響を与えてしまうことがおわかりいただけたかと思います。
私たちが生きていくうえで欠かせない栄養素なので、効率よく摂取するためにビタミンB6を多く含んだ食品と一緒に摂取する・なるべく朝食にたんぱく質を摂ることを心がけましょう。
「たんぱく質」と関連する病気
「たんぱく質」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳の病気
- パーキンソン病
泌尿器系の病気
- 尿路結石症
「たんぱく質」と関連する症状
「たんぱく質」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 筋肉量の低下
- 腸内環境が乱れる
- 集中力の低下