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自宅で入浴介助をおこなう際のポイントを看護師が解説

 更新日:2023/03/10
自宅で入浴介助をおこなう際のポイントを看護師が解説

自宅で入浴介助をおこなう際、どうしたら安全にできるのか、わからないことも多いと思います。自宅での入浴介助を希望するも、用意する物や相談先、入浴前後の気をつけるポイントなど、知りたいことも多くあるでしょう。そこで、自宅で入浴介助をおこなうための事前準備から入浴前・入浴中から入浴後に注意するポイントについて、看護師の岡野さんに解説していただきました。

岡野 恭子

監修看護師
岡野 恭子(看護師)

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国立霞ヶ浦病院附属看護専門学校を卒業し、看護師免許を取得。総合病院で13年、介護老人保健施設で2年勤務。内科や皮膚科、婦人科、外来診療棟、化学治療室に携わり、がん看護や老年看護を経験。現在は、デイサービスに勤務しながらWebライターとしても活動中。

自宅で入浴するための環境を事前に整える

自宅で入浴するための環境を事前に整える

編集部編集部

自宅で入浴介助をする際に、どんなものを用意したほうが良いですか?

岡野 恭子さん岡野さん

入浴介助用品として挙げられるのは、シャワーチェア・浴室内と浴槽内のすべり止めマット・浴槽台・浴室の出入り口や浴室に手すりの設置・脱衣所にイスの設置などです。

編集部編集部

それぞれどのようなメリットがあるのか、ご説明をお願いします。

岡野 恭子さん岡野さん

シャワーチェアは、背もたれが支えになりつつ、座りながら全身を洗うことが可能になります。浴室の出入り口や浴室内に手すりがあると、移動時につかまることが出来るため、安全に移動することができます。浴室内と浴槽内にすべり止めマットがあると、転倒予防に役立ちます。脱衣所にイスが設置してあると、座りながら着脱が可能です。浴室内の環境や介護者の状況をみて、入浴介助用品を用意してみましょう。

編集部編集部

ありがとうございます。どれが介助者に適したものか相談したい場合はどうすれば良いのでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

介護保険の対象者はケアマネジャー、訪問看護を利用している方は訪問看護ステーション、それ以外の方は市区町村の高齢福祉関係の窓口へ相談してみましょう。介助者の状態に適した入浴介助の用品を勧めてくれると思います。

編集部編集部

介護者で用意するものは何かありますか?

岡野 恭子さん岡野さん

入浴の介護者が用意するものは、防水のエプロンと滑りにくいゴム製の靴・手袋です。介護者自身の防水と、浴室が滑りやすくなっているので転倒を予防しましょう。入浴時の手袋は、身体を洗うことが出来つつ、滑り止め機能のある軍手の着用をお勧めします。

入浴前に注意するポイントを解説

入浴前に注意するポイントを解説

編集部編集部

介助者が体調不良を訴えている場合、入浴は避けたほうが良いでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

体調不良時の入浴は、さらに体調が悪化する可能性があります。入浴は辞めて、本人が清潔ケアを望む場合は、身体を拭く、もしくは着替えのみに切り替えましょう。無理して入浴はおこなわず、出来るときにおこなうことを心がけてください。

編集部編集部

入浴に適したタイミングを教えてください。

岡野 恭子さん岡野さん

空腹時や食事の直後の入浴以外の時間を避けて、入浴をおこないましょう。空腹時の入浴を避ける理由は、全身の血糖値が低くなるので、意識が低下しやすい状態になりやすいからです。食事の直後は、食べ物を消化吸収するために胃や腸に血流が集中するので、ほかの臓器の血流が低下します。そのため、食事直後の入浴は、血流の低下から意識の低下が起きやすくなるため、避けたほうが良いでしょう。

編集部編集部

入浴前には、どのような準備が必要でしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

入浴前には、水分補給と浴室・脱衣所を暖めておきましょう。入浴をすると、身体の中の水分が奪われ脱水状態になるので、入浴前は水分摂取をするようにしましょう。また、浴室と脱衣所の温誤差があると、ヒートショックに陥ることがあります。ヒートショックとは、急激な温度差により血管が縮むことで、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしてしまう現象です。ヒートショックは、浴室と脱衣所の温度差が生じやすい冬場や免疫機能が低下しやすい高齢者が発症しやすいので、注意しましょう。

入浴中から後に注意するポイント

入浴中から後に注意するポイント

編集部編集部

シャワーの際、足元からかけるように言われましたが、どのような理由があるのでしょう?

岡野 恭子さん岡野さん

心臓への負担を軽減するためですね。心臓から遠い部分である足元からかけることで、心臓への負担を軽減させることができます。39~40度くらいのぬるま湯をかけるようにし、くれぐれも胸からシャワーはかけないようにしましょう。

編集部編集部

入浴の時間は、どのくらいが良いでしょうか?

岡野 恭子さん岡野さん

入浴時間は、5分程度が望ましいでしょう。長時間の入浴は、身体への負荷や水分の喪失などがみられます。長湯はせずに、身体が温まったら浴槽を出ましょう。

編集部編集部

浴室内で注意することを教えてください。

岡野 恭子さん岡野さん

浴室内は、滑りやすいので転倒の注意が必要です。介護者は、介助者が移動時につかまるところを声掛けしながらおこないましょう。浴室内は、シャンプーや石鹸などの泡で転倒しないように、シャワーで洗い流します。脱衣所での注意点は、床の水滴による転倒なので、床が濡れていることに注意しましょう。

編集部編集部

入浴後に気を付けるポイントを教えてください。

岡野 恭子さん岡野さん

入浴後に気を付けることは、水分補給や体調の変化、着衣です。入浴は、身体の中の水分が奪われるため、入浴前後で水分を摂取することをお勧めします。入浴の影響で体調の変化がみられることがあるので、注意して観察しましょう。入浴後は、めまいやふらつくこともあるので、脱衣所にはイスを設置して着衣をすることをお勧めします。

編集部まとめ

自宅で入浴介助をおこなう事前準備から入浴前・入浴中から後に注意するポイントについて伺いました。まずは、自宅の脱衣所や浴室内の環境を整え、入浴介助ができるようにしましょう。住み慣れた環境である自宅で入浴をするためには、入浴前・中から後に注意するポイントが大切です。ポイントに気を付けながら、自宅での入浴を継続していきましょう。

この記事の監修看護師