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「カリウムを下げる食べ物」はご存知ですか?カリウム値が高くなると現れる症状も解説!

 公開日:2024/09/12
「カリウムを下げる食べ物」はご存知ですか?カリウム値が高くなると現れる症状も解説!

カリウムを下げる食べ物とは?Medical DOC監修医がカリウムを下げる食べ物・高くなると現れる症状・原因などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「カリウム」とは?

「カリウム」とは?

カリウムとは、体内の水分調節に重要な役割を担うミネラルの一種です。

体内に摂り込まれたカリウムのほとんどが細胞内に存在し、ナトリウムとの相互作用によって浸透圧を調節しています。

また、ナトリウムの再吸収を抑制し、尿として体外に排泄することで血圧をコントロールしています。

カリウム値は高くても低くても身体に悪い影響を与えますが、特に注意が必要なのが高カリウム血症です。

進行すると脱力感や呼吸困難感、不整脈などを引き起こし、重症例では命に関わるため早急に治療が必要です。

カリウムが高くなる原因

カリウムが高くなる原因

血清カリウムの基準値は3.5〜5.0mEq/Lです。血清カリウム値が5.5mEq/L以上の状態を高カリウム血症といい、重症度に合わせた治療が必要になります。

腎機能の低下

高カリウム血症を引き起こす原因の一つが、腎機能の低下です。腎臓は、血液をろ過して余分な水分や塩分、老廃物などを体外へ排泄する役割を担っています。しかし、腎臓の血流低下や炎症によって腎機能が低下すると、カリウムが体内に溜まって高カリウム血症を引き起こします。そして、腎機能の低下を引き起こす病気の一つが慢性腎臓病(CKD)です。腎機能の低下や腎臓の障害が3ヵ月以上続いている状態で、放置すると命に関わります。重症度に合わせて食事療法や薬物療法、透析治療などが適応されます。

脱水症

脱水症になると尿量が減るため、カリウムの排泄量が減ります。さらに、体内の水分不足によって血液が濃縮されるため、血中のカリウム濃度は高値となります。特に子どもや高齢者はのどの渇きを感じづらく、体内の水分量も少ないため注意が必要です。こまめな水分補給だけでなく、ミネラル摂取も忘れず行いましょう。

薬剤による影響

薬剤によるカリウムの過剰摂取や、カリウムの排泄を抑制する薬剤によって高カリウム血症を引き起こすことがあります。具体的には、低カリウム血症の治療薬である塩化カリウムやアスパラカリウム、グルコンサンKなどです。また、降圧剤の一種であるACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ阻害薬(ARB)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。治療期間中は医師の指示に従い、定期的に診察や検査を受けましょう。

カリウムが高くなると現れる症状

カリウムが高くなると現れる症状

カリウム値は正常範囲が狭く、過不足があると全身にさまざまな症状があらわれます。ここでは、カリウムが高い場合に起こりうる症状を解説します。

悪心・嘔吐

カリウム値が高くなると吐き気や嘔吐、腹痛などの消化器症状がみられることがあります。逆流性食道炎や胃腸炎などと見分けることは難しいため、気になる症状があれば早めにかかりつけの病院を受診しましょう。血液検査によってカリウム値の異常が見つかった場合、早急に治療が必要です。

だるい・疲れやすい

高カリウム血症では、筋肉の興奮に必要なナトリウムイオンの移動が遅く、もしくは不十分になることで筋緊張が低下します。具体的には、身体のだるさや疲れやすさです。また、手足の痺れや知覚異常がみられることもあります。内服治療中の方は、病院受診の際にお薬手帳を持参しましょう。症状の原因究明につながるはずです。

不整脈

不整脈とは、心拍数やリズムに異常が見られる状態です。心拍数が増えるタイプ・減るタイプ・リズムが乱れるタイプの大きく3種類に分けられます。主な自覚症状は動悸や息切れ、めまいなどです。高カリウム血症が重症化すると死に至ることもあるため、検査で異常がみとめられた場合は早急に治療が必要です。

カリウムを下げる・少ない食べ物

カリウムを下げる・少ない食べ物

血中のカリウム値を下げるためには、カリウムの摂取量を減らすことが重要です。カリウム含有量の少ない食品をご紹介しますので、カリウム値が高い方はぜひ参考にしてください。

ごはん

一食分の目安量で精白米(150g)と食パン(60g)のカリウム含有量を比較すると、精白米は44mg、食パンは52mgです。腎機能の低下などでカリウム制限が必要な方は、和食をメインにするとカリウム摂取量を抑えることができるでしょう。しかし、洋食やパンを食べていけないわけではありません。一日のなかでカリウムの摂取量を調節し、バランス良く栄養を摂ることが大切です。

