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高齢者をお風呂に入れる時の介助手順はどうすればいいの? 正しい方法を教えて!

 更新日:2023/03/27

自宅で介護をしている方の中で、入浴の介助手順に関する悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? 入浴介助は介助する側の負担が大きく、また転倒などの危険も伴います。今回は、高齢者の入浴介助をスムーズに行うためにはどのような点に注意すべきなのか、「介護福祉士」の赤星さんに伺いました。

赤星 薫

監修
赤星 薫(介護福祉士)

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植物や農業について高校・大学で学び、高齢者向けに園芸療法を実践したいと考え、介護現場へ就職。7年半の勤務後、2016年に園芸療法の普及をすべく、出張型のフラワーアレンジメント・園芸教室を行う「ハッピースマイル」を創業し、活動の幅を広める。介護福祉士・高校農業科目教員免許・フラワー装飾技能士・メディカルアロマで行うタッチケアなどの資格や経験も活かして、植物のチカラを使った心身のケア方法を伝えている。

浴室の環境を整える

浴室の環境を整える

編集部編集部

自宅で入浴介助をする際、どのような点に気をつければいいのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

入浴中に最も注意が必要なのが転倒です。入浴中に転倒して骨折をしてしまい、介護度が上がってしまうということは在宅介護の現場で頻繁に起きています。対策については様々ありますが、転倒防止のための手すりを適切な位置に設置するのがおすすめです。

編集部編集部

手すりはどのような場所に設置すればいいのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

手すりが必要になってくる場所は主に、「脱衣室から浴室へ移動する導線」、「洗い場の壁」、「浴槽の壁」の3つのポイントです。実際に設置する場所は、浴室の構造によって異なりますが、高齢者が握りやすく、掴むと身体が安定する高さに設置する必要があります。手すりは介護保険の補助金を使って設置することもできますし、工事が難しい場合は、福祉用具のレンタルサービスを使うこともできます。詳しい情報は、お住まいの市町村役所やケアマネジャーに相談してみてください。

編集部編集部

ほかにも気をつける点はありますか?

赤星 薫赤星さん

よく見落とされがちなのが、脱衣室と浴室の温度差です。衣類を脱いだ時やお風呂からあがった時などは、温度差が激しいと身体に負荷がかかります。負担が大きいと意識を失って転倒し、骨折をしてしまうケースもあります。温度差が出ないための環境整備も、重要なポイントです。

衣服の着脱も注意が必要!

衣服の着脱も注意が必要!

編集部編集部

衣服の着脱について、注意すべきポイントはありますか?

赤星 薫赤星さん

体の状態に合わせて、上着の脱ぎ方に工夫が必要です。上半身に痛みのない場合は、左右の腕どちらから脱いでも構いませんが、脳梗塞の後遺症などで麻痺があるようであれば、動く腕、もしくは麻痺による痛みが少ない方の腕から脱ぐようにしてください。そうすることで、麻痺がある腕を無理に動かすことなく、楽に脱げます。着る場合は、手順が逆になり、麻痺している方から先に腕を通します。

編集部編集部

衣服の着脱で、ほかに注意すべきポイントはありますか?

赤星 薫赤星さん

衣服に爪が引っかかってしまい、爪が剥がれてしまう事故がよく起きているため、腕を通す際は、衣服に爪が引っかからないように注意が必要です。次のような手順で行ってみてください。まず、介護者が袖口から手を入れて、高齢者の手を守るように掴みます。次に手を守ったまま袖を通します。それを両腕ともに行い、最後に頭を通します。

編集部編集部

そのほかにも気を付ける点はありますか?

赤星 薫赤星さん

ケガや打ち身がないかなど、体の状態を日常的に確認するといいでしょう。高齢になるにつれ、「皮膚が弱い、固い、乾燥しやすい」などの変化があります。何かに軽くぶつけただけで、内出血したり、表皮剥離などを起こしやすくなったりします。クリームやオイルを塗り、皮膚を柔らかく、健やかに保つことが大切です。お風呂上がりの保湿やケガなどの確認は普段から行うようにするのがおすすめです。

浴槽の出入りを楽に行うには

浴槽の出入りを楽に行うには

編集部編集部

湯船に浸かる際の安全な介助手順を教えてください。

赤星 薫赤星さん

湯船につかる際は、転倒のリスクが高く介助でも重要なポイントです。次のような手順で行うことで、より安全に入浴が可能です。
①体や足元をしっかりお湯で流しましょう。足元に石鹸の泡などがついていた場合、片足を上げて入る時に転倒する恐れがあります。
②手すりを両手でしっかりと持って、壁に向かって立つようにしてください。この時、介助者は背後から支えるようにします。
③浴槽に近い足から、片足ずつ入ります。足が上がりにくい場合は、介助者が背後に立って腰を支えたまま、膝裏かふくらはぎを持って、足を入れるサポートをします。

編集部編集部

もし手足に麻痺がある場合は、どうすればいいでしょうか?

赤星 薫赤星さん

手足に麻痺があったり、足が上がりにくかったりする場合は、浴槽の縁の高さと洗い場の椅子の座面を合わせた状態にして座り、手すりを使って湯船に入ります。また、麻痺がある足を介助者が湯船へ入れてあげるようにすると、さらに安全です。

編集部編集部

浴槽の縁の高さと椅子の高さが合わない場合もありますよね?

赤星 薫赤星さん

福祉用具では、座面の高さ調整ができるシャワーチェアーというものがありますので、そちらを活用するのがおすすめです。福祉用具には便利なものが数多くあり、それらを正しく使うことで介護が安全かつ、楽に行うことができるようになります。どれを選んでいいかわからないという方は、レンタルの福祉用具を利用したり、購入時に介護福祉士に相談したりするのがいいでしょう。

編集部まとめ

自宅での入浴介助は、介護する側にも、される側にも負担のかかるものです。しかし、介助のポイントや福祉用具などの便利なグッズを活用することで、安全でスムーズな入浴介助を行うことができるようです。これらの工夫を自宅での介護に取り入れて不安を解消し、お風呂の時間をより快適で楽しいものにしてみてください。

この記事の監修介護福祉士