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「βカロテンの効果」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/03/20
「βカロテンの効果」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

βカロテンの効果とは?Medical DOC監修医がβカロテンの効果・一日の摂取量・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「βカロテン」とは?

「βカロテン」とは?

βカロテンは、カロテノイドの一種です。カロテノイドは、野菜や果物などに多く含まれている天然の色素成分で、600種類以上存在するとされています。黄色や赤色の色素です。

カロテノイドには、カロテン類とキサントフィル類があり、βカロテンはカロテン類になります。βカロテンは、しそ・モロヘイヤ・人参などに多く含まれている色素成分です。

抗酸化作用を持っており、動脈硬化・老化・生活習慣病の予防などに効果があるとされています。

また、βカロテンはプロビタミンAの1つです。動物や人間の体内でビタミンAに変わるため、ビタミンAの前駆体でありプロビタミンAと呼ばれています。

βカロテンの一日の摂取量

βカロテンの一日の摂取量

βカロテンの摂取量は定まっていないため、プロビタミンAカロテノイドを含むビタミンAの推定平均必要量を紹介します。18歳以上の成人男性では600〜650μgRAE/日、18歳以上の成人女性では450〜500μgRAE/日が必要です。年齢に応じて必要量は変わり、65歳以上の男性では550〜600μgRAE/日、女性では450〜500μgRAE/日が必要になります。

βカロテンの効果

βカロテンの効果

抗酸化作用

βカロテンには、体内の活性酸素を減少させて除去する作用があります。活性酸素とは、呼吸で得た酸素の一部が活性化された状態になることです。大量にできると動脈硬化・がん・老化などを引き起こすとされています。活性酸素は体内で常に作られていますが、体内の抗酸化防御機能や抗酸化作用のある食べ物のおかげで、体内の状態は維持されています。βカロテンは、抗酸化作用のある物質で肌に蓄積しやすく、紫外線による影響から肌を守ってくれるでしょう。

ビタミンAの生成

βカロテンはビタミンAの前駆体であり、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは必須の栄養素です。しかし、体内で作ることができないため、食事で摂取する必要があります。視覚や聴覚などの機能維持・成長促進・上皮組織の維持・遺伝子の転写調節などに関与するとされています。βカロテンは、体内のビタミンAの量が足りない際に必要な量だけ変換される仕組みです。必要がない場合には、ビタミンAには変換されず、脂肪組織に蓄えられるか排泄されます。

免疫力の向上

βカロテンが白血球・リンパ球などの機能を高めたり増殖を促したりするため、免疫力が向上するでしょう。細菌から体を守っている好中球は、体内に入ってきた細菌に反応して活性酸素を作り、好中球自身や周囲の細胞を傷付ける場合があります。これを、βカロテンなどのカロテノイドが抑制しています。このように免疫系にも作用しているのが、βカロテンの効果です。

がん発生の抑制

βカロテンによって、肝がん・胃がんなどの発生を抑制できる可能性があるでしょう。βカロテンを多く含んだ野菜を摂取すると、肝がんの発生を抑制できると報告されています。また、胃がんの場合にはβカロテンの血中濃度が高いと、胃がんのリスクが低下する傾向にあります。がんは、飲酒・喫煙・紫外線などのストレスをきっかけに活性酸素が生じ、がん細胞に変化する疾患です。カロテノイドは細胞のがん化を抑制しますが、野菜や果物の摂取だけで予防が行えるわけではありません。禁煙・節酒・適度な運動も併せて行うことで、がん発生の抑制につながります。

βカロテンを多く含む食品

βカロテンを多く含む食品

にんじん

セリ科の根菜類で、オレンジ色はβカロテンの色素です。にんじんには、100gあたり約8600μgのβカロテンが含まれています。カリウムや食物繊維も含んでいるため、高血圧を予防したり血糖値の急な上昇を抑えたりします。きんぴら・ポテトサラダ・天ぷらなど油と合わせるのがおすすめの食べ方です。葉にもカロテンは豊富に含まれているため、調理する際には葉も使うといいでしょう。

かぼちゃ

かぼちゃには、100gあたり約4000μgのβカロテンが含まれています。カロテン以外にもビタミン類・たんぱく質・でんぷんが多く含まれている野菜です。βカロテン以外にも抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEを含んでいるため、皮膚の抵抗力や免疫力が向上し風邪の予防にもなります。天ぷら・炒め物など油と一緒に食べることで、βカロテンの吸収率も良くなるでしょう。

ほうれん草

江戸時代に日本に伝わった野菜で、100gあたりに含まれるβカロテンは約4200μgです。栄養価の高い野菜で、カロテン・鉄分・ビタミン類・食物繊維などが含まれています。ほうれん草とベーコンのソテーやおひたしをごまやピーナッツで和えるのも、カロテンの吸収を助けてくれるため、おすすめです。

