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「不整脈を疑う3つの自覚症状」はご存知ですか?原因についても医師が解説!

 公開日:2024/04/23
「不整脈を疑う3つの自覚症状」はご存知ですか?原因についても医師が解説!

不整脈の自覚症状とは?Medical DOC監修医が不整脈の自覚症状・原因・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

小鷹 悠二

監修医師
小鷹 悠二(おだかクリニック)

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福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月 宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月 東北大学病院循環器内科・同大学院 医員 / 2017/4月~2018/5月 仙台オープン病院 循環器内科医長 / 2018/5月~ おだかクリニック 副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。 また、医師業務以外の副業も積極的に行っており、ビザスクなどを通して企業の医療アドバイザー業も副業として行っており、年間70社以上の会社にアドバイザーとして助言を行うなどしている。 ライティングも行っており、m3.comや、Ubie病気のQ&A(https://ubie.app/byoki_qa/doctors/yn8ueqd6kjn)などにて定期的に執筆活動を行っている。

「不整脈」とは?

一言で「不整脈」といっても、不整脈にもさまざまな種類があります。
多くの人に見られ、特別な治療を必要としないような種類のものもあれば、重大な病気の症状として出現している場合や、命にかかわるような危険な不整脈もあります。
どのような不整脈があるのか、症状や必要な検査、治療などについて、詳しくお話していきます。

不整脈を疑う自覚症状

動悸

不整脈の場合、多くの方で認めやすい症状が「動悸」です。
どのような症状を動悸として感じるかは個人差も大きく、「どのような動悸」なのかということが、どんな種類の不整脈が疑われるかを考える上では非常に大切になります。
一般的には、以下の3つのような症状を動悸と感じることが多いです。
①脈が速い
②脈のリズムの異常(ずれる、抜ける等)
③拍動を強く感じる

もし動悸を自覚する際には、上記①~③のどのタイプか、を確認することが重要です。
動悸が出現した際には、自分の手首で脈を確認してみましょう。
・1分間に何回の脈か
・脈のリズムは一定か、ずれたり、規則性がなくなっていないか
の2点を確認しましょう。
動悸の症状が出現した際には、胸が痛い、呼吸が苦しい、気が遠くなるなどの症状を伴うような強い動悸の場合には速やかな救急外来受診や救急要請が必要となります。
動悸はあるけど仕事ができる、生活に支障はない程度、脈拍も1分間に120回を超えるような極端な頻脈でなければ、当日か翌日の日中に循環器科の外来を受診できれば良いでしょう。
短時間の動悸はあったが症状は軽微であった場合、前述の脈の速さとリズムを確認しましょう。頻脈でもなく(1分間に100回を超えない位)、脈の乱れもない状態であれば急を要することは少ないです。繰り返すようならば循環器内科の受診を検討してください。

めまい、ふらつき

不整脈によって極端に脈が速い、又は遅い状態なった際には、心臓から送り出せる血液量が低下するため、脳の血流が低下してめまいやふらつきを起こしてしまうことがあります。
めまいやふらつきはさまざまな病気が原因となりますが、動悸等の症状を伴う場合には不整脈の可能性も高まるため、前の動悸の項で紹介したように脈の速さとリズムを確認するようにしましょう。中には動悸等の自覚がない不整脈のこともあるため、めまいやふらつきだけの症状で動悸がなくても、確認のために自分の脈の確認はするようにしてください。
症状が一時的で、秒単位で改善する程度であれば病的ではない可能性が高いです。
症状が持続する場合には、一度座ったり横になって休んだりなど、倒れないようにして、脈を確認し、症状が落ち着いてからゆっくり動きましょう。症状が改善しない、症状が増悪するといった場合には速やかな救急外来受診や救急要請が必要となります。
すぐ改善するくらいであれば、後日日中の循環器内科の外来受診を検討しましょう。

