「ポリフェノールの多い食品」はご存知ですか?効率的な摂取方法も解説!
ポリフェノールを多く含む食品とは?Medical DOC監修医がポリフェノールを多く含む食品・種類・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「ポリフェノール 」とは?
ポリフェノールとは化合物群の総称で、8,000種類以上存在するといわれています。植物が環境ストレスを防御するために作り出す苦みや渋み、色素の成分です。ポリフェノールは活性酸素の発生と働きを抑制する抗酸化物質として、さまざまな疾病の予防に役立つと期待されています。
ポリフェノールが持つ生体を調節する機能、いわゆる生理機能は以下のとおりです。
病気を予防する機能
消化作用を調整する機能
アレルギーを抑えたり、免疫力を高めたりする生体防御機能
細胞の酸化を防ぐ抗酸化機能
精神活動を調整する機能
やがて、食品の生理機能を強化した機能性食品が多数登場しましたが、化学的根拠が曖昧な商品もありました。そこで、厚生労働省は食品の生理機能を証明するデータをもとに特定保健用食品として認可し、マークの表示を許可する制度の導入に至っています。
ポリフェノールの種類
カカオポリフェノール
カカオ豆に含まれるカカオポリフェノールの効果・効能は以下のとおりです。
高血糖の予防と改善
脂肪の蓄積予防
血管拡張作用による血圧の低下
血栓形成の抑制
炎症を抑える作用
カカオポリフェノールはカカオ豆を発酵・焙煎し、胚乳をすりつぶしたカカオマスに豊富に含まれています。
国立がん研究センターの調査によると、日本人の女性ではチョコレートの摂取を多く摂取するグループで脳卒中の発症リスクが低い結果となりました。ポリフェノールの摂取による血圧の低下・血栓形成の抑制・炎症を抑える作用が脳卒中のリスクを低くしたと考えられています。
カテキン
緑茶の苦みと渋みの成分であるカテキンの効果・効能は以下のとおりです。
抗菌・抗ウイルス作用
抗アレルギー作用
抗酸化作用
血中コレステロール低下作用
血圧の低下
カテキンの抗菌作用はむし歯菌の増殖を抑え、食後の口臭予防に役立ちます。なお、カテキンは80度以上のお湯で抽出されやすいことが特徴です。緑茶以外には大豆・小豆・ココアなどに含まれています。
アントシアニン
アントシアニンは赤や紫色の色素を持つ果物・野菜に含まれています。化学構造が変化しやすいアントシアニンの研究は、データの蓄積が乏しい段階です。12週間継続して高アントシアニン緑茶を摂取した結果、目の焦点調節力と目の疲れがプラセボ茶に比べ改善した、との報告から目の疲れを回復する効果が期待されています。
ルチン
ルチンはソバ・イチジクに含まれているポリフェノールです。ルチンは血圧を下げる物質を分解する酵素を抑え、高血圧を予防する効果があります。また、毛細血管を強化して、動脈硬化を予防する働きがあります。
クルクミン
クルクミンはカレー粉の主成分であるターメリックに含まれています。ターメリックの黄色はクルクミン由来です。内臓脂肪組織の炎症性物質の発現を抑制し、脂肪細胞の代謝異常を防ぐとされています。クルクミンの研究は未だ進行中で、有用性を確定できる効果を証明できる段階になっていない状況です。
ポリフェノールを多く含む食品
赤ワイン
赤ワインの食品100gあたりのポリフェノール含有量は230mg、使用されるブドウに由来するポリフェノールです。ブドウ品種別ではカルベネ・ソービヨンやネビオロから熟成されたワインの抗酸化作用が高く、同じ銘柄のワインを製造年別に比較した場合は古いビンテージのほうが作用が高い傾向にあります。ワイングラス1、2杯程度を食事と一緒に摂取するのがおすすめです。
コーヒー
コーヒーポリフェノールの100gあたりのポリフェノール含有量は200mg、主成分であるクロロゲン酸は胃酸の分泌を刺激し、消化作用を調整する機能を持つ成分です。内臓脂肪の低減・I型高血圧者の血圧低下・睡眠の質の向上などの効果が報告されています。コーヒーの摂取量と死亡リスクとの関連を調査した結果、1日4杯までのコーヒー摂取は死亡リスク低下と有意な関連がありました。
緑茶
緑茶に含まれるポリフェノールの約8割がカテキンです。緑茶の100gあたりのポリフェノール含有量は115mg、緑茶に含まれるカテキンにはさまざまな種類があり、種類によって生理作用の強弱が異なります。緑茶中のカテキンの50〜60%は、渋みの強いエピガロカテキンガレートです。抽出時に高い温度のお湯を使うとカテキンを多く含んだ緑茶になります。緑茶の渋みが苦手な方は、水出し緑茶や氷出し緑茶などの低温抽出がおすすめです。渋味の弱いエピガロカテキンはお湯で抽出した場合と同様に溶け出すため、緑茶の生理機能は維持されます。
ごぼう