春菊

地中海沿岸が原産地の緑黄色野菜で、100gあたりのβカロテンの含有量は約4500μgです。独特の香りで、鉄・カルシウム・食物繊維など多くの栄養素が含まれています。ほうれん草よりもカロテンが多く含まれているのも特徴です。かき揚げや鍋などに入れて食べると、かさも減り食べやすくなるでしょう。

モロヘイヤ

インド原産の多年草で、育つと1m以上になります。モロヘイヤには、100gあたり約10,000μgのβカロテンが含まれています。カルシウムやビタミンKなどβカロテン以外の栄養素も豊富です。果実に毒があるため、葉を食べます。葉をサラダや餃子に入れて食べると、βカロテンを効率的に摂取できます。

βカロテンの効果的な摂取方法

βカロテンの効果的な摂取方法

βカロテンを多く含む食品の摂取

しそ・モロヘイヤ・にんじん・とうがらし・パセリ・春菊・ほうれん草・かぼちゃなどにβカロテンは含まれています。緑黄色野菜にはカロテン類が多く含まれており、βカロテン以外のカロテノイドやビタミンCなども豊富です。そのため、これらの野菜をバランスよく摂取することで、効率的にβカロテンを取り入れることができます。

βカロテンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

脂溶性のため、天ぷらや炒め物のように油を使った調理法で摂取すると体内での吸収が良くなるでしょう。にんじんやかぼちゃでは、皮の部分に果肉以上にβカロテンを含んでいます。そのため、皮がついたまま調理すると、より多くのβカロテンを摂取できます。また、摂取するための調理法も重要です。油と一緒に炒めたりジュースで摂取したりすると、栄養成分の吸収が向上するといわれています。にんじんピューレやにんじんジュースなどの加工品を利用して、普段の食事に取り入れてみてください。

βカロテンの効果を高める摂取タイミング

カロテノイドの1つのリコピンでは、活動期の初期で吸収が高まるとの報告があります。リコピンは、トマトやすいかなどに含まれている色素の一種です。絶食の時間の長さに応じて吸収が高まるようです。βカロテンでの報告ではありませんが、同じカロテノイドのため、βカロテンも活動の初期に摂取するのが向いているかもしれません。また、その野菜が旬の時期に食べるのが、βカロテンの効果を高めてくれます。その野菜が多く出回っている時期が、一般的にその野菜の旬です。旬でない時期では栄養価が下がり、旬の時期には栄養価が高まるため、野菜の旬の時期に食べるのがいいでしょう。近年は、多くの野菜が一年を通して販売されており、季節を問わず手に入ります。にんじんやかぼちゃの旬は9〜12月頃です。寒締めほうれん草は、1〜3月頃が旬とされています。βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれているため、朝昼晩の3食でバランスよく食べるようにしましょう。

「βカロテンの効果」についてよくある質問

「βカロテンの効果」についてよくある質問

ここまでβカロテンの効果を紹介しました。ここでは「βカロテンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

βカロテンが不足するとどんな症状が現れますか?

武井 香七武井 香七 医師

βカロテンの不足でビタミンAが不足する可能性があるでしょう。ビタミンAが不足することで、視覚・色覚に関係する物質が減少します。そのため、成人では夜盲症、乳幼児では角膜乾燥症から失明する可能性があります。ビタミンAの不足状態が長期に渡ると、成長阻害・骨や神経系の発達抑制・皮膚や粘膜の乾燥や角化・免疫力の低下などがみられるでしょう。体内に取り込まれたビタミンAは、90%が肝臓に貯蔵されます。また、肉・魚・卵・乳製品など多くの食物に含まれているため、ビタミンA自体が不足する可能性は低いとされています。無理な食事制限や下痢などの際には、ビタミンAが不足する場合もあるため、注意が必要です。

編集部まとめ

βカロテンの効果・一日の摂取量・多く含む食品・効果的な摂取方法などを紹介してきました。
βカロテンは、体内でビタミンAに変換される栄養素です。抗酸化作用があり、肌や免疫系などに影響を及ぼします。
脂溶性のため油と一緒に調理・摂取すると、βカロテンの吸収率も良くなるでしょう。単一の食品だけで健康になれるわけではありません。
βカロテンの作用を理解して、バランスのよい食事を心がけましょう。

「βカロテン」と関連する病気

「βカロテン」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

総合内科の病気

  • 夜盲症
  • 麻疹
  • 加齢黄斑変性

「βカロテン」と関連する症状

「βカロテン」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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この記事の監修管理栄養士

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