失神

高度の頻脈や徐脈、心臓の下の部屋(心室)の痙攣などが生じる不整脈(心室細動や心室頻拍)では、急激に心臓からの血流が低下することで、脳への血流が低下し、意識を失う失神を起こすことがあります。
通常、頻脈や徐脈などの不整脈が原因で失神する場合には徐々に気が遠のくような症状になることが多いですが、心室が痙攣をするような危険な不整脈(心室頻拍や心室細動)の場合には、スイッチが切れたように突然ブツッと意識を失い、倒れることもあります。
不整脈由来の失神の場合、意識が戻る時には朦朧とするようなことはあまりないとされています。一方で、てんかんのような脳の異常の失神では、眼を開けた後も意思の疎通ができない、ぼんやりしている状態が出やすいです。
失神を来すくらいになると、かなり極端な頻脈や徐脈、危険な不整脈が出ている可能性が高まるため、速やかな救急外来受診の受診や、できる限り早期に循環器内科を受診する必要があります。
倒れて意識が戻らない、という場合には速やかに救急要請や、心停止などを起こしている場合には心臓マッサージなどの蘇生処置が必要となります。

不整脈の主な原因

不整脈は、突然出現することもありますが、中には病気が原因となっている場合もあります。どんな病態が原因で不整脈が引き起こされることがあるか、解説していきます。

心臓に病気がある

心臓に病気があると、不整脈が引き起こされる原因となることがあります。
狭心症や心筋梗塞などの心臓の血流の異常、心臓の筋肉に異常が生じる心筋症、心臓の機能が低下する心不全、心臓の内部の部屋を仕切っている弁の異常が生じる心臓弁膜症など、さまざまな心臓の病気が不整脈を引き起こす可能性があります。
不整脈による動悸症状以外にも、胸が苦しい、息切れが強いといった症状を伴うこともあります。
普段から健康診断を受ける、通院先があるのであれば定期的に検査や診察を受ける、といったことを心がけると、心臓病の早期発見と適切な治療につながります。

生活習慣病

血圧が高い状態や、脂質や血糖などが極端に高い状態が続いていると、動脈硬化が進行し心臓に負荷がかかるため、不整脈の原因となることがあります。
普段から自身の血圧を気にする、健診などで血圧や血液検査のデータを確認する、といったことが重要です。
普段の生活も、塩分やカロリーの取りすぎに注意する、適正な体重管理を意識する、適度な運動、十分な休息をとるといったことを意識するようにしましょう。
健診などで血圧や脂質、血糖などの高値を指摘された際には一度受診して相談することをお勧めします。

疲労、ストレス

過度のストレスや疲労、睡眠不足などの生活習慣の乱れは、不整脈を引き起こす原因となることがあります。
普段から、ストレスをため込みすぎないようにする、食事をバランスよくとる、十分な睡眠や休養をとる、暴飲暴食や不規則な生活をさける、適度に体を動かす、といったことに気を付けて生活することが大切です。

すぐに病院へ行くべき「不整脈の自覚症状」

ここまでは不整脈の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

強い胸の痛み、呼吸困難、失神等の症状がある場合は、救急外来へ

不整脈による動悸の症状だけでなく、胸痛や呼吸困難、失神のような意識障害を伴う場合には、緊急性が高い心臓の病気や、危険な不整脈の可能性があります。
強い胸痛の場合には、狭心症や心筋梗塞などの心臓の血流障害が生じている可能性があります。
呼吸困難は心筋梗塞や心不全、肺血栓塞栓症、高度の心臓弁膜症などが原因で出現することがあります。
失神は、極端な頻脈や徐脈でも出現しますが、最も恐ろしいのは心室細動のような心臓が痙攣して心停止状態となってしまうような危険な不整脈によって引き起こされる場合があることです。意識が戻ることもありますが、そのまま心停止状態となってしまうこともあり、その場合には迅速な心臓マッサージなどの蘇生処置が必要となります。
この3つの症状は非常に緊急性が高い症状であるため、いずれかの症状がみられた際には速やかな救急要請や救急外来受診が必要となります。

受診・予防の目安となる「不整脈」のセルフチェック法

  • ・動悸、めまい・ふらつき等の自覚症状がある場合
  • ・失神を起こした場合

不整脈の治療法

不整脈にはいろいろな種類がありますが、それぞれの治療法についても解説していきます。

生活改善

期外収縮や心房細動など、さまざまな不整脈の原因の一つに、ストレスや疲労、生活の乱れなどがあります。
生活改善を意識し、ストレスをため込みすぎないようにする、食事をバランスよくとる、十分な睡眠や休養をとる、暴飲暴食や不規則な生活をさける、適度に体を動かす、といったことに気を付けてもらうだけで、不整脈の頻度を減らせることもあります。