生のごぼうには100gあたり49mgのポリフェノールが含まれています。ごぼうのポリフェノールの主成分は水溶性のクロロゲン酸関連化合物です。ごぼうは調理の際に水にさらしたり、ゆでたりしてアクを抜くため、食事でのポリフェノールの摂取量が低下します。切り口の表面積を小さくし、酢水でゆでる調理法がポリフェノールの残存率を高める工夫として有効です。
りんご
りんごに含まれるポリフェノールは100gあたり60mg、代表的なポリフェノールはプロシアジニンです。プロシアジニンにはアレルギー予防とメラニン生成を抑制する作用があるとされています。紫外線の刺激よって、皮膚組織のメラニンが過剰に生成されると色素沈着やシミの原因になります。プロシアニジンは紫外線による皮膚組織のダメージを減らす効果が期待される成分です。りんごのポリフェノールには、アレルギーの発症に関わるヒスタミンを抑制する抗アレルギー作用が確認されています。
ポリフェノールの効果的な摂取方法
ポリフェノールと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ポリフェノールには多くの種類があり、一括りにして効果を語れる成分ではありません。例えば、カテキン類には以下の成分との相乗効果が認められています。
脂溶性ビタミンEであるトコフェロール
ビタミンCの一種であるアスコルビン酸
マロン酸
酒石酸
カテキンとアスコルビン酸を含む緑茶はポリフェノールを効果的に摂取ができる食品です。なお、カテキンと化学構造が似ているルチンは、ビタミンCとの相乗効果により毛細血管を強くする働きがあるとされています。
ポリフェノールと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
脂肪の蓄積を予防し、内臓脂肪を減らす効果があるポリフェノールを高カロリー・高脂肪の食品と合わせて摂取すると、本来の効果は低下します。例えば、大量の砂糖やミルクを加えたコーヒーやココアです。血圧を下げる効果のある緑茶をのみながら塩分の多い食品を食べている場合もポリフェノールの効果は下がります。
ポリフェノールの効果を高める摂取タイミング
ポリフェノールは短時間で作用しますが、効果が長く続かず生体内に蓄積しません。そのため、ポリフェノールを効果的に摂取するためには、1日に何回もこまめに摂取する必要があります。ポリフェノールは緑茶やコーヒーなどの飲料に多く含まれているため、気分転換も兼ねて食事と食事の間に摂取する方法が望ましいでしょう。
「ポリフェノールを多く含む食品」についてよくある質問
ここまでポリフェノールを多く含む食品を紹介しました。ここでは「ポリフェノールを多く含む食品」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ポリフェノールを多く含む果物を教えて下さい。
武井 香七 医師
果物の果肉にポリフェノールを多く含む果物はスモモ・桃・りんごです。ブドウのポリフェノールは、果皮や種子に多量に含まれています。果物ごとに含まれているポリフェノールの種類や効果は多種多様ですので、いろいろな種類の果物をバランスよく味わってください。
ポリフェノールを多く含む食品を摂取することで、ダイエットや美容に効果はありますか?
武井 香七 医師
ポリフェノールと体重減少の関連は、ラットに対して認められた報告はあるものの人体に対しての関連は定かではありません。美容面においては、紫外線などの刺激によって発生するメラニンの生成を抑制するポリフェノールがあります。皮膚の過剰なメラニン生成は色素沈着やシミの原因となるため、ポリフェノールには紫外線による皮膚ダメージを軽減する可能性があるとされています。
編集部まとめ
ポリフェノールは、その多様な生理機能から、健康維持や病気予防に大きな役割を果たします。しかし、単一の成分に頼るのではなく、バランスの取れた食生活を基本に、様々な食品からポリフェノールを効果的に摂取することが大切です。特定の食材だけに偏ることなく、ポリフェノールを多く含む食品を取り入れることで、日常生活の質を向上させることができるでしょう。
「ポリフェノールを多く含む食品」と関連する病気
「ポリフェノールを多く含む食品」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内分泌系の病気
骨代謝疾患の病気
アレルギー系の病気
- 鼻炎アレルギー
- 食物アレルギー
消化器系の病気
「ポリフェノールを多く含む食品」と関連する症状
「ポリフェノールを多く含む食品」と関連している、似ている症状は2つあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 肥満
- 認知症
参考文献