うどん

茹でたうどん200gに含まれるカリウムの量は18mgです。同じ量の200gの蕎麦にはカリウムが68mg含まれるため、麺類を主食にする場合はうどんを選ぶとよいでしょう。カリウムは水に溶けやすい性質があるため、茹でることで食品に含まれるカリウムを減らすことができます。麺類の場合は、茹でた後に流水で洗うことで、さらにカリウムを減らすことができるでしょう。

豚バラ肉

赤身肉や赤身魚にはカリウムが多く含まれています。脂身の少ない鶏ささみ100gには420mgのカリウムが含まれていますが、脂身の多い豚バラ肉100gのカリウム含有量は220mgです。カリウムの摂取量を減らす方法として、茹で汁を使わないしゃぶしゃぶや茹で鶏などの料理がおすすめです。脂身の多い肉を食べすぎると脂質異常症を引き起こす恐れがあるため、摂取量には注意しましょう。

レタス

野菜100gで比較するとほうれん草には690mg、小松菜には500mgカリウムが含まれています。また、レタスのカリウム含有量は200mg、サニーレタスは410mgです。お浸しには小松菜を、サラダにはレタスを選ぶとよいでしょう。レタスは一口サイズにちぎってから水にさらしておくと、カリウムを減らせるだけでなく触感もシャキッとするのでおすすめです。

りんご

果物100gに含まれるカリウムの量はりんごで120mg、みかんは150mgです。バナナには360mgもカリウムが含まれているため、食後や食間のデザートにはりんごやみかんがおすすめです。また、果物の缶詰のシロップにはカリウムが溶けだしているため、カリウム制限のある方は飲まないように注意しましょう。

「カリウムを下げる食べ物」についてよくある質問

「カリウムを下げる食べ物」についてよくある質問

ここまでカリウムを下げる食べ物を紹介しました。ここでは「カリウムを下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

カリウムが高くなると、どのような病気を発症しやすいですか?

武井 香七武井 香七 医師

カリウムが高くなると心筋の興奮にも影響を及ぼし、不整脈を発症します。さらに高カリウム血症が進行すると、心臓から全身に血液を送り出す心室の興奮が抑制され、致死性不整脈とも呼ばれる心室細動を引き起こします。数分で意識を消失し、数十分で死に至る可能性がある危険な状態です。カリウム値の異常を指摘された方は、医師の指示のもと正しく治療を進めましょう。

カリウムの量が少ない飲料水を教えて下さい。

武井 香七武井 香七 医師

水や白湯にはカリウムが含まれていないため、カリウムの含有量を気にせずに飲めます。コップ一杯200mlの麦茶に含まれるカリウムの量は、12mgです。日本茶の一種である玉露200mlにはカリウムが5,600mg、抹茶には5,400mgも含まれています。日常的な摂取は避け、日々の水分補給には麦茶を選ぶとよいでしょう。また、コーヒー150mlには100mgのカリウムが含まれていますが、紅茶150mlのカリウム含有量は12mgです。嗜好飲料にはコーヒーよりも紅茶がおすすめです。

編集部まとめ

「カリウム」とは?

カリウムは筋肉の興奮や体内の水分調節、血圧コントロールに重要なミネラルの一種です。

腎機能の低下や薬剤の影響などによって高カリウム血症になると、消化器症状や神経症状、知覚異常などの症状を引き起こします。

さらに悪化すると、心室細動という命に関わる不整脈を引き起こす危険があるため、健診で異常値を指摘された場合は早急に病院を受診しましょう。

血中のカリウム濃度を下げるには、日々の食事を見直しカリウム摂取量を減らすことが重要です。

カリウムの多い食品を全て排除するのではなく、頻度や量を減らすなど、ご自身に合った継続可能な方法でカリウム摂取量を減らしていきましょう。

「カリウムを下げる食べ物」と関連する病気

「カリウムを下げる食べ物」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

高カリウム血症の治療中は、カリウム値が下がりすぎることで起こる低カリウム血症にも注意が必要です。内服治療を受けている場合は用法・用量を守って内服し、定期的に診察や血液検査を受けましょう。

「カリウムを下げる食べ物」と関連する症状

「カリウムを下げる食べ物」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

高カリウム血症や低カリウム血症では、骨格筋の興奮に影響を及ぼすため、手足の痺れや動かしにくさを感じることがあります。また、不整脈によって動悸や息切れ、めまいなどの症状がみられることもあるため、心当たりがあれば早めに病院を受診しましょう。

この記事の監修管理栄養士