薬物治療

自覚症状が強い、回数が多い、連続で出現するといった場合には投薬治療を行うことがあります。
外来では主に内服薬での治療を行いますが、救急外来や入院中など緊急での対応が必要な場合には注射薬での投与を行うこともあります。
内服薬にも、定期的に決めたタイミングで使用する薬と、発作が出現したときに使用する頓服薬があります。

カテーテルアブレーション治療

不整脈の種類によっては、カテーテルという特殊な管を使用して、心臓の中にある不整脈を引き起こす異常な電気の通り道を焼く、又は冷凍凝固することで、不整脈を起こらなくするカテーテルアブレーション治療が行われることがあります。
足の付け根にある太い血管からカテーテルという管を入れるため、体にかかる負担が非常に少なく、局所麻酔で実施されることが多いため、高齢者などでも比較的安全に実施することができます。
治療する不整脈の種類にもよりますが2-3日から1週間前後の入院で行われることが多いです(年齢や合併症によってはより長くなることもあります)。

ペースメーカー、植込み型除細動器

脈がゆっくりになりすぎるような種類の不整脈では、ペースメーカーという機械の植込みが行われることがあります。左の鎖骨の下あたりの皮下に本体を植え込み、心臓の中に電線を入れることで電気刺激を送り、心臓の動きを調整することができます。
また、心室細動のような危険な不整脈の場合には、植込み型除細動器という、小型の電気ショックを行う機械を植え込むことがあります。見た目はペースメーカーと似ておりますが、若干大きい機械を使います。
どちらも局所麻酔で植え込むことができ、入院期間は1-2週間前後となることが多いです。

「不整脈の自覚症状」についてよくある質問

ここまで不整脈の自覚症状などを紹介しました。ここでは「不整脈の自覚症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

不整脈かどうか確かめる方法を教えてください。

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

不整脈の場合、自分で脈を確認することが非常に重要です。
動悸がした際には、以下の2点を確認しましょう。
① 脈の速さは1分間に何回か
② 脈のリズムが一定か。1拍ずれる、脈の間隔が不規則になっていないか。
脈が1分間あたり100回以上、50回以下の場合には、脈が速くなる・又はゆっくりになるような不整脈の可能性があります。
脈のリズムが一定ではない状態だと、脈のタイミングがずれるような種類の不整脈が出現している可能性があります。
① と②がどちらも当てはまらない場合には、不整脈の可能性は低くなります。

不整脈が強いとどのような自覚症状が現れますか?

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

極端な頻脈や強い動悸の自覚を伴うことがあります。
「強い」というのが危険性が高い、重症度が高い、という意味ですと、強い胸痛や呼吸困難、失神などを伴うこともあります。

命の危険性が高いのはどのような特徴がある不整脈でしょうか?

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

不整脈による動悸の症状だけでなく、胸痛や呼吸困難、失神のような意識障害を伴う場合には、緊急性が高い心臓の病気や、危険な不整脈の可能性があります。
心室細動のような心臓が痙攣して心停止状態となってしまうような危険な不整脈の場合には、倒れたまま意識が戻らない状態になることもあり、その場合には迅速な心臓マッサージなどの蘇生処置が必要となります。

編集部まとめ

不整脈も沢山の種類があり、急を要さないようなタイプの不整脈が多いですが、中には命にかかわることもある、危険な不整脈もあります。
普段なかった動悸症状が出現する、といった際には放置はしないで、今回の解説の内容を参考にしていただいて対応していただければと思います。
もし動悸を自覚する際には、自分で脈をとり、脈の速さとリズムの異常がないか、という2つの点をチェックできるようにしておくと、診断の近道となることがあるため、ぜひ覚えておいてください。

「不整脈の自覚症状」と関連する病気

「不整脈の自覚症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 上室性・心室性期外収縮
  • 発作性上室頻拍
  • 心房細動
  • 心室頻拍
  • 心室細動

不整脈には自覚しても様子を見ていて問題ないものから、命にかかわるような重大な病気の症状として出現しているものまでさまざまな種類があります。

「不整脈の自覚症状」と関連する症状

「不整脈の自覚症状」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛
  • 呼吸困難
  • めまい、ふらつき
  • 失神

普段なかった不整脈に関する症状が出現する、という場合には早めに医療機関を受診していただくことをお勧めします。

この記事の監修医師