【NEWS】羊膜で失明を回避 拒絶反応ほぼ起きず移植が可能(医師コメント4件)

昨今、子宮内にて赤ちゃんを包んでいる羊膜を移植し、目の病気やけがの治療に使う動きが広がり始めている。羊膜とは、子宮の内側を覆う半透明の薄い膜のこと。赤ちゃんを衝撃から守っており母体からの拒絶反応を抑制するとされている。移植することで、傷の治癒を促進し、炎症を鎮める効果もあるという。また、他人から提供された羊膜でも、拒絶反応はほとんど見られず、免疫抑制剤の使用は必要ないとされている。

羊膜移植の始まりは米国にて。1930年ごろから研究されている。国内では90年代から東京歯科大学や京都府立医科大学などで臨床研究が始まった。難治性眼疾患に対する羊膜移植は14年に保険適用になって以降、件数は毎年増え続け、現在では全国で年間約500件の移植手術が行われている。

移植に使う羊膜は、同意を得た妊婦が帝王切開を受けた際に提供する流れだ。提供された羊膜は現在、日本組織移植学会が認定した全国9カ所にある「羊膜バンク」で凍結保存され、移植が必要な医療機関に配られている。2018年には、計542件がバンクから供給された。

医師のコメント

  • 加藤 智子(産婦人科医)

羊膜は産科では妊娠内容を守る大切な膜です。妊娠初期に胎盤と形成されるととともに、胎児異常がないか精査でも有用です。感染が起きてしまうと妊娠さえ継続が危ぶまれます。
胎児期にしか存在しませんが、起源でもあります。医療で使用されて活用方法が増えると良いと思います。

  • 山﨑 ゆか(麻酔科医)
    中部産婦人科

赤ちゃんを包む羊膜で、視力を失ったひとに、光を取り戻せるなんて、命をつなぐ素晴らしいことです。羊膜や、胎盤、大事なものですが、いつもは、廃棄されてしまう、そんなものから、臍帯血をとるだけでなく、いろんな活用がされることはもっと進めていってほしいですね。

羊膜移植については、あまり知られていないものと思われます。拒絶反応が少ないという点で、臨床面のメリットが大きいです。また、帝王切開後に一緒に取り出せるもので、母体にも負担がないことも良い点です。応用の幅が広がっていくと良いと思います。

  • 武井 智昭(小児科医・内科医)

移植医療においては、どうしても避けられないものがリンパ球の作用による拒絶反応であります。羊膜にはこうした拒絶反応が少ないことを、様々な臓器で実臨床として行われていくことが、今後の移植医療に大きく貢献すると思われます。